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2015年2月18日(水)16:35
池袋に登場!ファミマとまいどおおきに食堂のコラボ店。コンビニと外食共存の道を示唆。
コンビニの外食化はもう止まらない!利便性からくつろぎの場へと変貌中。(5-2)
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取材・執筆 : 長浜淳之介 2015年2月17日執筆
古くはおでん。最近では唐揚、いれ立てコーヒー、そしてドーナツと、コンビニは外食の領域に深く切り込んできた。弁当も内容の改善が年々進み、持ち帰るだけでなくその場で食べたい顧客が増えて、イートイン設置が当たり前になってきている。それだけではなく、飲食店との融合でつくり立てを提供する店や、飲食スペース専門の店員が勤務する店まで登場してきた。利便追求で伸びてきたコンビニが、今、ゆっくりと飲食していってほしいと一様に言い出してきている。その背景にどのような消費者がいるのか。外食にとってどこまで脅威なのか。取材してみた。(5回シリーズ)
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コンビニの外食化はもう止まらない!利便性からくつろぎの場へと変貌中(5-1)
ファミリーマート+まいどおおきに食堂 東池袋四丁目店。コンビニと外食の一体型実験店。
ファミリーマートは、2014年7月23日、東京・池袋に、「まいどおおきに食堂」との一体型店舗をオープンした。店名は、「ファミリーマート+まいどおおきに食堂 東池袋四丁目店」とそのまんまだが、ファミリーマートがコンビニと外食の双方の機能を兼ね備えた一体型店舗を出すのは初の試みだ。この東池袋四丁目店は、外食大手のフジオフードシステムがフランチャイジーとなっており、外食のコンビニ進出という側面も持つ。外食企業がコンビニを事業多角化の一環として出店するのは、とりわけ珍しいことではないが、同店の場合はコンビニの店舗内に、カウンター式の大衆食堂が設置されたような形態となっている。
店に入って、左側が食堂、右側がコンビニ。
でき合いの商品を販売するコンビニは、でき立ての商品を提供する外食に対抗するため、製造、チルド、輸送の技術を高めてきた。近年の弁当、惣菜、サンドイッチ、おにぎりの品質向上は目覚しい。しかし、それらの技術を究極まで高めても、永遠に埋まらない最後の溝を埋める解は、コンビニ自体ができ立てを提供して、外食になることなのかもしれない。そのような重大な問題提起を孕んでいるようにも思える、注目店である。
ファミリーマートの本社がある池袋は、コンビニのシェアーを圧倒的に同社が握っており、エリアによっては、一ブロックごとに店舗があるという表現も、あながち誇張とは言えないほどだ。そうした中で、単純にイートインコーナーをつくってもインパクトに欠けるとの認識も、企画者にはあっただろう。
食堂はデリも兼ねている。
「既存のファミリーマートは、近くて便利な店づくりを目指してきましたが、最近はお客様のご要望が多様化しています。そこで、ドラッグストアーと組んだり、スーパーと組んだりして、一体型で実験店に取り組んでいます。外食との実験店、東池袋四丁目店は、フジオフードシステム様が外食の強みを生かして、コンビニでつくり立てのお弁当や惣菜を売っています。中で食べたいお客様のニーズも増えているので、カウンターで食べられるようにもなっています」(ファミリーマート・広報)。ファミリーマート・広報によれば、カウンターコーヒーのヒットもあって、顧客から店内で飲食したいというニーズが高まっており、イートインはできるだけ付ける方向性となっている。2層の店舗では、上階のスペースが全てイートインになっている店もある。
いれ立てが味わえるカウンターコーヒーは、その場ででき立てを飲みたい、食べたいといった顧客のニーズを増大させており、東池袋店でのカウンター飲食店の設置は、その先にあるコンビニの未来像を先取りしたと言えるのかもしれない。
