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フードリンクレポート

フードリンクレポート

2018年12月27日(木)13:35

から揚げと回転寿司が伸張。価格に対して敏感な消費者をいかに満足させるかが問われた。

2018年の外食を振り返る

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取材・執筆 : 長浜淳之介 2018年12月26日執筆

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 2018年も間もなく終わろうとしている。今年の外食は全般に好調に推移したが、人手不足の深刻化、食材の高騰というような問題も生じてきた。一方で、消費者は価格に対して非常にシビアで、値上げをした店が苦戦する傾向も強まった。業態的には焼肉や鶏料理、大衆居酒屋、食べ放題、回転寿司などが昨年に引き続き好調。IT業界から波及したサブスクリプション(定額制)のような新しいサービスも注目された。(4回シリーズ)

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から揚げ市場を切り拓く「からやま」。(出典:sai2.net)。

 健康・美容のためにフィットネスのような体づくりのジムに通う人が増える中、ジムが推奨するようなヘルシーな食事に注目が集まっている。赤身肉のステーキが売れ、焼肉に波及した流れもそうした中で生まれた。そして、鶏肉と魚も今年注目された食材である。

 コンビニでも、サラダチキンとサバ缶は売れ筋商品の2トップと言われたほどだ。

 外食では、鶏肉はから揚げ、魚は回転寿司の業態を中心に活況を呈している。

 から揚げは油っぽいし、回転寿司はシャリも当然あって糖質が低いとは言えなさそうだが、ヘルシーなイメージのある鶏や魚の一番おいしくて手頃な料金の食べ方として、それぞれ選ばれているようだ。

 から揚げは数年前に、大分県の中津や宇佐で広まった一種の郷土料理、B級グルメのから揚げテイクアウト店が東京をはじめ全国に波及した。しかし、今回拡大しているのは、郊外ロードサイドの飲食店でから揚げの丼や定食を提供する業態である。テイクアウトにも力を入れていて、両にらみの業態と言えるだろう。

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「からやま」極塩ダレ丼(590円、税抜)。(出典:食べログ)。

 具体的には、「かつや」のアークランドサービスホールディングス傘下のエバーアクションが展開する「からやま」、すかいらーくが展開する「から好し」などがある。

 「からやま」は14年より展開を始め、国内62店舗にまで増えている。「からあげ縁‐YUKARI‐」とのコラボレーションで生まれた業態で、味付けなどの調理は「からあげ縁‐YUKARI‐」のノウハウを活用している。今「かつや」より勢いがあると感じるほどだ。

 「からやま」のメニューづくりが上手いと思うのは、単にから揚げの味を醤油味や塩味に変えるだけでなく、チキン南蛮にしたり、甘酢あんかけにしたり、カレーにしたり、玉子とじにしたりと、唐揚げをベースに料理のバリエーションを付けていることだ。また、丼ではから揚げをうず高く山状に盛り、見た目のインパクトも優れている。

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「から好し」外観。(出典:食べログ)。

 一方の「から好し」は17年10月から展開を始めて、既に43店だ。「からやま」をベンチマークした店と考えられ、味のバリエーションなどは異なるが、全般に方向性が似ている。

 駅前立地では、SFPダイニングの手羽先から揚げ専門店「鳥良商店」が49店まで増え、「磯丸水産」に次ぐヒットブランドとなった。昼は定食屋、夜は居酒屋として24時間営業するやり方は、「磯丸」を踏襲している。

 昼の定食ではから揚げやチキン南蛮も出しているし、夜には蒸し鶏、チーズタッカルビなどに加えて刺身など鶏以外のメニューをも揃えて、飽きないメニュー構成となっている。夜の顧客単価は「磯丸」よりは安めで、「磯丸」に対してあった価格への不満に対処している。

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「ミライザカ」外観。(出典:ワタミ ホームページ)。

 ワタミが主力業態の「和民」と「わたみん家」を、鶏居酒屋の「ミライザカ」と「鳥メロ」に転換を進めて業績を回復させたのも注目に値する。「ミライザカ」は清流若どりのグローブ揚げをメインにした店で、19年3月期中間決算で、149店となった。
 
 「和民」は96店に減っている。「鳥メロ」は清流若どりのモモ一本焼や焼鳥をメインにした店で134店となった。「わたみん家」は0となり消滅した。

 「ミライザカ」と「鳥メロ」は既存店売上高も前年を超えており、好調である(ミライザカのほうが5ポイントほど上昇幅が大きい)。昨年も同社は通期で利益が出ていて回復をアピールしたが、今年も順調な回復ぶりをアピールしそうだ。

 このほか「伝説のすた丼」が、すた丼のタレに付けたから揚げをヒットさせて、既存店売上を回復させるなど、から揚げが存在感を増している。

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「アロハテーブル」が監修した、「スシロー」のハワイアン・フレンチトースト。本気でスイーツファンを狙いに来た企画である。

 回転寿司は大手の1皿100円で提供する四天王、「スシロー」、「くら寿司」、「はま寿司」、「かっぱ寿司」では、寿司以外のサイドメニューがますます充実し、寿司をメインとするファミレス化が進んでいる。

