ランダムトーク
記事への評価
取材・執筆 : 安田正明 2013年6月2日執筆
日本酒の扱いで有名な千葉の酒販店、いまでやの直営飲食店「蔵葡(くらぶ)」に行きました。東京・築地警察署の裏手の飲食店は全くない分かりにくい場所ながら、客席は7割ほど埋まっていました。着物を着た粋なお姐さんもおり、独特の雰囲気を醸し出しています。自慢の日本酒もありますが、ここのウリは国産ワイン。料理は日本酒のアテのようなものが多く、ちょっと戸惑いました。
最近、また日本酒の話題を良く聞きます。何年かに一度、必ず話題になって次のブームは日本酒かと言われますが、実際にはなかなか大きなムーブメントにはなっていません。国税庁の課税移出数量を調べてみました。2012年4月から13年2月までの11ヶ月累計では、日本酒(清酒)は前年に比べ数量で2.9%減。マイナスです。
2011年度(4~3月)は震災復興で東北の日本酒が伸び、0.1%の微増に復活しましたが、その後、再びマイナスに転じてしまいました。最近よく飲まれるワイン(果実酒)は同期間で何と15.1%増。このトレンドが仮に続けば、3年後に、ワインは日本酒を数量で抜くかもしれません。
日本酒をタイプ別にみると、2011年の酒造年度(7~6月)では、吟醸1.4%減、純米2.8%増、純米吟醸7.2%増、本醸造1.3%減です。純米吟醸と純米は伸びています。飲食店の現場を見るとこの傾向は分かります。純米吟醸と純米の売れ方を見ていれば、日本酒が売れていると感じます。
弊社の社員が健康診断で糖尿病の可能性があると判断されました。アドバイスされたことは、日本酒とビールを控えること。ワインを飲めと言われたそうです。彼の父親もその可能性があり、別の医者からも同様の事をアドバイスされたそうです。五訂日本食品標準成分表によれば、100ml中の糖質は、赤ワイン1.5g、白ワイン2.0g、純米酒3.6g、純米吟醸酒4.1g、ビール3.1g。確かにワインの方が低い。
日本酒が売れるためには、この糖質の問題を解決すること。また、気軽に飲める安価な日本酒を提供すること。ワインブームをここまで広げたのは、飲食店でボトル2000円程度で飲める気安さ。この奔りは、ヒュージの「リゴレット」。2006年4月オープンの吉祥寺店で2500円均一で販売したことです。さらに、ヒュージの日本料理「新(あらた)」では2500円均一で720mlボトルの日本酒を4種類販売しています。
日本酒もワイン同様、手の届く均一価格で店舗が太鼓判を押せるブランドを4合瓶で売ってみてはいかがでしょうか。日本人だから日本酒を飲みたいというムーブメントは今あると思います。そこに価格で背中を押してあげれば、実際の消費に繋がりそうです。後は、糖質の問題が解決できればますます良いトレンドになりそうです。
読者の感想
興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0
- 総合評価
-
- 0.0