スマートフォン版のフードリンクニュースを見る

RSSフィード

フードリンクレポート

フードリンクレポート

2015年8月28日(金)14:20

わずか7席、軒下で食べる田舎そば。「かさい」は中野の街で40年以上愛される店。

繁盛する立ち食いそば屋、行列の先にあるヒット現場!

記事への評価

  • ★
  • ★
  • ★
  • ★
  • ★
0.0

取材・執筆 : 須田萌子 2015年8月28日

キーワード :    

 立ち食い寿司、立ち食いステーキ、立ち食い焼肉、立ち食いフレンチに、イタリアン...飲食業界でブーム真っ只中の「立ち食いグルメ」。かつては「立ち食い」と言えば「時間のない時のサクッとランチ」「サラリーマンの昼メシ」「安くて早いが、味はそれなり」というイメージが強かったが、近年は、立ち食いならではの高回転率を活かし、クオリティの高い料理を低価格で提供し、お客様に行列してまでも食べたいと思わせる店が増えている。その立ち食いブームの渦中で特に増えているのが「そば屋」だ。今回は昼夜問わず行列をなし、お客様の心を掴み続けている「立ち食いそば屋」を訪問。各店の特徴をレポートしながら、人気のヒミツに迫る。

kasai1.png
JR中野駅前に店を構え、「田舎そば」を売りにする「かさい」。

kasai2.png
「かさい」は、中野駅北口の改札内からでも認識できるほどの超駅前立地。黄色いテントと、通りに面したオープンなカウンターが目印である。
 
kasai3.png
店舗にはドアもなく、今の時代には珍しいふきっさらしの環境。開店から40余年とのことで、創業時からこの独特なスタイルを貫いているのだろう。サブカルチャーを発信し、個性的な雰囲気を持つ中野の街に「かさい」は馴染んでおり、老舗の風格を漂わせている。
 
 店舗の構造は、詰めて立っても最大7名が限界のL字型カウンターと、カウンターを挟んだ向こう側に狭い厨房がある。駅前の目立つロケーションかつ、外から丸見えで女性が立ち寄るにはちょっと勇気がいるため、お客様はすべて男性。ビジネスマンが多く年齢層はやや高め、メニューを慣れた口調で注文する雰囲気から察するとほとんどが「常連さん」のようで、日常的に利用されていることがわかる。お客様も次から次へと間髪入れずにやってきて、常ににぎわっている状態だ。

kasai4.png
厨房には、70代位のベテラン女性店員がふたり。注文は店内に貼られているメニューを眺めながら、店員に伝え料金を支払うシステムだ。

 調理オペレーションは、あらかじめどんぶりに一人前分のそばがスタンバイされ、注文と同時にそばを手際よく数秒湯どうしし、つゆを入れ、必要に応じてトッピングするという手順。トッピング用の天ぷらもあらかじめ揚げて置かれているため、提供時間が30秒程度という驚異のスピードである。

kasai5.png
メニューは「田舎そば 並」(300円)をはじめ、たぬき、きつね、かき揚げの定番や、そば屋の新定番になりつつあるコロッケ、珍しいアジ天など10種類をラインナップ。そばのほかにうどんも揃え、冷やしはプラス50円、追加のトッピングも可能だ。サイズも、ハーフ・並・大盛りの3種類から選べるので、時間帯やお腹の空き具合によって調整できる。

kasai6.png
厨房には麺のストックやどんぶり、客席のカウンターにも生卵、揚げ置きのコロッケ、いなり寿司、給水機などがところ狭しと並び、小さなスペースを最大限に活用。むしろ客席まで侵入・・・。食事スペースがやや窮屈でも、なぜか憎めないのは、大衆食堂的な雰囲気に妙に心が和むからだろう。
 
kasai7.png
アジ天そば+わかめトッピング(470円)。ワインコインでボリューム満点!

kasai8.png
ふたつトッピングを選べば10円割引してくれるというささやかなサービスも。店員はすべてのメニューとトッピングのプライスが頭に入っているため、計算も素早く会計もスムーズ。

kasai9.png
田舎そばは太めでやわらかい食感。つゆは鰹のだしの風味がしっかり効いた王道の関東風。東京人にとっては安心する飽きのない味わいなので、このそばを求めて「かさい」に通う人々が多いのも納得できる。

kasai10.png
アジ天は大ぶりで肉厚。ひとつ120円でトッピングできるので価格もお手頃だ。

kasai11.png
薬味として、すりおろし生姜が置いてあるのが「かさい」の特徴。ちょっと変わったことがひとつあるだけで記憶に残りやすい。生姜はアジ天との相性も抜群だ。

 「かさい」の徒歩1分圏内には、中野駅中央線のホームに立ち食いそば屋2軒、北口のサンモールアーケードに立ち食いそばチェーンの「富士そば」、「梅もと」がありライバル店も多い。リピーターになってもらうにはオリジナリティが求められるが、「かさい」は個人店であり、創業40年以上という歴史を考えても、中野の地で確固たる地位を築いている。そばの価格をかけそば(並)で比較しても、かさい300円、富士そば270円、梅もと260円なのでチェーン店と大差はない。
 
kasai12.png
「かさい」の営業時間は早朝6:00から夜23:00まで。朝食、ランチ、小腹を満たす残業メシでも、飲み会帰りの一杯でも、お客様が行きたい思ったときに寄れる。駅前立地で店には扉もないので、通勤の行き帰り、通りすがりにいつでもウェルカムだ。「かさい」は中野に拠点を置く人々から愛され、レトロな黄色い看板は中野駅前の風景の一部として、これからも変わらずにあり続けるだろう。

■かさい
TEL:03-5380-4030
住所:東京都中野区中野5-63-3

読者の感想

興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0

  • 総合評価
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
  • 0.0

この記事をどう思いますか?(★をクリックして送信ボタンを押してください)

興味深い
役に立つ
送信する
誰かに教えたい
  • 総合評価
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
  • 0.0

( 興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0

Page Top