フードリンクレポート
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取材・執筆 : 須田萌子 2015年11月16日
ここ数年、世の中のパン熱が上がっている。街に一軒しかなかったパン屋が、二軒、三軒と徐々に増え、テイクアウト専門だけではなく店内に飲食スペースを併設する「ベーカリーカフェ」「ベーカリーレストラン」も増え、天然酵母や国産小麦、無添加、オーガニックを謳う「こだわり派ベーカリー」も見かけることが多くなった。パン好き同士が集まって人気のパン屋を行脚する「パン屋めぐり」が流行り、日本各地のパン屋を求めてわざわざ旅に出るパンマニアも続出。数十軒のパン屋が一堂に会す「パンまつり」なるイベントも開催されている。今回は、フード業界の中で快進撃を続ける「パン屋」にスポットを当て、さまざまなタイプのパン屋を訪問。進化するパン屋のスタイルや今後の可能性についてレポートする。
原宿・明治通り沿いのアパレルショップの3階に店舗を構える「レフェクトワール」。パン文化が根付く京都で創業したパン屋「ル・プチメック」がプロデュースするベーカリーカフェである。
入店と同時に目を奪われるパンの販売コーナー。ベーコンエピや季節野菜のデニッシュなど何十種類ものパンがお皿やケーキプレートににぎやかにディスプレイされている。
野菜やサーモン、パテを挟んだサンドウィッチをはじめ、バゲットのフレンチトーストや季節のフルーツサンドなどスイーツ系のパンも豊富。迷えるほどのラインナップかつ、どれも200〜500円程度と低価格なので、いくつも買いたくなってしまう。店頭で販売しているパンは、テイクアウトはもちろん、イートインも可能だ。
店内奥のイートインスペース。席数は全部で50程度。
「レフェクトワール」はフランス語で「食堂」という意味を持つ。その店名に相違なく、大きなテーブルにオシャレなパイプ椅子を配置し、ワンランク上の学生食堂や社員食堂のような雰囲気。パンやドリンクをセルフサービスで楽しめるスペースとなっている。
窓ぎわの席は、ひとりでくつろいでもよし、ふたりで語らうもよし。仕事の打ち合わせに利用してもよさそうだ。
イートイン限定のサンドウィッチやハンバーガーメニューもある。
ローストビーフやオマールエビ、アボカドを使った冷製サンドウィッチ、鶏肉とスモークチーズを使ったホットサンドなどフランス料理をサンドウィッチにアレンジした、こだわりを感じられるものばかり。
タルティーヌ ローストビーフ(885円)。
これがサンドウィッチ?と思わず確認したくなる、フレンチのメインディッシュのような一皿。酸味のあるパン・オ・ルヴァンに厚切りの自家製ローストビーフとベビーリーフを乗せた、ナイフとフォークでいただくごちそうサンドウィッチだ。濃厚な青カビのチーズソースがクセになる、赤ワインと味わいたいひと品。
アボカド・オマールエビ・カニ・ブロッコリーの冷製サンドウィッチ(669円)。
まったりとした舌触りのアボカド、シャキシャキの食感のブロッコリーに、エビとカニの旨味が融合した贅沢なサンドウィッチ・・・いや、サラダのパン添えと言った方が正しいだろうか。パンは、添えた具材の味を活かせるようにシンプルな食パン、パン・ド・ミを使用している。
イートインのサンドウィッチはメニューによって異なるパンを使用。ローストビーフには「パン・オ・ルヴァン」、チキンとスモークチーズのホットサンドには「パン・ブリオッシュ」、ソーセージとラタトゥイユのホットドッグには「ハードトースト」など、食材との相性を考えた組み合わせになっている。また、高級食材のオマールエビやローストビーフを使ったサンドウィッチが1000円未満という価格にも驚きだ。
飲みきりサイズのワイン(赤・白各518円)。
サンドウィッチをフレンチの一皿として楽しめるようにアルコール類も充実。フルボトルワインは6種類(1本1,544円)、茨城のクラフトビール「常陸ネストビール」5種類(1本626円)、またプラス500円を支払えば好みのワインを持ち込むこともできる。そのほか、炭酸入りミネラルウォーターや自家製シロップのソーダ割りなどノンアルコール派も満足のラインナップだ。
レフェクトワールの「パン屋」というベースが、お客様に気軽に利用してもらえるきっかけとなっており、ビストロよりもカジュアルに、カフェよりは贅沢に食事を楽しめるバランスの良い店となっている。フランス料理をアレンジしたサンドウィッチしかり、過ごしやすい空間づくりしかり、「レフェクトワール」=「食堂」の名の通り、足繁く通いたくなる「パン食堂」なのである。
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