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取材・執筆 : 安田正明 2014年3月23日執筆
神楽坂の「伊勢藤」に何年ぶりかで行きました。時代劇にも出てきそうな酒場です。80年続き現在の店主は3代目。最近はめったに見られない縄のれんをくぐると、時代劇の居酒屋にタイムトリップします。薄暗い店内には囲炉裏を囲むカウンター席と、靴を脱いで上がる畳の座敷席があります。囲炉裏では店主が座り、日本酒の燗をつけ続けています。侍が座って刀を支えに徳利を抱えているのが相応しいイメージです。
最近、日本酒の燗をウリにする店舗をたまに見ます。「かんすけ」という業務用の電気式酒燗器がよく使われています。3月20日に開業した日本橋のコレド室町2にご当地酒場「牡蠣場 北海道厚岸」がオープンしました。同店では各テーブルに「かんすけ」を置き、お客様が自分で燗をつけます。
「伊勢藤」の店主が最新の注意でつける燗酒はもちろん美味く、おまかせで出される酒の肴とのマッチングも最高です。しかし、以前からそうなのですが、お客様へのしつけの厳しさも最高です。
テーブルには陶器の呼び鈴が置かれています。声を出して店員を呼ぶと、「鈴を使って下さい」とたしなめられます。近くのテーブルでは男性客が柱に寄りかかりました。すかさず店主が「見場が悪いので寄りかからないで下さい」。お替りの酒を注文しようとすると、「もう止めて下さい」。店の静かで上質な雰囲気を壊すような行為やお客様は拒否します。
お客様のわがままにどれだけ応えられるかが、今のサービスです。サービスの基本は「また来たい」とお客様に思わせる事。お客様の期待を大幅に超えることが出来れば「また来てくれます」。高見からお客様をたしなめて、品位を思い起こさせることも「また来たい」に繋がるようです。だって「伊勢藤」は80年続いてますから。
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