スマートフォン版のフードリンクニュースを見る

RSSフィード

トレンド

フードリンクレポート

2015年1月05日(月)11:01 トレンド

居酒屋は市場最適化の局面を経て、新たな時代へ。

2015年、居酒屋復活!第1回

記事への評価

  • ★
  • ★
  • ★
  • ★
  • ★
0.0

取材・執筆 : さとう木誉 2015年1月5日

キーワード :   

 「甘太郎」など居酒屋業態から外食事業をスタートさせ、いまや国内外食企業売上4位の総合外食企業へと成長したコロワイド。2014年は、12を数える主要居酒屋ダイニングバー業態も好調に推移しているという。中でも注目なのが、の総合居酒屋において、業績復活の兆しが現れている点だ。好調の要因を、グループ広報マネージャーの高木潤一氏に聞いた。

korowaido.png
居酒屋業態は回復の兆し(写真:北海道など総合居酒屋の外観)
 
 2014年は、時期に差はあるが、早いブランドで5月ごろから、9〜10月にはほぼすべての居酒屋ブランドで売上が前年を超える日が増加してきた。回復スピードに差ががあるものの、当社が居酒屋ブランドの復活に向けて取り組んだ施策が成果として現れ始めている。取り組んだ施策として、既存のブランドコンセプトの明確化・見直しを進めたことにより、お客様のニーズとミスマッチを起こしてしまっていた部分を軌道修正していった。

 あるブランドはかつて女性客をメインターゲットにしたメニューを売りに店数を伸ばしていたが、このコンセプトが今のお客様のニーズに合わなくなっていたため、ベーシックな居酒屋メニューを強化し男性客も利用しやすいメニュウに変え集客につながっている。別のブランドでは、既存店舗の立地再開発によるターゲット変化に合わせ、店舗の撤退やリロケーション、業態転換などを進めてマーケットニーズに合った出店戦略を採った。

 居酒屋ブランドについては、年齢層や客単価、利用動機別に業態のポートフォリオ化を進めている。また新たな取り組みとして、総合居酒屋で、大人数を収容できる強みが活かし「インバウンド」客の集客強化に取り組んでいる。インバウンド対策を始めたのが7年前からで、昨年は「インバウンド課」を設け、海外からの観光客の集客に取り組んできた。「IZAKAYA」は外国人に人気で、日本の食文化を伝えるツールとして、旅行会社などと連携しやすく新たな市場開拓となっている。

 需要は右肩上がりで、2014年度も20万人のインバウンド客を見込んでいる。客層は、今は中国や台湾からの観光客がメインだが、今後はASEAN広域からの観光客の増加を見込んでいる。2014年7月には神奈川・横浜市文化観光局と提携して、横浜市内の5店舗に「ムスリム用礼拝マットとコンパス」を導入した。これも今後のインバウンド客拡大にむけての布石のひとつだ。

 外食は景気の浮揚に左右されやすい業態のため、今後も予断を許さず慎重な姿勢で、新たなニーズの掘り起こしを進めていく構えだ。

メニウくん.png
ITによる人材不足対策は喫緊の課題(写真:タッチパネル注文機)
 
 2014年は、少子高齢化、他産業の求人増、ブラック企業のニュースなど、外食産業全体で人材不足に拍車をかける話題が多かったが、弊社に限っていえば、それほど問題が深刻化しているわけではない。
 
 人材不足対策については、じつは10年前から取り組んできており、例えばセルフオーダータブレット「メニウくん」を製造するメーカー「ワールドピーコム(株)」がグループにあるのもそのためだ。セルフオーダータブレット「メニウくん」を導入すれば、そのぶん少ないスタッフ数で店舗運営でき、人件費抑制というオマケもついてくる。地方を訪れると人材不足の深刻さを痛感する。すでに人口減少が始まっている地方ほど、店舗運営にIT活用は不可欠だ。じっさいワールドピーコムには地方の外食企業からの問い合わせが増えている。

 かつてはセルフオーダータブレットの導入は「サービス低下につながる」と言われたが、近年のスマートフォンの普及によりITリテラシーが年齢層を問わず高まっている事も追い風となっている。実際はお客様にとっても利便性が高い。注文時にスタッフを呼ぶ手間が省けるし、シニア客などセルフオーダータブレットの使い方がわからないお客様には従来どおりにスタッフが対面で注文をとるなど客層に合わせた対応ができる。加えてスタッフには、オーダーテイクという作業から解放されたことで、より質の高いサービスに時間をまわすよう指導している。

LINE温野菜1 (2).png
スマートフォン販促は「広く浅く」でも効果大(写真:温野菜のLINEトップページ)
 
 また集客についてはスマートフォンを活用した販促にも注力している。とりわけ無料通話メールアプリの「LINE」は、すでに170万人の会員数をほこるブランドもあるほどだ。スマートフォン販促は、雨の日や予約の少ない時間帯に絞ったクーポンを配信するなど、天候や集客状況に応じたタイムリーな販促が打てることが大きな利点。また、動画なども流せるので、商品説明を動画で配信したり、オリジナルキャラクターに説明させたりするなど、活用の幅を広げていきたい。

 メールマガジンやSNSの「フェイスブック」など、その他のインターネット販促も行っている。スマートフォン販促については、媒体のターゲット特性に合わせて、「広く浅く」も有効と考えている。お客様とのコンタクトポイントを多様化し認知を広げることが、結果として集客につながっていくと考えている。

 弊社は「甘太郎」や「北海道」などの居酒屋業態が主力だと思われがちだが、2016年度の売上げ構成比は、居酒屋3:レストラン7くらいの割合になり、牛角、かっぱ寿司、温野菜などのレストラン業態の割合が大幅に拡大する。もともと居酒屋の市場規模が1兆円程度と言われているのに対して、レストランは12兆円。総合外食企業をめざす弊社にとって事業のポートフォリオが、市場規模に沿ったものになるのは必然で、単なる居酒屋事業の縮小を意味するものではない。市場規模に合った店舗展開によって居酒屋は、ふたたび輝きを取り戻すだろう。


読者の感想

興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0

  • 総合評価
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
  • 0.0

この記事をどう思いますか?(★をクリックして送信ボタンを押してください)

興味深い
役に立つ
送信する
誰かに教えたい
  • 総合評価
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
  • 0.0

( 興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0

Page Top