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ランダムトーク

フードリンクレポート

2015年7月26日(日)19:49 ランダムトーク

日本にいないか、燗ガール。

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取材・執筆 : 安田正明 2015年7月26日執筆

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 新橋駅東口の駅前ビルに行きました。西口の有名なニュー新橋ビルと共に、サラリーマンのオアシスとされています。館内には通路の両側に小さな飲食店が並んでいます。かつては居酒屋や小料理店ばかりでしたが、ワインバルやハイボール酒場も出来て若者も惹きつけています。広い通路にはテーブルがはみ出し、横丁気分も満喫できます。しかも通路は冷房付き。丸の内はカッコいいですが、新橋の駅ビルも味があっていいですね。ランダムトークです。

 日本にいないか、燗ガール。

 最近、燗酒が気になっています。銀座で70年以上続く焼鳥「鳥繁」では、日本酒を入れた純銀のヤカンをコンロにかけては外し、常に飲み頃の温度に保つお燗番の方がいます。燗酒を注文すると、純銀のヤカンを持って客席までやってきて、シェリーのベネシアンドール、中国茶芸師のように、ガラスのグラスに1メートル上から注ぎます。勢いよく泡立ち、表面張力ギリギリでヤカンをキュッと止めます。

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「鳥繁」のお燗番、佐々木さんの技。

 銀はお酒をまろやかにすると言われ、泡立ちはお酒に空気を入れて、こちらもまろやかにしてくれます。ここのお酒は大関。日本酒通には敬遠されがちの大手ブランド。同行した日本酒蔵の方は味だけでブランドが分かると言っていましたが、大関とは全く分からない味に変わっていると驚いていました。

 同じく銀座で70年以上続く「升本」。昭和に使われていたクラシックな酒燗器が現役です。ビールのディスペンサーは瞬間に冷やしますが、これは逆に瞬間に温めます。お湯の湧くボイラーの中を銀の管がとぐろを巻いています。一升瓶からマグに日本酒を注ぎ、マグで酒燗器上の漏斗からお酒を注ぐと、ジェットコースターのようにボイラーの中を酒が回り、下口に置いた別のマグに落ちてきます。このマグを持って客席に向かい、ガラスのグラスに注ぎます。熱燗の場合は2度通します。別の酒を酒燗器に入れる前には水を通して洗います。

 日本酒が売れていた昔には大忙しで、マグを持って客席を飛び回っていたそうです。日本酒蔵が吟醸や純米など高く売れる酒にこぞって走ったから、庶民の普通酒が忘れられ、ますます日本酒が売れなくなったと店主が嘆いていました。また、今はこの酒燗器を直せる職人がいなくなってしまったそうです。

 西新宿で5月にオープンした「燗アガリ」でも「升本」にあるような酒燗器があります。かっぱ橋で見つけたそうです。しかし、外形のカッコ良さはありません。ボイラーの中はステンレスの管でしょう。

 ロサンゼルスに行った際、日本料理店でブロンドの女性二人がお銚子とお猪口で差しつ差されつ燗酒を飲んでいたシーンが未だに目に焼き付いています。日本でも女性が燗酒を差しつ差されつするシーンはあり得ない事でしょうか。流行のボタニカル柄のお銚子とお猪口で燗酒を楽しむ、『燗ガール』なんて楽しそうじゃないてすか。

yasuda.gif安田正明(フードリンクニュース主宰) 

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