 魚価の高騰のため、100円で寿司を出すためには、単価が高く取れ利幅も高いサイドメニューを出さなければ、価格を維持していけない事情もある。その結果として、「スシロー」、「くら寿司」、「はま寿司」は過去最高の業績に達しており、現状は成功している。

 「かっぱ寿司」は昨年から導入した食べ放題は成功しているが、これまでのファンが離れてしまい、売上は逆に減ってしまった。寿司そのものは仕入れを見直し、良いネタを使うようになって良くなっているのだが、難しいところだ。とにかく長らく「かっぱ寿司」を使ってきた人に、食べ放題がウザがられているのだから仕方ない。

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「スシローカフェ部 表参道スイーツテラス」(出典:スシローホームページ)。

 「スシロー」は昨年11月から今年11月まで、既存店売上高が13ヶ月連続で前年を上回っている。すこぶる好調だ。「スシロー」では社内の若手を中心にスイーツ部を創設するなど、スイーツに熱心に取り組んでおり、今年7月下旬には10日間限定ながら、寿司を売らないスイーツ専門店「スシローカフェ部 表参道スイーツテラス」を出店するなど、大いにアピールした。

 スシローカフェ部からは、ハワイアンカフェ「アロハテーブル」と提携したハワイアン・フレンチトーストや、アップルパイ専門店「グラニースミス」と提携したアップルパイなど、衆目を驚かす高いレベルの商品を提供し、女子高生、女子大生のカフェ利用が増えている。これが上手い具合に、ランチとディナーの間のアイドルタイム活性化をもたらした。

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「くら寿司」のヒット商品、竹姫寿司。竹姫にはスイーツのシリーズもある。

 「くら寿司」も、昨年11月から今年10月までの2017年度の既存店売上高は0.7%増と前年を上回っている。「スシロー」よりは見劣りするものの、十分に好調な集客である。
 
 「くら寿司」の場合、各店の店内で手作りするダシを使った牛丼、うな丼、天丼などの丼物、うどん、そば、ラーメンがサイドメニューの売りで、寿司屋だからこそできる味へのこだわりがある。今年は、竹筒に入った竹姫寿司や、高級かき氷機を導入したなめらかな口当たりのかき氷で、若い女性ファンも開拓した印象である。

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平日1皿90円も効いている「はま寿司」。(出典:トリップアドバイザー)。

 「はま寿司」はゼンショーグループに属するが、非上場のため、なかなかデータを出して来ないが、店舗数は500店ほどあり、首位「スシロー」とは10店ほどしか差がない。「くら寿司」には100~200億円売上が達しないと見られるが、業界2位を争う存在である。

 「はま寿司」の場合、サイドメニューの売りは専門店にも負けないレベルと評されるラーメンである。ゼンショーは「味源」などのラーメンチェーンも傘下に持っているが、そのノウハウが生かされている。総合外食だからこそできる提案で、寿司との相性も考慮された商品をきっちり出している。

 「かっぱ寿司」も最近は有名店と提携するなどで、ラーメンに力を入れているが、肉味噌辛辣ラーメン、タイの汁なしラーメン「バーミヘン」のような、寿司の味を打ち消してしまうような濃い味のものをぶち込んでくるので、ラーメンそのものは売れても、店へのリピートはないような状況に陥ってはいないだろうか。

 申し訳ないがサイドメニュー1つ取っても、競合他社に見劣りするのである。焦らず、「かっぱ寿司」らしさを表現してほしい。

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かっぱ寿司の意気込みはわかる。トレンドも合っているラーメンだろう。しかし、寿司を食べながら味わうタイプのラーメンだろうか。またも、顧客が減らなければいいのだが。(出典:かっぱ寿司ホームページ)。

 全般に言えることは、価格に対する消費者のシビアさだ。

 鶏居酒屋でも、地鶏を安価で提供する「塚田農場」はそれでもまだ高すぎると思われて既存店売上高がなかなか回復しない。「鳥貴族」も280円均一から298円均一に値上げしただけで、既存店の減少が続いてしまっている。「てんや」も値上げをして顧客を減らし、なかなか既存店売上がプラスにならなくなっている。

 回転寿司も地方の100円均一でない小チェーンは高いと敬遠されて駆逐されつつあるが、中には北海道の「根室花まる」、金沢の「もりもり寿司」、大阪の「大起水産」のように内容が評価されて伸びているところもある。

 ハンバーガーも安価な「マクドナルド」は好調だが、「モスバーガー」は割高に思われて既存店売上が落ちている。一方で、「シェイクシャック」、「ウェンディーズ/ファーストキッチン」のように内容が認められて好調なチェーンもある。

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「しゃぶ葉」。今やすかいらーくグループで最も伸びている業態。成長エンジンだ。

 消費者が価格にシビアだから、串揚げ食べ放題「串家物語」、しゃぶしゃぶ食べ放題「しゃぶ葉」、焼肉食べ放題「焼肉きんぐ」、「ワンカルビ」のような食べ放題業態が伸びるとも言える。店に行くと皆、もとを取ろうと思ってガツガツ食べている。

 顧客離れの要因は価格だけなのか。価格がそこそこ高くても支持されている業態はどこが違うのか。2019年は、その分析が的確で適正な施策を打ったところが勝つだろう。

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