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フードリンクレポート

2016年2月25日(木)17:28 トレンド

新宿駅新南口に「ニュウマン」誕生。街づくりを担い深夜営業レストラン街開業!ブルーボトルも出店。

東京オリンピックに向け新商業施設が続々オープン

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取材・執筆 : 長浜淳之介 2015年2月24日執筆

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 2015年後半から16年前半にかけて、東京を中心に新しい商業施設のオープン、レストラン街のリニューアルが相次いでいる。商業施設事業者は、2020年の東京オリンピックに向けて変化を遂げようとしている東京を、日本をどのように表現しようとしているのか。まとめてみた。(6回シリーズ)

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3月25日、JR新宿駅新南口にオープンする「NEWoMan」(ニュウマン)。新南口一帯の街づくりを担う。

 ルミネは3月25日、JR新宿駅新南口に新商業施設「NEWoMan」(ニュウマン)を開業する。一部、駅の構内であるエキナカ、エキソトの店舗については4月15日の開業となる。つまり、第一期、第二期に分かれてオープンするわけだ。

 これはJR新宿駅の旧新南口駅舎跡に、約170mの複合ビル「JR新宿ミライナタワー」が建設されるにあたり、低層部の1~4階(M2を含む)、7階に加えてエキナカを含む新南口駅構内を、新商業施設「NEWoMan」として開発、運営するもの。新南口駅構内は2階と5、6階及び屋上にショップなどが入る。

 売場面積約7600㎡。店舗数は約100店。売上は約200億円を見込んでいる。

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「NEWoMan」は「JR新宿ミライナタワー」の低層部分と、新南口駅構内のエキナカ、エキソトをひっくるめて開発。

 「JR新宿ミライナタワー」の5階以上、7階を除く32階まではオフィスフロアーとなる。つまり、新南口のオフィスに勤めるビジネスマン、OLが新たに創出されることになり、その人たちも「NEWoMan」の顧客になるのである。

 また、新南口駅の3階に当たる部分はタクシー乗り場、4階に当たる部分は高速バスのターミナルとなるので、駅の利用者に加えて、タクシーや高速バスの乗降客も「NEWoMan」の顧客である。

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新南口には「JR新宿ミライナタワー」のオフィスに加え、高速バスターミナル、タクシー乗り場、イベントホール「ルミネゼロ」などが集積し、賑わいを増す。

 「NEWoMan」のネーミングは、「あたらしい時代を生きる、すべてのあたらしい女性のために。あたらしい経験と出合う場所」を意味する。コンセプトは"女性が輝き続けることができる経験と価値を提供する"ことで、ファッションだけにとどまらず、新しいモノや体験からインスピレーションを受け、新しい自分の生き方を見つけられるような施設を目指す。

 メインターゲットは、上質で本物を求める大人の女性。年齢は関係ないが、イメージ的に従来の「ルミネ」が20代~30代をターゲットしていたのに対し、30代後半~40代をメインと考えている。約8割のショップが、日本初、新業態を含む新宿初出店である。

 ショッピングだけでなく、婦人科や小児科を含むクリニック、薬局、認可保育園、ルミネが運営するイベントホール「LUMINE 0」(ルミネゼロ)のような文化施設で、新宿駅を日常的に使う人の生活をトータルにプロデュースするという。

 駅周辺の施設と一体となったデザイン設計など、街づくりの視点で開発・運営を行う。そこが従来の「ルミネ」と一線を画す点だ。

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「NEWoMan」のショップイメージ。

 第1期の3月25日には「JR新宿ミライナタワー」の全ての店がオープンする。「JR新宿ミライナタワー」の1~4階はショップ、7階はクリニック。ショップは衣料、雑貨などのファッションが中心で、各階ごとにテーマがある。

 1階は路面店感覚で楽しめる「エントランスマーケット」、M2階は新たなライフシーンを提案する「次世代セレクト」、2階はメインエントランスがあり上質で都会的なグローバルスタンダードを提案する「インターナショナルマーケット」、3階は上質でシンプルなスタイルにトレンド感をプラスした「ニューベーシック、ニュースタンダード」、4階は生活がより豊かになるリラックス感がある「ニューライフ」、7階は健康維持をサポートする「ライフサポートバランス」となっている。

