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2015年2月03日(火)17:09 トレンド

かつてない食の体験に誘う白鍋。比内地鶏白濁スープの蟹鍋、豆乳クリーム鍋に綿飴鍋も!

~多様化する鍋ニーズ~一人鍋から女子会鍋、贅沢鍋まで(5-5)

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取材・執筆 : 長浜淳之介 2015年2月2日執筆

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 鍋の需要が多様化している。定番化している忘年会、新年会の鍋とは別に、牛すき鍋を先導役に一人鍋が急増。女子会、カップル向けの鍋も、菌活、腸活のような新しい考え方を取り入れたり、見た目の楽しさを重視したデコ鍋が話題になったりと、変化している。また、脱デフレの流れの中で、フグ、エビ、カニなどといった高級海鮮や牛肉を使った、一捻りを加えた贅沢鍋が、トレンドに敏感な顧客層に人気を博すといったように、今年の鍋は賑やかさを増している。(5回シリーズ)


一人鍋を牽引する牛すき鍋。吉野家は早くも500万食突破!すき家は店員負担軽減で自信。 

~多様化する鍋ニーズ~一人鍋から女子会鍋、贅沢鍋まで(5-1)


"デコ鍋"で、多様な鍋ニーズに応える居酒屋が増加。

~多様化する鍋ニーズ~一人鍋から女子会鍋、贅沢鍋まで(5-2)


ヘルシー鍋の新潮流、キノコ、納豆、麹を使った「菌活鍋」登場。コラーゲンとのコラボも。 

~多様化する鍋ニーズ~一人鍋から女子会鍋、贅沢鍋まで(5-3)


とらふぐのすき焼きにハヤシでシメる牛鍋も。贅沢鍋のフロンティアを拓く新調理法続々。

~多様化する鍋ニーズ~一人鍋から女子会鍋、贅沢鍋まで(5-4)


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「今井屋」のプレミアムな白鍋「比内地鶏とずわい蟹の白濁しゃぶしゃぶ鍋」。比内地鶏の鶏ガラを10時間煮たスープにワタリ蟹が入り、比内地鶏の胸肉とズワイ蟹をしゃぶしゃぶして食べる。


 「アナと雪の女王」のヒットを受けて、今年は雪を連想させる白鍋、すなわち白い色をした鍋に注目が集まっている。雪見鍋が典型的なものとして挙げられるが、それに限らず白っぽい白濁スープの鍋にも人気が集まっている。ラーメン界では、鶏白湯の濃厚なスープの商品がヒットしており、そのトレンドが鍋に流入している一面もある。毎年、冬のシーズンは鍋に力を入れ、業態ごとに特徴ある鍋を開発しているダイヤモンドダイニングでは、幾つかの店で白鍋を提供して集客アップに寄与している。


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「今井屋」の「比内地鶏とずわい蟹の白濁しゃぶしゃぶ鍋」がぐつぐつと煮えてきた。


 秋田の比内地鶏専門店「今井屋」系列の都内8店(「えびす今井屋總本店」、「六本木今井屋本店」、「新宿今井屋本店」、「西新宿今井屋本店」、「四ツ谷今井屋本店」、「四谷三丁目今井屋本店」、「東京今井屋本店」、「神楽坂今井屋本店」)で、今シーズン販売して大きな反響を得ているのが「比内地鶏とずわい蟹の白濁しゃぶしゃぶ鍋」(1台=12人前 3800円)。日本三大地鶏の1つ、比内地鶏のスープと、高級海鮮食材であるずわい蟹のリッチなコラボレーション鍋である。鍋付きのコースメニューで6500円。


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ずわい蟹を比内地鶏のスープでしゃぶしゃぶする贅沢。


 「今井屋」には元々、比内地鶏の鶏ガラを100%使用した「白濁ガラ本スープ 究極の水炊き鍋」(2人前相当 3200円)という名物鍋があり、その応用編と言えるだろう。比内地鶏のスープは、50羽分の鶏ガラを8時間、骨を潰しながらマックスの強火で煮立てて完成する手間ひま掛かったもので、旨味成分のグルタミン酸とコラーゲンがたっぷりと含まれている。鶏ガラと水以外は一切使わず、鶏ガラ本来の旨さが引き出された価値あるスープだ。


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「西新宿今井屋本店」外観。


 スープの中には、ワタリ蟹が入っており、ワタリ蟹の出し汁も溶け込んだダブルスープとなっている。このダブルスープに、比内地鶏の胸肉とズワイガニを、野菜と共にしゃぶしゃぶする趣旨の料理だ。濃厚で贅沢感あるスープが、風味豊かな比内地鶏や、繊細な香り高い甘味を持つズワイガニに絡んで、今シーズンらしいプレミアムな鍋に仕上がった。お好みでポン酢とゴマだれを付けて食べると、より味が引き立つ。薬味は辛味の付いたモミジオロシ、ニンニク、刻みネギが用意されている。


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「西新宿今井屋本店」の店内。


 締めは京都・山田製油の手搾りゴマ油を入れて、ラーメンにすることを推奨している。昨年11月までは稲庭うどんで締めていたが、極上のゴマ油に巡り合ってラーメンに変更した。「西新宿今井屋本店」の鈴木政博料理長によれば、「忘年会、新年会のシーズンには接待需要で結構でました。「比内地鶏とずわい蟹の白濁しゃぶしゃぶ鍋」を注文されるお客様は、プラス1500円と2500円の2種類ある飲み放題プランのうち、グレードの高い2500円のほうを注文される方が圧倒的に多かったです」と、この種の鍋が接待で喜ばれていること、飲み放題も高額なほうが選ばれていることを指摘した。


