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取材・執筆 : 安田正明 2014年5月25日執筆
ワタミが今年から始めた専門業態2店舗を訪問しました。武蔵小杉の中華ビストロ「ワンズガーデン」と、銀座の炉端「銀政」です。客単価は共におよそ4000円。従来の「坐和民」約3000円、「和民」約2500円、「わたみん家」約2000円に比べて高級業態です。
「ワンズガーデン」はオープン当初は、かつてのグローバルダイニングを思い出すほどのイキイキした接客と、活車海老に紹興酒を注いで生で食べる「酔払いエビ」などの凝った料理でワクワクする店でした。
しかし、先週の訪問では残念ながら約130席の広い店内にわずか4組。スタッフは勢いもなく、パントリーで暇に任せて私語。あの接客は何処に行ったのか、と寂しく思いました。ただ、料理は変わらず美味しいものでした。
「銀政」は古いオフィスビルの7階。地下と7階にしか飲食店はなく、エレベーターホールはひと気なく不安になりましたが、ドアが開くと大きな提灯が出迎え、その奥の店内からは賑やかな声や音が響いてきます。
ほぼ満席です。大きなコの字のカウンターに野菜や鮮魚が満載。オープンキッチンではスタッフがお客様の目の前で調理に没頭しています。カウンターのネギを吟味する姿にプロ意識を感じました。
客層は中高年で小綺麗な会社員。美人秘書と二人で来たような男性もいます。大きなしゃもじで出された料理に写真を撮ろうとする女性客もいます。ボトルキープした焼酎一升瓶を早く出してと着物を着た女将に駄々をこねる中年男性もいます。
さすがにカゲン中村悌二氏のプロデュース。割烹の本格感と酒場の賑わいの双方が入り混じって良い雰囲気です。5千円以上のような雰囲気の店舗なのに安いことが中高年を惹きつけている理由でしょう。同様に炉端をウリにする店がじわじわ増えていますが、トロ箱系のチープな内装が多いですが、それでは今は厳しいと思います。
居酒屋ワタミと専門店ワタミではスタッフの動かし方が異なります。没個性的な居酒屋接客から、各人の個性を出した専門店接客への変化が求められます。
そう言う意味では、キッチンの隔離された「ワンズガーデン」に比べ、スタッフが注目されやすい「銀政」は人が育ちやすそうです。ワタミ傘下で、エンターテイメント性の高い「TGIフライデー」も働くスタッフがイキイキしてました。昨今の牛肉ブームも伴い、同店も繁盛しています。
ワタミで働くスタッフが自分の仕事を面白さを知り、仕事に誇りを持つようになることが、総合居酒屋「和民」復活の鍵ではないでしょうか。総合居酒屋を「接客専門業態」と位置付けてはいかがでしょうか。
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