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フードリンクレポート

2015年1月30日(金)17:01 トレンド

ヘルシー鍋の新潮流、キノコ、納豆、麹を使った「菌活鍋」登場。コラーゲンとのコラボも。

~多様化する鍋ニーズ~一人鍋から女子会鍋、贅沢鍋まで(5-3)

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取材・執筆 : 長浜淳之介 2015年1月29日取材

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 鍋の需要が多様化している。定番化している忘年会、新年会の鍋とは別に、牛すき鍋を先導役に一人鍋が急増。女子会、カップル向けの鍋も、菌活、腸活のような新しい考え方を取り入れたり、見た目の楽しさを重視したデコ鍋が話題になったりと、変化している。また、脱デフレの流れの中で、フグ、エビ、カニなどといった高級海鮮や牛肉を使った、一捻りを加えた贅沢鍋が、トレンドに敏感な顧客層に人気を博すといったように、今年の鍋は賑やかさを増している。(5回シリーズ)


一人鍋を牽引する牛すき鍋。吉野家は早くも500万食突破!すき家は店員負担軽減で自信。 

~多様化する鍋ニーズ~一人鍋から女子会鍋、贅沢鍋まで(5-1)


"デコ鍋"で、多様な鍋ニーズに応える居酒屋が増加。

~多様化する鍋ニーズ~一人鍋から女子会鍋、贅沢鍋まで(5-2)


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「オリエンタルレシピカフェ」の名物料理「菌活鍋」。キノコの存在感が際立つ。肉は使わず、大豆発酵食品テンペを使用。スープもゴマベースながら、甘酒、白味噌などが入り、菌尽くしのメニューだ。


 体に良い"菌"を積極的に食事に取り込んで、健康増進、美容に役立てようという菌活は、近年トレンドとなっており、20代から40代の日本女性の約7割が何らかの形で実践しているとも言われている。菌活に使われる食材には、キノコ類、ヨーグルト、チーズ、納豆、味噌、塩麹、キムチ、ぬか漬などがあり、これらを活用した「菌活鍋」もまた、人気の鍋料理として浮上してきている。


 東京・原宿にある「オリエンタルレシピカフェ」では、「菌活鍋」を開発し、昨年723日よりディナータイムに販売し、好評を博している。1人前1600円(税込)で、2人前から注文可能だ。特に宴会シーズンの昨年12月から今年1月まで、「菌活鍋」に前菜2種、締めのセット、デザート、さらにアルコールも含むワンドリンクを加えて一人3000円(税込)の「菌活鍋コース」を設けて積極的にアピールした。


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原宿にある「オリエンタルレシピカフェ」外観。


 「オリエンタルレシピカフェ」は3年半ほど前にオープン。開放的でおしゃれなカフェ&ダイニングの空間で、スタイリッシュに「89zen」(薬膳)を楽しめることをコンセプトとしている。「薬膳」あるいは「漢方」の持つ「にがい」、「おいしくない」、「あやしい」といった印象を変革し、もっと身近に感じてほしいとの趣旨の店である。


 人間は本来、自然の力を借りて病気やウイルスから体を守ったり、排除したりしようとする力を持っている。漢方は、植物、動物、鉱物など、全て自然界に存在するもの。それを薬にしたものが「漢方薬」、食事として提供するものが「薬膳」といった考え方に基づいて運営している。普段の食生活を送りながら、旬のもの・天然のものをいただき、美味しく楽しく薬膳と出会える新しい食のスタイル、「89zen」を追求している。和洋中というジャンルにこだわらずにオリジナルのレシピを開発する「オリエンタルレシピカフェ」であるが、「菌活鍋」も非常に特徴のある料理だ。


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「オリエンタルレシピカフェ」は、スタイリッシュに「89zen」(薬膳)を楽しめることをコンセプトとしている


 「菌活鍋」は12種類の菌食材と、6種類の菌を取り入れ、まさに菌尽くしのメニューである。12種類の菌食材とは、キノコ、たくあん、すんき漬け、干し納豆、テンペ、みりん、醤油、白味噌、塩麹、甘酒、酒、酢。6種類の菌は、キノコ菌、乳酸菌、納豆菌、テンペ菌、麹菌、酢酸菌、となっている。


 肉は使用せず、代用として欧米のベジタリアンに愛好されているインドネシアの大豆発酵食品「テンペ」を厚揚げ風に揚げて使用。ふんわりとした食感が楽しめる。具材には野菜類のほか、菌そのものであるきのこ3種、エリンギ、舞茸、ブナピー(ホワイトぶなしめじ)が主役級の役割を果たしている。


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女子会プランを積極的にアピール。


 きのこは低カロリーであり、食物繊維が豊富。ビタミン、ミネラルも多く、種類によっては舞茸のように脂肪吸収を抑制したり、ぶなしめじのように動脈硬化を予防する効果があったりするものもある。


 また、スープはゴマをベースにして、甘酒、塩麹、白味噌、醤油、酒、味醂といった、麹菌の食品を隠し味に使用。ココナッツオイルを発酵分離して製造した「バージンココナッツオイル」も味の調整に使っている。スープが煮立ってくると、ゴマの香りがなかなか香ばしく食欲をそそる。