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ブルーボトルコーヒーの清澄白河、青山に続く日本3号店が、「NEWoMan」(ニュウマン)に登場する。またも大行列となるか。

 飲食店は少ないが、1階に昨年サンフランシスコ・ベイエリアから進出して、日本にサードウェーブコーヒーブームを起こした「ブルーボトルコーヒー」出店が、ハイライトだろう。「ブルーボトル」はサンフランシスコの人気ベーカリー「タルティーンベーカリー」買収がこじれて破談になり、その過程で昨春予定されていた「ログロード代官山」への両店出店が、直前になってキャンセルとなっている。

 そもそも代官山に「タルティーン」が日本初上陸を果たすはずだった店は、2月にメディアレセプションまで開催していたのである。しかも、当初はサードウェーブでも「フォーバレルコーヒー」という別の店と組む計画となっていた。

 「ブルーボトルコーヒー」が「タルティーン」を買収しようとしたのは、コーヒーと共に提供する食の部分の弱さを自覚しているからと見られ、パン、スイーツなどのフードをどう強化して日本3号店を出してくるのか。注目されるところだ。

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渋谷ヒカリエにある「ル パン ドゥ ジョエル・ロブション」がカフェ併設で、「NEWoMan」(ニュウマン)に登場。

 1階にはフランスの名シェフで世界最多のミシュランの星を持つ、ジョエル・ロブション氏が監修した「ル パン ドゥ ジョエル・ロブション」も、カフェ「ル カフェ ドゥ ジョエル・ロブション」を併設して出店する。ここでは米仏のカフェの競演が見られるというわけだ。

 また、3階にはフードディレクター、浅本充氏が監修するサロン・ド・テ スタイルのビュッフェレストラン「サロン ベイクアンドティー」が登場する。

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ニューヨークからイタリアンのオーガニックダイニング&カフェ「ローズマリーズ」が進出する。

 駅構内には、6階にレストランがただ1店、「ローズマリーズ」が出店する。ニューヨーク・ウェストビレッジにある、行列が絶えないオーガニックダイニング&カフェで、日本初上陸。イタリア・トスカーナ地方の料理をベースに、スタッフが丹精をこめて作った屋上菜園のハーブや地域の食材を生かした料理を提供する、スローフード寄りの店だ。

 ウェストビレッジは映画、音楽、ファッションなどのセレブが多く住む文化的な街。「シェイクシャック」とも一脈通じる、手づくり感とシンプルで洗練されたデザインも支持される理由だろう。本来、商業施設とは相反するようなコンセプトの店であるが、運営するのは街づくりを考えたカフェに手慣れたカフェ・カンパニーなので、違和感なく溶け込ませることができるだろう。6階は最上階で、屋上には屋上菜園が設けられている。

 5階にはルミネが初めて手掛けるイベントホール「ルミネゼロ」と保育園があり、パブリックスペースの屋外広場に臨んでいるので、集客上も有利ではないかと思われる。

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朝7時から早朝4時まで営業する、エキソト「フードホール」と命名されたレストランゾーン。

 飲食店に関しては、むしろ第2期の4月15日オープンのほうに集中している。なぜなら、エキナカ、エキソトは第2期のオープンだからだ。なお、ルミネはエキナカへ初進出である。

 ここでピックアップしたいのは、サザンテラス口改札側に設けられた、朝7時から翌朝4時まで21時間営業を行うエキソトの「フードホール」と呼ばれるゾーンだ。5店舗で構成され、駅構内でありながら上質な時間を過ごせる、1つの店舗のような演出を行う。

 ラインナップを見ていくと、まずヒュージの新業態「タヴァーン・オン・エス< és >)」は、サンフランシスコやポートランドに広がる、ボーダーレスな発想の新しいアメリカ料理を提案。同社が得意としてきたニューヨークスタイルとは一線を画す模様で、内容は現在詰めている段階にある。

 「sushi tokyo 天、」は贅を尽くした旬の食材をおまかせでたくさん出すスタイルの寿司店で、西麻布「すし 天」の新業態である。なお、「すし 天」はエキナカにも持ち帰り寿司「すし屋のはなれ、」を出店する。