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締めは鶏白湯のラーメンに。


 今年の忘年会シーズンは、居酒屋全般としては苦戦したが、「西新宿今井屋本店」の場合は前年比で100%を超えており、このプレミアム鍋の効果もあって堅調に推移。顧客層は40代男性が中心で、48名のグループが多い。寒い時期は来店した顧客の約7割が鍋メニューを注文するそうで、鍋が店の収益を支えている。放し飼い比内地鶏を使って通常の1.5倍のビッグサイズのプレミアム焼鳥を提供し、衝撃を与えた「今井屋」であるが、鍋の分野でも注目すべき存在となってきた。さて、ダイヤモンドダイニングでは「プレミアム鍋」と「ガッツリ肉鍋」を、今シーズンを代表する鍋として推しており、「比内地鶏とずわい蟹の白濁しゃぶしゃぶ鍋」は「プレミアム鍋」に入っている。


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「やきとり○金(まるきん)」の「○金特製 水炊き鍋 濃厚白濁スープ」。


 同社では、蟹をトレンド食材と考えており、新橋のかに専門店「かに地獄」で提供している、「紅ズワイ・タラバ蟹の漁師鍋」(14800円)なども「プレミアム鍋」にピックアップしている。スープはシンプルに塩と出汁のみ、具の野菜も白菜のみで、丸々1杯のずわい蟹と1kgのたらば蟹をいただく豪快な蟹鍋だ。


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「○金特製 水炊き鍋 濃厚白濁スープ」の煮えてきた状態。


 また、「ガッツリ肉鍋」のカテゴリーで、インパクト抜群の白鍋に「○金特製 水炊き鍋 濃厚白濁スープ」(1人前 880円)がある。これは「やきとり○金(まるきん)」系列、八重洲本店など9店で提供しているメニューで、ゼリー状になったコラーゲンスープとぶつ切りの鶏肉が、これでもかと山盛りに盛られている。火に掛けると、スープが溶け出してトロトロの白濁した濃厚なスープになる。野菜はたっぷりのキャベツがポイントになっており、煮込むほどに甘味を増す。白菜より水分の出る量が少ないので、最後までスープが薄まらないメリットがある。締めはご飯、卵、刻みネギを入れて雑炊にする。


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「あくとり代官鍋之進」の「季節野菜の農園ポタージュ鍋」。女性に人気。


 その他、白鍋では、渋谷の鍋専門店「あくとり代官鍋之進」の「季節野菜の農園ポタージュ鍋」(1人前1701円、税抜 2人前より)は、昨シーズンから継続している商品ながら、今シーズンに入ってテレビ、雑誌の取材が増え、特に女性に人気が高まっている。ポタージュ風味のスープにカラフルな15種類以上の野菜、鶏肉が入り、野菜の風味が溶け出した濃厚な鍋に仕上がる。バジル、カボチャ、トマトのペーストが用意され、味の変化を楽しめるのも面白い。締めは卵を絡めてパスタを入れれば、なんとカルボナーラに変身。サプライズが多い記憶に残る鍋だ。


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「京町恋しぐれ」の「京都町家のしぐれ鍋」。


 さらには、新宿の和食「京町恋しぐれ」では、「京都町家のしぐれ鍋」(1人前1680円、税抜 2人前より)を販売している。大根おろしがたっぷりと乗った雪見鍋仕様のメニューで、醤油出汁のスタンダードな鍋である。肉は、豚肉と鶏肉から選択できる。


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話題の「プレミアム豆乳」の「豆乳クリーム」を使った、「牛本家 正田屋」の「黒毛和牛の豆乳しゃぶしゃぶ」。


 さて、不二製油が開発し、特許を取得したUSS製法によって豆乳を「低脂肪豆乳」と「豆乳クリーム」に分離し、豆乳に革命を起こした「プレミアム豆乳」。この「プレミアム豆乳」を使った白鍋に取り組む店がある。日本橋人形町の牛串専門店「牛本家 正田屋」では、「黒毛和牛の豆乳しゃぶしゃぶ」(1人前1480円、税別 2人前より)を販売している。


 これは高級なA5ランクの黒毛和牛を、「プレミアム豆乳」のうちの脂肪分がリッチな「豆乳クリーム」と、北海道産昆布を合わせたスープで、しゃぶしゃぶして食べるというもの。クリーミーなコクのあるスープが、牛肉の風味を際立たせて新しい感覚の鍋となっている。野菜などの具材は水菜、ネギ、シメジ、豆腐といったものが入っているが、鍋が温まるうちに「豆乳クリーム」が固まってできる湯葉が、この鍋のプレミアム感を演出している。


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「和牛料理 上野 飴家」の名物料理「和牛ランプのすき焼き×わたあめ」。


 白鍋のうちでも、意外な食材の組み合わせで驚かされるのが「和牛料理 上野 飴家」の「和牛ランプのすき焼き×わたあめ」(1人前1980円、税込)。この料理は、牛肉をはじめ鍋にセットされた具材の上に、できたてのわたあめが雪山のように乗っている状態で煮立てる。そうすると、煮詰まるうちにわたあめが割下と溶け込んで、次第にすき焼きとして完成するというものだ。砂糖を加える代わりに、わたあめを使う発想がユニーク。締めも、ちゃんぽん麺をすき焼きの余り汁を調整して、つけ麺風ちゃんぽんにするといったように、一風変わっている。


 以上、プレミアム、サプライズが目白押しの今年の白鍋。中には狙い過ぎと思える商品もないわけではないが、外食各社は知恵を絞って、生まれて初めて心踊るような食の体験へと誘っている。



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