 締めは、ご飯を入れて雑炊にするか、コンニャク麺を入れて中華そばのような感じで食べる。ご飯とコンニャク麺の人気は半々だそうだ。


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カフェでも鍋が出るような時代になった。


 長野県のすんき漬けのような珍しい食材も入っているが、たくあんも含め、スープに浸すとまろやかで意外な発見がある。干し納豆はゴマ味との相性が良く、スープが引き立つ。


 「菌活鍋」の以前から提供してきた、ラム肉を使った「季節89zenの火鍋」(1人前1700円)と合わせて、「オリエンタルレシピカフェ」に現在2つの鍋があるが、どちらも年間商品となっている。夏場は冬ほどは出ないが、同店によれば「夏も職場では冷房で冷えるので、体の芯から温まる鍋メニューは欠かせない」としている。


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キノコ好きにはたまらない「菌活鍋」だ。


 顧客は女性が8割と圧倒的に多く、20代から30代が中心。原宿駅に近い立地から、首都圏一円から、時には関西、中京、東北のような遠方からも、「89zen」を求めてやってくる。カレーライスや山査子ソースの油淋鶏の人気が高い店であるが、女子会ともなればやはり鍋のニーズが高い。23人でやってきて、メニューを見て、「菌活鍋」を注文する人も案外多いそうだ。


 お酒は、オーガニックワイン、薬膳酒、日本酒が合っているとのことだ。


 「オリエンタルレシピカフェ」は薬膳セミナーも開くほど、薬膳の専門性が高い店ではあるが、カフェのような業態でも鍋の開発に力を入れてきていることは注目に値する。しかも「菌活」という新しい分野にチャレンジして、テレビ、雑誌に取り上げられ、発信力を示した。これからは鍋料理がカフェにも、浸透していく予感がある。


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「芝浦食肉」と「おかめ納豆」がコラボ。新提案「納豆もつ鍋」。


 さて、これまで女子会狙いの美容に良さそうな鍋と言えば、コラーゲンが入った鍋が挙げられるが、今シーズンはこのコラーゲン入り鍋に、菌活を取り込む動きも出ている。


 たとえば菌活食材である納豆を使って、もつ鍋をバージョンアップさせた、「納豆もつ鍋」が新しく提案されている。これを提供しているのは、エー・ピーカンパニーが運営するホルモン専門居酒屋の「芝浦食肉」系列の各店。


 「おかめ納豆」で著名なタカノフーズとのコラボレーションで、タカノフーズがメニューで飲食店とコラボするのは初めてとのこと。価格は"納(7)豆(10)"から、1人前710円(税別)に設定。2人前から注文可能だ。


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「芝浦食肉」南池袋店。


 「芝浦食肉」では、10頭に2頭の割合でしか取れない希少部位「大とろホルモン」を、地鶏のガラを8時間煮込んだ天然コラーゲンたっぷりのスープでいただく、もつ鍋が売りの1つ。毎冬期間限定で「カレーもつ鍋」、「明太とんこつもつ鍋」などといった新感覚の商品を提案しているが、「納豆もつ鍋」もその一環である。


 大とろホルモンの旨味が詰まったもつ鍋に、原料の大豆からこだわった「おかめ納豆」のコクが加わって、まろやかで口当りの良い鍋になった。コラーゲンと菌活の両方の要素を備えた、特に女性に推奨できる商品に仕上がっている。締めはさらに納豆を追加して、大葉の香りが爽やかな「納豆パスタ」(1人前460円、税別)にする。


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GINZA春夏秋豚」の「美肌菌活コース」より、菌活鍋。


 銀座のコラーゲン豚しゃぶ専門店「GINZA春夏秋豚」の「美肌菌活コース」(1人前5900円、税込、2人前から)は、鍋に相性が良い3種のキノコと刻み白ネギなどの野菜各種を入れ、新潟県のエサや水を厳選したブランド豚でビタミンB1が豊富な「魚沼健康豚」のバラ肉、ロース肉、肩肉をしゃぶしゃぶでいただくコース。鍋には豚の拳骨を煮込んで48時間かけて抽出した、プルプルの純正コラーゲンジュレを溶かし込む。


 薬味としても、菌活食材である、辛味噌、塩麹、醤油麹が用意されている。

7品のコースには、旬の肴、サラダ、締めの魚沼産コシヒカリまたは黒米を使った雑炊、食後の京抹茶と甘味といったものが付くが、発酵をテーマにした副菜も1品これらに加わっている。


 お酒は、オーガニックワインが中心。元々女性人気が高い店であるが、コラーゲンにプラスして、キノコ、辛味噌、塩麹、醤油麹と菌活食材がたっぷり摂取できる菌活しゃぶしゃぶを中心とした「美肌菌活コース」は女子会で特に選ばれる傾向が強いという。


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「春夏秋豚」店内。


 女性、特に20代後半から30代を狙った居酒屋を中心に、美肌効果があるとされるコラーゲンを強調し、コラーゲン玉を入れたもつ鍋、しゃぶしゃぶなどが数多く提案されている昨今であるが、競合も多く、そろそろ飽きられつつある懸念も考えなければならない。


 そこで体に良い菌を取り込む、キノコや発酵食品を積極的に活用する、菌活にいち早く着目することで、美容と健康に対して意識の高い女性たちを、呼び込めるのではないだろうか。



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