スマートフォン版のフードリンクニュースを見る

RSSフィード

トレンド

フードリンクレポート

2013年2月25日(月)11:15 トレンド

ビール事業は「超達人店」で真摯の美味しさを追求。ウイスキーは次の次元へ。

【大手酒類メーカー4社の2013年】~サントリービア&スピリッツ株式会社~

記事への評価

  • ★
  • ★
  • ★
  • ★
  • ★
0.0

取材・執筆 : 酒井慎平 2013年2月21日執筆

キーワード :        

 酒類大手4社に今年の業務用戦略を伺う恒例の特集。サントリーグループの業務用酒類事業は、「ザ・プレミアム・モルツ」、「角瓶」といった主要ブランドの強化に加え、「山崎」、「白州」の新商品発売、ノンアルコール飲料市場における需要の拡大などにより、前年を上回る結果を残した。2013年における事業戦略を、國弘克英氏(サントリービア&スピリッツ株式会社 営業推進第1部 ビール営業部 課長)に伺った。

_DSC1854.png
國弘克英氏(サントリービア&スピリッツ株式会社 営業推進第1部 ビール営業部 課長)。

■ビール事業は真摯に美味しさを追求。

まず、昨年のビール事業の振り返りと共に、今年の事業計画と伺った。

 國弘氏は、「昨年のビール類総市場は、対前年比99%に対し、同社は対前年比105%と好調でした。震災の翌年という事もありますが、ひとえにお客様からの支持に恵まれた結果だと考えております。最近では、全国各地で老舗有名飲食店様でも取り扱ってもらえるようになり、お客様からの支持というフォローウィンドウを強く感じた一年でした」と昨年を振り返った。

BPDB_S1_1112_l[1].jpg

 また、昨年のビール市場全体が縮小傾向にあるなかで、同社が好調を維持した理由については、「新規取り扱いのお店が増えたことに加えて、当社ビールを既にお取扱いの店において飲用時品質向上活動を徹底したことが売上キープに好影響を与えたと考えています。やはりお客様は安心でおいしいものを求めているため、当社としては一層ストレートに樽生ビールの持つ美味しさを追求していく事が必要だと考えています。」と語った。

 「具体的には、十数年前からやっていることでもありますが、「樽生3原則2ヶ条」という、"毎日の洗浄"、"適正なガス圧"、"静置冷却"の樽生3原則と"きれいなグラスと自然乾燥"、"おいしい生ビールの注ぎ方"の2ヶ条を、飲食店様に徹底してもらい、飲用時品質を向上いただく活動があります。特にここ約2年は戦略的により強めに『樽生3原則2ヶ条』を発信し、啓蒙する活動に取り組んでいます」。

 同社は、真摯に美味しさを追求する上で、提供店での飲用時品質を向上させるための啓蒙活動を行っている。その上で軸となるのが、「樽生3原則2ヶ条」だ。そして「樽生3原則2ヶ条」をクリアした飲食店だけが「樽生達人の店」として称号を認証される。「樽生達人の店」は、最高に美味しい樽生ビールを提供する店舗として、国内のビール業界で最も歴史のある制度であり、お客様からの信頼も厚い。

超達人店ロゴ(最終)-1.jpg

 「ザ・プレミアム・モルツ」の美味しさを追求する上で、今年は「樽生達人の店」自体をお客様にアピールしていくために、CMなどを通して、飲食店での「ザ・プレミアム・モルツ」の美味しさを実感して頂く戦略を進めていくという。

 現在、「ザ・プレミアム・モルツ」を取り扱う飲食店は全国に約5万店あり、今後も継続して取扱店の飲用時品質を啓蒙する活動を進めていく。

 「当社が設定している飲用時品質基準をクリアした飲食店様を"優良店"、更にその中でもこだわりの樽生を提供して頂いている店を"樽生達人の店"として1万3千店舗設定させていただいております。今年度は"樽生達人の店"とマニュアルは基本的に同じですけど、さらにこだわった、気泡も泡もラインも泡の表面も完璧なものをお出しいただけるような店舗だけを、"超達人店"と認定し、3月半ばから全国で300店立ち上げます。目標は年間1000店を目指して活動しています。」

