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フードリンクレポート

2012年7月31日(火)14:09 トレンド

チェーン企業における分煙最前線、vol.1すかいらーく

都心・駅前店はエリア分煙、郊外店は喫煙専用ブース設置

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取材・執筆 : 長浜淳之介 2012年7月31日執筆

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 外食産業では、喫煙者と非喫煙者が共存できる環境づくりが急務の課題となっている。そうした中で、ビジネスパーソンが主たる顧客の市街地中心部の店舗と、ファミリーを対象とする郊外型の店舗で、異なった形の分煙ソリューションを行う企業も現れた。すかいらーくの分煙対策を取材した。

ステーキガスト八王子東町店.JPG
ステーキガスト八王子東町店。

 ファミレス最大手のすかいらーくでは、立地別によって異なった分煙対策を推進している。喫煙ニーズの多い都心型の店舗では、喫煙者が着席してゆったりとたばこが吸える広めの喫煙エリアを設ける。一方、子供連れのファミリーが数多く来店する郊外型の店舗では、客席は禁煙にする代わりに、店内の一角にスタンディングスタイルでたばこが吸える、喫煙専用の個室を設ける。

ステーキガスト喫煙ボックス内.jpg
ステーキガスト喫煙ボックス内。

ステーキガスト喫煙ボックスの設置例.JPG
ステーキガスト喫煙ボックスの設置例。

 都心型の分煙ソリューションの一例は、6月28日に新規オープンしたばかりの「ガスト四谷三丁目店」。東京メトロ丸の内線四谷三丁目駅のすぐ駅前にあり、特に平日の昼間の利用者はビジネスパーソンばかりという立地条件である。すかいらーくCEOオフィスPMOグループ運営管理チーム・今井洋一氏は「最近はファミレスでもファーストフードでも、全席禁煙に踏み切るチェーンが増えてきました。たばこを吸いたい人は、吸える場所がなかなかないのが現状です。そんな時代だからこそ、吸いたい人の意見を取り入れ、弊社の店に来ればゆったりと座って一服できることを積極的にアピールしていきたい」と話す。

 喫煙者にたばこが吸える心地良い環境を提供するのも、飲食店の重要な役割の1つとの考え方だ。「ガスト四谷三丁目店」の場合、約100席ある席数のうち30席ほどが喫煙席。しかし禁煙席と喫煙席の割り振りは、7:3で常に固定されているわけでなく、立地を考慮して6:4となるケースもあるとしている。つまり両者の比率は、柔軟に考えていくということだ。禁煙席と喫煙席は、天井まで仕切り完全に区分されている。喫煙席の開口部はオープンになっており、ドアは設置されていない。 開口部の上部には、エアカーテンが設置され、喫煙席の空気が禁煙席に流れないようにシャットアウトされている。

分煙対応工事施工前の例-2.jpg
分煙対応工事前。

分煙対応工事施工後の例-2.jpg
分煙対応工事後。

 また、すかいらーくの分析では自社の店舗を全面禁煙に切り替えた場合、顧客が4~5%減少するといったデータもあり、たとえ駐車場に喫煙できるコーナーや、店内に喫煙専用の個室を設けても、思うように減少分をカバー仕切れていない現状もある。特にティータイムの集客に影響が出ているとのこと。すかいらーくでは、商業施設内の店舗のように施設全体が禁煙となっている特殊なケースを除き、今後は喫煙ニーズの多い、都心部ビジネス街、あるいは駅前立地の店舗の場合、快適な分煙環境を提供することで、他社チェーンとの差別化をはかっていくようだ。

 一方で、サラダバー、カレー、ご飯、パン、スープ、デザートなどのバイキングを取り入れた新業態、2010年より展開を始めた「ステーキガスト」の場合は、基本的に郊外型で、特に休日は子供連れの家族が主に訪れるファミリー向けの店舗。「ステーキガスト」は現在、全国に約180店あるが、客席は全席禁煙にする代わりに、喫煙客のニーズに応えるために喫煙専用の個室を設けている。ファミリー層がターゲットの店舗であるため、子供連れの顧客も多く、それを考慮すればこうした分煙環境を整えるほうが、合理的であるという判断だ。すかいらーくが本格的に分煙の取り組みを進めたのは、神奈川県で受動喫煙防止条例が制定されたことがきっかけだった。当時、条例が施行される2010年4月までに、318店あった神奈川県内の全ての店舗において、分煙環境を整備した。

ガスト四谷三丁目店喫煙席.JPG
ガスト四谷三丁目店喫煙席。

分煙化された後は禁煙席と喫煙席の間に敷居が設けられている-2.jpg
分煙化された後は分煙席と喫煙席の間に仕切りが設けられている。

 そのうち、パーテーションを設けて禁煙席と喫煙席の分煙化を行ったのが27店。座席は禁煙として店舗内に喫煙専用の個室を設置したのが213店。店舗の規模、立地条件から全面禁煙としたのが78店であった。また、業界内で他社チェーンとの差別化をはかっていくことも見据えて、東京都、埼玉県、千葉県、茨城県の一都三県では、店舗の"機能回復工事"と呼ぶ改修の際に、空調を点検、整備するとともに、分煙に必要な工事も併せて行っている。すかいらーくの店舗は関東に約1800店あるが、年間100~150店の改修を、1店舗あたり1500~2000万円かけて行っており、順調ならば数年のうちに一都三県においては、立地と顧客層、店舗規模に合わせた分煙環境が整備されることになる。このほど、兵庫県が全国2例目の受動喫煙防止条例を制定したが、神奈川県の時と同様に、2014年4月の条例施行までには、県内にある77店に関しては、分煙環境を全て整備する計画。既に15店は対応済みである。

 兵庫県に隣接する近畿圏においても、大阪府、京都府、奈良県を優先に首都圏と同様、機能回復工事の際に分煙対策も併せて行っていく方針。すかいらーくではこのほか、福岡市、札幌市、仙台市、広島市などといった人口100万人を超える政令市の店舗でもいち早く分煙を進めるとしており、喫煙客、非喫煙客の双方にとって、顧客満足度の高い店づくりを目指している。

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