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近年の外食業界では喫煙環境の整備が進められているが、運営側としてはどのような考えを持ち、店づくりを行っているのか。そこで、自社ブランドとFCを含めた多彩な業態の飲食店を展開する「プロダクトオブタイムグループ」(東京・品川区 代表:干 倫義氏)の常務取締役・胡桃澤 忍氏に、同社のケースをうかがった。
胡桃澤常務取締役。
「弊社の飲食業態は、自社ブランドですとクラフトビールやワインと食事を楽しむレストラン、そして大衆酒場があります。一方、FCでは『串カツ田中』と『牛角』を運営。喫煙可か、禁煙かというのは業態やお客様の層によって各店で違いますね。明確に定義づけてはいませんが、FCは運営元に合わせるという意味でも、全席喫煙可。自社のケースでは、大衆酒場は全席喫煙可で、レストラン業態は完全禁煙や分煙もありますね」(胡桃澤氏)
同社のレストラン業態は大きく分けるとふたつ。クラフトビールの「クラフトマン」と、ベルギービールを主体とした「ヘイメル」があるが、途中で喫煙システムを変更した店舗がある。横浜に今春オープンした「Craft Beer×Mex-Italian CRAFTSMAN」だ。同店は当初、入口付近の外に喫煙できるスタンディングシートを設けていたが、途中から店内にも吸える席を用意することとなった。
横浜店は、エリア屈指の注目飲食街・鶴屋町に2016年3月24日オープン。横浜駅から徒歩2分の「エフテムビルNo,1」2階にある。
「横浜は外国人のお客様が多いエリア。特に欧米の方を中心に、店内に喫煙席をというリクエストが多かったため、導入することにしました。もうひとつの理由としては、周辺のビアレストランの多くが喫煙可だったというのもあります。とはいえ、お客様の中には、完全喫煙でないなら利用したくないという方もいるはずで、この問題は難しいですね」(胡桃澤氏)
一方の「ヘイメル」は渋谷に2店舗、新橋に1店舗(プロデュース型)を構えているが、喫煙可もしくは分煙のスタイルをとっており、完全禁煙ではない。これもニーズに合わせたもので、たとえば渋谷の「WINE & Belgian Beer Hemel ミヤマス」の場合は、エントランス側のカウンター席を中心に、全38席中の12席はタバコを吸うことができる。
ヘイメル ミヤマスの店内。中央から奥にかけてはテーブル席となっている。
店舗の外にも灰皿を設置。愛煙家が禁煙席を利用した場合は、ここで吸うことができる。
ところで、設備などのハード面だけではなく、人的なソフト面でたばこに関して配慮していることはあるのだろうか。
「ご予約時に喫煙席利用の有無を確認したり、途中で禁煙席から喫煙席に案内したりといったことも、オぺレーション上では大変ですが大切です。運営側としては、全席喫煙可もしくは完全禁煙のどちらかに統一するのが本当は楽なんでしょうね。でも、当社としてはできるかぎりお客様の要望に沿った店づくりをしていきたいと考えています」(胡桃澤氏)
蒲田にある「大衆酒場BEETLE」。同社オリジナルブランドの大衆酒場としては鶴見に続く2店舗目で、この12月には五反田に新たなBEETLEのオープンが予定されている。
胡桃澤氏は、もしFCの店舗で運営元の意向によって完全禁煙化の話が出たら、「『串カツ田中』の場合は(禁煙化を)反対すると思います。当社の『大衆酒場BEETLE』もそうですが、やはりこれらの業態は、お客様側としては喫煙できるという認識だと思いますので。」と語る。また、店内に個室型の喫煙ルームを設ける計画も、お客様のニーズを踏まえた上でケースバイケースで考えていきたいとか。なにはともあれ、同社の場合は業態やニーズに合わせて各店舗の喫煙環境についてフレキシブルな対応をしているようだ。
■プロダクトオブタイムグループ
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