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シンガポールから日本初上陸、オイスターバー「wharf(ワーフ)」(イメージ)。

 「ベーカリー&レストラン SAWAMURA」は、軽井沢で人気の店で、数十種の粉や4種の自家製天然酵母で長時間熟成低温発酵させた70種類以上のパン、焼菓子を提供。東京では広尾と新丸ビルに系列店舗があり3店目。

 シンガポールからはオイスターバー「wharf(ワーフ)」が初上陸。生牡蠣と和歌山県勝浦漁港で獲れたマグロは店舗に直送されるので、鮮度が高い。アルコールはワインの他、日本酒「獺祭」、シンガポールのビール「タイガー」などを提供する。

 「サロン ブッチャー&ビア」は、南青山「ローブリュー」の櫻井信一郎シェフがレシピを監修。「ローブリュー」はフランス・バスク地方の骨太な豚肉料理をメインとした店だ。

 以上、朝食からランチ、ディナー、バータイムまで、深夜の始発待ちの需要までもカバーしていく実験的な取り組みと言えるだろう。

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現在4月のオープンに向け新南口エキナカは工事中。

 エキナカの約30店はおみやげ用の菓子店が多く、持ち帰りの寿司、駅弁、総菜、さらには書店、雑貨と並び、初出店の店も目立つが、構成自体は昨今よく見るような感じといった印象だ。価格的には上質にこだわり高めの設定。

 そうした中で、ルミネが自主編集し、全国から厳選した和菓子を常時3ブランドを販売する、和菓子のセレクトショップ「えんなり」が目を引く。

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「800 ディグリーズ ナポリタン ピッツァ」(イメージ)。

 「フードホール」以外のエキソトでは、「800 ディグリーズ ナポリタン ピッツァ」がアメリカ西海岸から初上陸。ロサンゼルスで人気を博すレストランが、サザンテラス口横にオープンし、ルミネが直営する。

 「800 ディグリーズ ナポリタン ピッツァ」では、華氏800度(摂氏425度)の薪窯で、約90秒というクイックに焼き上がる本格的なナポリピッツァが特徴。約40種類ある具材から好みに合わせてトッピングできる優れたカスタム性も売りだ。アメリカの店舗と同じくモノトーンを基調とした店舗デザインで、バーカウンターも設置し、洗練された空間にてアルコール類が楽しめる。

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カリフォルニアのサードウェーブコーヒー「ヴァーヴ・コーヒー・ロースターズ」がエキソトに日本初出店。

 サードウェーブコーヒー「ヴァーヴ・コーヒー・ロースターズ」は日本初出店。この店はサーフィン発祥の地とされるサンフランシスコ及びサンノゼ近郊カリフォルニア州サンタクルーズ出身のコーヒーロースターで、サンタクルーズとロサンゼルスに各3店を展開している。ハリウッドセレブにも愛用されているとのこと。サーフカルチャーが入っているのが、「ブルーボトル」との差別化になるかもしれない。

 よく商業施設で見かけるデリカテッセンとカフェ「ディーン&デルーカ」、とらやのカフェ業態「トラヤカフェ」なども入居する。

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新南口の駅舎南側に人々が集う広場ができる。

 「NEWoMan」は新宿駅新南口の駅の中と外にまたがり、複雑な商業施設であるが、大人の女性を集客するばかりでなく、街づくりを企図したものだ。サードウェーブコーヒーをはじめスローで持続可能性を重視したスマートな、アメリカ西海岸の新しいライフスタイル、あるいはニューヨークでも文化人が住むような地域のライフスタイルが全般に意識されている感がある。

 ルミネとしては、飲食、物販、イベントホールなど直営店を今までになく積極的に出している。社員教育の意味合いを込め、商品、サービスの背景にあるものをも顧客に伝えられるように、レベルアップをはかっていきたい意向だ。

 従来、新宿では開発が遅れていた甲州街道の南側、渋谷区に入る地域に波及する活気をもたらし、「タカシマヤタイムススクエア」、「新宿サザンテラス」などと一体になって、発展する起爆剤になるだろう。

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