フードリンクレポート
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取材・執筆 : 桐田政隆 2014年11月21日
次に訪れたのは東京・清澄白河駅にある「くし家 清澄白河店」。本場大阪直送の串かつ専用ソースを使用し、関西人も唸るサクッとジューシーな串かつが看板メニューだ。取材当日も開店前にも関わらず、「まだ開いてないの?」と、通りすがりの地元客が続々と押し寄せる人気ぶり。関西の串かつをウリにしながら、下町風情漂うフレンドリーな雰囲気もお店の魅力となっているのだろう。
ドリンクメニューの表紙にバチ割りのオリジナルメニューをドンと掲載。また箸立てには、アサヒビールと共同開発したバチ割りのステッカーを貼っている。
くし家 清澄白河店では6月中旬からバチ割りを導入した。小林店長によると、もともとお客様は甲類焼酎を飲む人が多く、さらに夏になると冬と比べて芋や麦といった乙類焼酎の動きが落ちてしまう傾向にあったという。そこで目に留まったのが、アサヒビールが提案していたバチ割りだった。「まず見た目に清涼感があるし、すだちなどで香りが爽やかになるのもいい。これは助けの舟になると思いましたね」。そこで夏に向けた焼酎の目玉メニューとしてバチ割りを導入。さらにアサヒビールと共にアイデアを出し合って、清澄通りに面した店頭にはバチ割りメニューをどんと掲載した看板を、店内各席の箸立てにはバチ割りのステッカーを貼るなど、精力的にバチ割りをアピールした。また接客時にもすすんでバチ割りの紹介を行っていたこともあってか、アサヒビールが覆面調査員を派遣して開催した、首都圏の飲食店約100店舗によるバチ割りのアピールコンテストで優勝を果たす。「おかげさまでスタッフのテンションも上がりましたし、バチ割りの売れ行きも予想以上に好調なものとなりました」。
「くし家 清澄白河店」でもすっかり人気のメニューに定着しているバチ割り。
同店では本格芋焼酎の「龍門滝 黒麹仕込み」と「さつま司(白麹仕込み)」、また本格麦焼酎「一番札 特撰」を用意。また一番人気のすだちからとうがらしとしそ入りの「金魚」など、現在3種類のトッピングが無料サービスで、各3280円でバチ割りを提供している。
同店では客層の大半が常連客、またそれ以外では平日はサラリーマン、土日は地元の家族連れになるという。ただいずれにせよ、やはり深川という土地柄もあってか、これまでは焼酎の売り上げの大半は甲類だったそうだ。しかしバチ割りの導入以降は、芋や麦焼酎をオーダーするお客様がどんどん増加。さらに相乗効果があったのか、「焼酎全体の売上が例年に比べて倍増し、もちろんアルコール全体の売上も上がりました。これまでは夏場の芋焼酎の回転が悪かったのですが、今ではバチ割り用に常にボトルキープしているお客様も多く、毎日必ずボトルが出るほどです。乙類焼酎の売上の、夏場の落ち込みがなくなったのは初めてですね」。
くし家自慢の串かつと、すだち入りのバチ割りは相性抜群だ。「串かつ お得な10本セット」(1200円)。秋冬限定でじんわり味の染みたおでんも登場。「おでん5品盛り」(580円)。キャベツは無料。
同店では江戸っ子に嬉しいマグロねぎまといったバラエティ豊かな串かつに加えて、先日からおでんも提供している。そして11月中からはバチ割りをオーダーしたお客様には、なんと嬉しいことに「おでん3品盛り」を無料サービス。さらに秋冬限定のメニューとして、焼酎のお湯割りに、おでんの出汁をトッピングした、バチ割り改め、出汁割りの提供も検討しているという。これからの季節、宴席の終盤にもピッタリな、滋味深い出汁割りにも注目が集まりそうである。
左から小林 隆店長、スタッフの内海なぎささん。
そして小林店長によれば、毎日店の前を通る方には、バチ割りの看板を見ているうちに気になって仕方がなくなり、バチ割りがきっかけで初めて来店してくれたというお客様も多いそう。また顔馴染みのお客様では、「今日はバチ飲みに来た!」と言って来店される方もいるそうで、「お客様との距離感が確実に縮まりました」と笑顔を見せてくれた。「やはり飲食店としては、少しずつ何かしら変化を模索することが多いと思います。そういった意味でも、バチ割りは各方面で様々な刺激をもたらしてくれました。もちろんウチだけに限らず、バチ割りは店として変化をしていくよきツールになると思いますね」。
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