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フードリンクレポート

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2017年11月02日(木)15:49

オーケーは店頭の和牛、鰻、ワインなどを味わえる!直営フードコートが話題に。

スーパーのイートインが飲食店に進化。グローサラントの衝撃!!

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取材・執筆 : 長浜淳之介 2017年10月31日執筆

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 欧米ではスーパーマーケットのイートインに、でき立てをその場で提供するレストランやカフェの機能が付加された、「グローサラント」と呼ばれる業態が台頭している。グローサラントは、グロッサリー(食品売場)とレストランが結合した新語で、女性の社会進出により人気が高まっている店内でつくる惣菜を、注文してすぐに座って食べられるようにしたものだ。多少のオペレーション変更は必要だが、同じ厨房で物販用とレストラン用の調理をすることができ、効率的な売上アップが可能に思われる。日本でもにわかに新設され始め、注目を集めるグローサラントについて探究してみた。(5回シリーズ)

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オーケーが横浜市のみなとみらい店で展開している、グローサラント型直営フードコート。

 首都圏一都三県、東京都・神奈川県・埼玉県と仙台市に102店を展開するオーケーでも、売場と飲食が連動したグローサラントへの取り組みを始めている。

 昨年9月に大田区の蒲田の南側にある六郷から、横浜市西区のみなとみらいの新築ビルへ本社が移転するに際して、2階に新しいディスカウントセンターの旗艦店をオープン。さらに今年2月、3階にフードコートをオープンしている。そのフードコートが、自社直営のグローサラントとなっている。

 フードコートは、「オーケー食堂 旬」、「Cafe&Bar」、「焼肉 和(KAZU)」の3店で構成されており、「焼肉 和(KAZU)」は実質独立した店舗である。

 また、「Cafe&Bar」は「オーケー食堂 旬」に付随したコーナーのような展開。「オーケー食堂 旬」はイートインを兼ねており、オーケーみなとみらい店で購入した商品を持ち込んで食べることができる。「オーケー食堂 旬」及び「Cafe&Bar」の席数は約180席、「焼肉 和」の席数は67席。

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オーケー本社ビル。この中にスーパーと飲食が入っている。

 オーケーは国道16号線の内側で出店するのを戦略として掲げており、近年は毎年10店ほどを出店。ナショナルブランドを地域で一番安く買える、高品質でエブリデイ・ロープライスを貫く。サービス産業生産性協議会の調査では、スーパーマーケットの顧客満足度で7年連続1位となっている。

 なお、ディスカウントセンターは同社で売場面積590坪以上の大型店を指し、オーケーみなとみらい店は約800坪の規模を持つ。590坪以下の店は、ディスカウントスーパーマーケットと呼んでいる。

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「焼肉 和」で提供されているA4ランク黒毛和牛カルビ。

 「オーケー食堂 旬」や「焼肉 和」では、オーケーで販売されている食材を使った料理が提供されており、顧客満足度が高い理由の一端を知ることができる。

 オーケーが飲食店を手掛けるのは、これが初めてではなく、旧本社のすぐ隣の大田区に「焼肉 和」がオープンしており、コストパフォーマンスの高さで人気店になっている。しかしスーパーに併設して飲食店を展開するのは初めてで、実験的な取り組みとなっている。

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社員食堂も兼ねた「オーケー食堂 旬」。

 オーケーみなとみらい店を出店するにあたり、上階は本社となっているので、社員食堂をも兼ねたレストランを展開するに至った。周囲は再開発地区で、真新しい高層のオフィスビル、マンションが次々と建っているが、商業・サービス業の発展が追い付いておらず飲食店が不足している。

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新たな旗艦店、オーケーみなとみらい店の広々とした店内。

 フードコートの集客は、12時~13時のランチの時間帯に集中しており、近隣に勤めるワーカーが中心。一般の主婦などの顧客も3割ほどある。満席まではいかないが、7割くらいは埋まっている感じだ。オープン当初は空席が目立っていたようだが、かなり認知が進んできた。

 土日のほうが顧客の入りが良く、みなとみらいでイベントがあると混み合う。また、近隣に住む家族連れも多く、小さい子供を連れて散歩がてらに訪れる人も多い。

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「オーケー食堂 旬」メニュー。

 「オーケー食堂 旬」の顧客単価は600円。気軽に立ち寄れるように、カレー(390円)とかワンコインで食べられるメニューもある。メニューの種類は9つほど。

 食券を自動販売機で購入して注文カウンターに出し、でき上がったら受け取って自分の座席まで持っていく、セルフサービスの店だ。

 かつ丼、カツカレー、大海老と野菜の天丼(共に590円)は、かつや海老の大きさを感じるボリュームたっぷりの商品で、コストパフォーマンスの良さでこの店の人気メニューとなっている。週替わりの定食もあり、社員が毎日でも利用できるように工夫されている。

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人気の大海老と野菜の天丼(590円)。

 物販との連動では、ローストビーフ丼の和牛ローストビーフや、うな重の国産うなぎの蒲焼、たまごかけご飯に使用している黄身が濃厚なコトブキ園恵壽卵、定食に使用している化学調味料不使用の秋本 白菜の浅漬などは、オーケー店頭と共通の商品を使っており、食べてみて気に入ればすぐに1階に下りて買い求めることができる。

 お酒はオーケー店内で買ったものを持ち込むことはできないが、「Cafe&Bar」にて1杯100円からグラスワインが提供されている。気に入ればスーパーで買うことができ、プライベートブランドの「デリ・ブティックワイン」はボトルで379円。

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スーパーで買ったお酒は持ち込めないが、グラスワインを100円から提供している。

 コーヒーも1杯100円から提供されるが、オリジナルブレンドとマイルドブレンドの2種類がある。オーケーによるこれもプライベートブランド商品で、飲んで気に入ればスーパーで買うことができる。

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フードコートで飲んだオーケーのオリジナルワインをスーパーで購入できる。

 「焼肉 和」はフルサービスの店だが、ランチはセルフでライス・キムチ・サラダ・スープが食べ放題となっている。100円を足せばフリードリンクになる。それで、アメリカ産のカルビ、タン塩、オーストラリア産のハラミが90gで780円だからお得感があり、人気になっている。

 しかし、この店の本当の価値は和牛にあり、和牛特選カルビランチ80g・1180円、和牛特選ロース1枚焼きランチ110g・1300円などは、値段に比し期待値を大きく上回る満足感が得られるだろう。

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「焼肉 和」店内。

 オーケーでは高級レストランが使用するA4ランクの黒毛和牛を、一頭買いすることで安く仕入れ、消費者に求めやすい価格で提供している。そのA4ランクの黒毛和牛を「焼肉 和」でも使用している。

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「焼肉 和」はフードコートの中に出入口が設けられた店。

 ディナーの顧客単価は2400円だが、本来この品質なら5000円は下らないはずだ。同社・広報では「オーケーだから安心、オーケーだからできることとお客様に認知してもらって、食事を目的に来る人を増やしたい」と意欲を見せている。サービスや店の雰囲気こそ、そっけないが、値段以上の満足感を十分に得られるメニューが揃っていると見受けられた。

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一頭買いして安くし入れた黒毛和牛はスーパーで販売すると共に、「焼肉 和」の食材にもなっている。

 築地など卸売市場の食堂が人気化しているような人気の出方が、口コミで今後起こってくる可能性が高いのではないだろうか。オーケーにとってグローサラント型店舗は今のところ、みなとみらい店のみだが、成功するようだと大型のディスカウントセンター店で増殖していくだろう。


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