"樽生達人の店""超達人店"で上質な「モルツ」「ザ・プレミアム・モルツ」を飲むことで、家庭での飲用促進や、業務用での更なる浸透を図る。

mudai.png mudai2.png

 「"超達人店"になるには、『樽生3原則2ヶ条』をさらにワンランク上の品質に上げる必要があります。『樽生3原則2ヶ条』を実践していれば、ほぼ完璧な状態で飲めるのですけど、全国にあるそれ以上のこだわりを持ったお店をご紹介するために"超達人店制度"を立ち上げました。」
 
 真摯に美味しさを追求する姿勢は、ビールメーカーの本来あるべき姿のように思えた。市場自体が収縮傾向に向かう中で、美味しいビールを美味しく提供する事こそが芯のブレない信頼性にも繋がってくるように思う。

■ノンアルコールビールテイスト飲料「オールフリー」、狙う新たな潜在需要。

 ノンアルコールビールテイスト飲料「オールフリー」は、去年も前年比108%の二桁の伸び率を記録したが、昨年で他社との陣取り合戦は徐々に落ち着いてきた。「レジャー施設や会議中のノンアル需要、ランチ需要など、ノンアルコールビールテイスト飲料市場はまだまだ伸びしろが大きいという。特に、シニア層は大きなターゲットなので、これから攻めていきたい」と國弘氏はいう。

CZNB_S1_1211_l[1].jpg

■角ハイはセミプレミアムへのブリッジ。ウイスキー市場は新たなステージへ。

 2013年のウイスキー事業に関しても伺った。

 國弘氏は、「ウイスキービジネスは、バー業態から飲食業態へのシフトが起きています。その筆頭がハイボールです。プレミアムウイスキーの『白州』、『山崎』、『響』は、今までバー業態での展開が多かったが、新商品の『山崎』、『白州』は価格面でもお手頃で、味わいも飲みやすいので、ハードルを少し下げることができました。それにより、徐々にセミプレミアムウイスキーが飲食業態にも浸透し始めています。今年も、さらに飲食店でのセミプレミアムウイスキーの市場をつくれるように動いていきます。」と答えた。ウイスキーは、従来バー業態を中心に展開を行ってきたが、飲食業態へと足を伸ばしたことによって、新たな需要を生むことができた。

XYJBBA_S1_1210_l[1].jpg

 昨年の5月29日(火)に発売された新商品の「山崎」と「白州」は、特に飲食業態で成功を収めた。本格感がありながらもハイボールユーザーでも飲みやすい味わいとお手頃な価格で、「山崎」「白州」ともに2倍に上方修正した年間販売目標を達成した。飲食業態へのシフトも大きな要因だが、ミントを入れた白州のハイボールを「森香るハイボール」と命名し、数年前からオンメニューしたところ、従来はウイスキーに親しみの少ない女性客が飲んでいる姿に当初は驚いたと國弘氏はいう。

 最後に、ハイボールブームをつくった同社に、今後のウイスキーの展開について聞いてみた。

 「今は、ハイボールブームのような過熱感というよりも、既に『ハイボール』とうカテゴリーが認知されていて、今では1杯目がビールで、2杯目がハイボールと定着してきています。ハイボールブームというよりは、今はさらに先のステージに進んでいるような気がします。『角ハイボール』からセミプレミアムへ。そして、セミプレミアムからプレミアムへ、本来のジャパニーズウイスキーの良さを伝えていけたらと思っています。」と語った。

 さらに2013年1月にサントリー酒類から発売された「ジムビーム」に、注目が集まっている。なんと、同商品は、発売してから1ヵ月で昨年の国内売上高の2倍に達した。「ジムビーム」は、ミントジュレップを入れたスタイルで、"クールバーボン"のキーメッセージのもと展開していく。ウイスキー市場の熱が冷めることはない。

読者の感想

興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0

  • 総合評価
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
  • 0.0

この記事をどう思いますか?(★をクリックして送信ボタンを押してください)

興味深い
役に立つ
送信する
誰かに教えたい
  • 総合評価
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
  • 0.0

( 興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0

Page Top