「まいどおおきに食堂 東池袋食堂」店内。カウンター形式になっている。窓に面しているほうはコンビニのイートインで食堂利用の顧客席ではない。
実際に現地を訪問してみると、有楽町線東池袋駅と、サンシャインシティの中間あたりのビジネス街にあり、首都高速5号池袋線が面した道の上を走っている。このあたりは高層マンションも増えていて、新しく流入した住民も少なからずいるといった立地だ。
店内に入ると、向かって右側が「ファミリーマート」、左側が「まいどおおきに食堂」となっている。食堂を利用する場合は、カウンターに座って注文をし、会計は食べ終わってからコンビニのレジに伝票を持って行って済ませる。つまり、後払いで、レジは共通となっている。席数は13席。なお、食堂カウンターの通路の向かい側、窓に面してはコンビニのイートインコーナーが設置されていて、「ファミリーマート」で買った商品を座って食べられる。座席は無料電源のコンセント付きだ。
人気メニュー「サイミン」480円(税抜)。ハワイ風ラーメン。
夜間など食堂に顧客がいない時は、店員はコンビニにいて仕事をしているが、顧客が入ってくると、注文を受け、オープンキッチンで調理をして食事を提供する。店員は2つの店舗を兼任している。食堂は、弁当、量り売りに対応した惣菜のデリの機能も持っており、オフィスや自宅に持ち帰りが可能だ。弁当、惣菜は「ファミリーマート」側の棚にも「まいどおおきに食堂」専用コーナーが設置され、通常のチルド弁当とは別に、店内調理の弁当も買い求めることができるようになっている。
オープンキッチンで店内調理。
メニューは、市中にチェーン展開されている、通常の「まいどおおきに食堂」とは大きく異なり、棚に置いてあるおかず、惣菜を取って、レジに持っていく方式を取っていない。3つの時間帯によって変化する、この店独自のメニューとなっている。まず、朝6時から11時まではモーニングタイムで、380円(税抜)でコーヒーまたは紅茶に、トースト、目玉焼、ソーセージ、ジュースが付く、「モーニングセット」などを販売。
朝11時から昼3時までのランチタイムは、メインの料理とご飯、スープ、惣菜類が付いた、580円(惣菜3品)と680円(惣菜5品)の定食を中心に、ビーフカレー、ミートスパゲティーなどが提供される。
「厚切り豚の生姜焼定食」650円(税抜)。昼3時からラストまでのメニューの1つ。
そして、昼3時から朝方4時(ラストオーダー3時半)までの、ハッピータイム&ディナータイムは、 600円前後の定食が中心。さらにはビーフカレー、ミートスパゲティーに加えて、ハワイアンパンケーキや、海老でダシを取ったラーメンに似た麺「サイミン」などが提供される。フジオフードシステムでは、「通常のまいどおおきに食堂のように、小鉢を並べる棚を設置するスペースがありませんし、コンビニと顧客層も異なります。オペレーションのやりやすさを考慮すると、洋食中心のメニュー構成となりました。カフェとしても使えますし、深夜でも便利な店を狙っています」と、趣旨を語った。
メニューは3つの時間帯によって変わる。
珍しい「サイミン」をメニューに採用したのは、「おいしくて、つくりやすいから」とのことで、これまで日本ではほとんど知られてなかった、ハワイの麺料理がブレイクする切っ掛けになるかもしれない。軽いタッチの麺料理で、飲んだ後に締めで食べても良さそうな味だ。それにしても、ランチ需要をメインと考えると、このような食堂業態でなくても、たとえばカレー店、丼店、うどん・そば店、ラーメン店などがコンビニに併設されていても、いっこうに構わないような気もしてきた。「ファミリーマート+まいどおおきに食堂 東池袋四丁目店」は、コンビニと外食が顧客を奪い合うのではなく、共存する道を示唆しているのかもしれない。ファミリーマートとまいどおおきに食堂のコラボ店舗の2号店を7月に計画中だ。
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