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2016年2月15日(月)16:31 スナップショット

フレッシュネスバーガーがアラスカ産ズワイ蟹を使った「クラブケーキバーガー」発売。

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取材・執筆 : 長浜淳之介 2016年2月14日執筆

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 フレッシュネス(本社・東京都中央区新富)は、経営する「フレッシュネスバーガー」チェーンにおいて、2月17日よりアラスカ産本ズワイ蟹を使用した「クラブケーキバーガー」を、日本のハンバーガー業界で初めて販売する。価格は590円。

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2月17日に発売される「クラブケーキバーガー」(590円)。「フレッシュレモネード」(アイス/ホット Tサイズ)のセットで900円。

 クラブケーキとは、蟹の肉にパン粉、牛乳、マヨネーズ、卵、タマネギ等から作られるアメリカ料理。クラブは蟹、ケーキはこの料理の場合は小麦粉などをつなぎとした塊を意味する。アメリカ東海岸、首都ワシントンD.C.に近いメリーランド州ボルチモア発祥の料理で、ニューヨーク、ハワイなどでよく見かけられる。

 また、シェイクシャックが売りにしているレモネードを、「フレッシュネスバーガー」でも従来から定番として販売していたが、認知が進んでいなかったのでこれを機会に販促を進める。「クラブケーキバーガー」と「フレッシュレモネード」(アイス/ホット Tサイズ)のセットで900円となっている。

 「フレッシュレモネード」は通常、Sサイズ320円、Tサイズ370円、Gサイズ420円で売っていて、別々に頼むと900円を超えるのでお得なセット価格を提案した。

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2月10日に開かれたプレス発表会の模様。日本で認知されていないクラブケーキをどうアピールするか。社内でも議論が戦わされたという。

 ちなみにシェイクシャックの「シャックバーガー」は日本では680円だが、アメリカでは5ドル19セントで約590円。シェイクシャックのレモネードはアイスのみで、日本では250円である。よって、明治神宮外苑のシェイクシャックで、「シャックバーガー」とレモネードを注文すると930円となる。

 日本のレストランでクラブケーキを使用したハンバーガーがメニューとして提供された事例はあるものの、ハンバーガーチェーンのファーストフードでメニュー化したのは初めて。「他のチェーンでエビバーガーを売りにされているところもあるが、クラブケーキバーガーのパイオニアはフレッシュネスと印象づけたい」(今井久商品本部 本部長)と意気込んでいる。

 エビバーガーはロッテリアが1977年に、業界で初めて商品化。それ以来、看板商品の1つになっている。

 一方、カニを使ったハンバーガーは、2014年12月に日本マクドナルドが期間限定商品として、紅ズワイ蟹の身とロブスターのアメリケーヌソースを使った「かにコロッケバーガー」を発売したが、アメリカ西海岸のストライキの影響でフライドポテトが販売できなかった逆風もあって、不発に終わっている。

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ボリューム感たっぷりの「クラブケーキバーガー」。カニコロッケとどう違うか、消費者からの反響が楽しみ。

 今井本部長によると、「クラブケーキバーガー」の商品企画に関しては、「クラブケーキという料理が日本では知られていない。ケーキと聞けばスイーツのイメージしかない。大丈夫なのか」と社内でも反対意見が根強く、議論を尽くして今回の発売に至ったとのこと。カニコロッケにしてしまうと二番煎じの感は拭えず、高級バーガーのイメージで売り出すためにも、「クラブケーキって何?」というサプライズを消費者に打ち出す必要があったものと推察される。

 商品特徴としては、クラブケーキは本ズワイ蟹ほぐし身とつなぎを使用し、蟹を感じられる色合いと繊維感をたっぷりに、セロリやディルといったハーブを使って風味豊かに仕上げている。

 ソースは、甲殻類の味が豊かなズワイ蟹のアメリケーヌソースと、まろやかなズワイ蟹のホワイトソースのダブルソース。グリーンカール、ローストオニオン、タマネギといった国産野菜の満足度も感じられる、ボリューム感あるハンバーガーとなっている。

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店内で手作りで提供されるレモネード。

 レモネードに関しては、古代エジプトからある飲み物であるが、アメリカでは19世紀の終わり頃から子供たちが夏になると小遣い稼ぎのために、レモネードスタンドを出して販売する風習が広まった。レモネードスタンドの「経営ごっこ」を通じて、アメリカの子供たちはビジネスを学んでいく面があり、アメリカを象徴するドリンクとなっている。

 「フレッシュネスバーガー」のレモネードは、蜂蜜、レモンをたっぷり使って、店内で手作りして提供している。

 2月10日、フレッシュネス本社ビルにある新富町店で開催されたプレス発表会では、アラスカシーフードマーケティング協会を代表して、同協会常任理事会メンバーで、漁船オーナー、漁師にして料理研究家でもあるトミ・マーシュ女史が来日。

 「クラブケーキはアペタイザーとしてアメリカでは広く使われているが、天然物アラスカ産のズワイ蟹から作ったクラブケーキをパティに使用した、ハンバーガーを実現するのが夢だった」と語り、試食を行った。

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アラスカシーフード協会にとってもクラブケーキバーガーの商品化は夢だったそうだ。

 トミ・マーシュ氏によれば、アラスカではクラブケーキのみならず、サーモンケーキ、タラケーキといった海の幸を生かしたケーキ類が日常的に食されているそうで、協会の活用を通じて広めていきたい意向をにじませた。

 また、フレッシュネスの紫関修社長は「シェイクシャックが上陸して好調だが、少し高級バーガーが広がってきたと感じる。日本で生まれたハンバーガーチェーンの我々も、高級バーガーで戦って、『やはりフレッシュネスはおいしいね』と皆様に評価してもらえるように、しっかり頑張っていきたい」と、闘志を見せた。

 紫関社長によれば、「蟹は日本人にとってなじみが深い食材なので、商品の基準が高くなる。そのため何度も試食を重ねて発売にこぎつけた」とのこと。「クラブケーキバーガー」は苦心の末に完成した自信作と見受けられた。果たして、味にうるさい日本のハンバーガーファンは、どう受け止めるか。同社の「黒毛和牛バーガー」のような季節の名物バーガーに育つのか、楽しみだ。

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紫関修社長と、アラスカの漁師・料理研究家トミ・マーシュ氏。トミ・マーシュ氏は男性でもしばしば命を落とすアラスカの荒海で漁業を営む女性で、アラスカシーフードマーケティング協会常任理事会メンバー。

 ところで、会見の中で紫関社長は、「フレッシュネスバーガー」の店頭で、描き起こされた絵のとおりの具材がふんだんに挟まれたハンバーガーが出てこないと、店員を叱ると明言。「マクドナルド」が現在発売中の期間限定「名前募集バーガー」が、実際に購入してみると、店頭の写真に掲載されているようなボリューム感に欠け、インターネット上で"残念なバーガー"と呼ばれていることに対して、自社の姿勢を引き締めるかのような発言を行った。

 日本マクドナルド出身の紫関社長にとっても、「マクドナルド」の迷走は目を覆うほどと映るようで、自らの教訓として経営のレベルアップに生かしていくということなのだろう。

 アメリカではファーストフード5ドルの壁をシェイクシャックが超えたように、日本では500円の壁をどう乗り越えるのか。牛丼業界では牛すき鍋膳というヒット作が出て冬の定番となったが、ハンバーガーでそれに匹敵する高単価メニューは可能なのか。フレッシュネスの挑戦に注目したい。

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