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2016年8月01日(月)12:54

赤羽という磁場

大鶴義丹が行く ~私の外食ラバーズ~

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取材・執筆 : 大鶴義丹 2016年8月1日

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 付き合いや接待の飲みをほとんどない商売柄故に、今夜、どの街のどんな店で飲むかと言うことを人一倍大事にしている。

 中央線沿線の阿佐ヶ谷駅前で生まれ、中野から吉祥寺まで続く大衆酒場文化のど真ん中で大人になり、そのままそこに居付いている私は、大衆酒場の目利きに関しては絶対の自信を持っている。

 そんな中央線血族である私が時として飲むためだけに遠征するのが赤羽だ。地図で見ると少し距離はあるのだが、新宿から埼京線に乗ってしまえば十分ちょっとである。

 この街の持つ地域的役割は、江戸時代から続く「北の玄関口」の宿場町にまで遡る。少し前には昭和的な歓楽街もあり猥雑な雰囲気があったのだが、現在は駅周辺の開発も完成しその面影は大きく形を変えている。

 だが飲食街にだけは、その宿場町的な「遺伝子」が色濃く残っている。加えて戦後には大きな闇市が興ったエリアでもある。

 その歴史の重みに似合った店があるのも当然だろう。戦前から続いているような立ち飲み屋やホルモン屋、荒川沿いという立地故に川魚を売りとしている店もある。また総じて開店時間が早い。昼過ぎは当たり前、朝から酔客で溢れ返るような店もあり、太陽の下で顔を赤くすることを罪としない雰囲気だ。

 大人の自由を何よりも大事にする雰囲気が、若者文化やファッションなどが絡み合った、中央線的な街の構成と一番異なるところだ。純粋に美味いツマミで飲みたいという、大人の欲望がハッキリと街並みに「掲示」されている。そのダイレクト感に、大衆酒場街に慣れた輩でも、初めて赤羽を訪れるとショックを受けるであろう。

 またホルモン系の串焼きレベルは都内随一と言っても良い。この水準は闇市時代からの歴史的アドバンテージなのか、他のエリアでは絶対に追いつけないものを感じるほどだ。港区などにある、オシャレな外観で極上ホルモンを謳っているような店は尻尾を巻いて逃げ出すであろう。

 ただ全般的に常連優先的な雰囲気がないとは言えない。そのハードルを乗り越えられるか否かは漢としての器が試されるところでもある。礼節をもって図々しくしていればちゃんと受け入れてくれる。私見だが、港区的なものに対する大人文化として、この手のローカルルールと言うのは必要悪だと思っている。

 そんな磁場を持つ赤羽で生まれ育った仲間が経営しているのは串焼き屋「エナブ」だ。前記したような超高水準の老舗店と対等のホルモン料理を提供しながらも、少しだけ店の雰囲気を現代的な方向に振っている。

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そのギリギリの塩梅が私は好きである。ホッピーは当然ながら、ホルモンで赤ワインを飲みたいと言えば用意もしてくれる。

 赤羽商店街育ちのオーナーが演出する、新しい解釈を加えながらも大事に受け継いでいく赤羽の味と大人文化。過去から現代へ、双方の旨味を堪能できるはずである。

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大鶴義丹(おおつるぎたん)
≪ 生年月日 ≫ 昭和43年4月24日
≪ 出身地 ≫ 東京都
≪ 出身校 ≫ 日本大学芸術学部文芸学科 中退
≪ 血液型 ≫ A 型
≪ 趣 味 ≫ 料理、バイク、車、釣り(小型2級船舶免許)
≪ 特 技 ≫ 料理、素潜り
≪ スポーツ ≫ スキー、モータースポーツ
(2輪・4輪共にレース経験あり) 
≪ 資 格 ≫ 大型自動二輪免許
≪オフィシャルブログ≫http://ameblo.jp/gitan1968/


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