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外食ニュース

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2019年1月24日(木)14:37

禁煙化未実施店の内、禁煙化検討は55%に止まる(クックビズ調べ)。20年には受動喫煙防止法施行。

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取材・執筆 : 加藤一 2019年1月24日執筆

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 飲食・フード産業特化の求人サイト「クックビズ」を運営するクックビズ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長CEO:藪ノ 賢次)が、全国の飲食店を対象に禁煙化の取り組みについて調査を実施した。2020年4月には、全国の飲食店に向け受動喫煙防止法の全面施行される。


1) 受動喫煙防止法案に賛成する飲食店関係者は約5割

 日本全国の飲食店を対象に実施した「飲食店の全面禁煙化に関するアンケート」に回答した飲食関係者213名のうち、国や自治体が提示している受動喫煙防止法案に対しては「賛成」するのは全体の49.3%、「反対」は全体の25.4%、「どちらとも言えない」は25.4%。

Q.国や自治体が提示している受動喫煙防止法案に賛成ですか?(全体)
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 エリア別に比較してみると、賛成派の比率には地域差が見られた。東京都、大阪府では、禁煙化の賛成がともに約半数であるのに対し、愛知県では賛成はわずか約30%にとどまっており、地域による喫煙文化の差が結果に影響を与えているようだ。

Q.国や自治体が提示している受動喫煙防止法案に賛成ですか?(エリア別)
smoking2.jpg


 また、禁煙化への考え方は飲食店によって大きく意見が分かれた。現在の飲食店の喫煙環境別に比較してみると、すでに全席禁煙としている飲食店関係者では62.5%が禁煙化に賛成しているのに対し、全面喫煙可の飲食店関係者ではわずか35.4%のみの賛成。分煙(エリア分け、時間分け)の飲食店関係者においても、賛成は半数に満たない。

Q.国や自治体が提示している受動喫煙防止法案に賛成ですか?(現在の喫煙環境別)
smoking3.jpg

 

 全面禁煙化に賛成する飲食店関係者が、その理由として「従業員やタバコを吸わないお客様の健康への配慮」をもっとも多く挙げている。また「食べ物をより美味しく召し上がって頂きたい」という意見もあった。具体的なコメントは以下。

 <禁煙化に賛成派>
•「受動喫煙や、副流煙による健康被害を少しでも防止できたらと思います。お客様だけでなく、スタッフにも影響があることを痛感しています。頻度は多くないものの、副流煙が原因で退職した従業員も過去にいました」(大阪府/カフェ)
•「自分も飲食店内(特にランチタイム)での他人の喫煙や置きたばこによる受動喫煙で、食事が不味く感じられた経験があります」(東京都/寿司)
•「日本のお酒を丁寧に紹介するという業態の飲食店を経営していた際に、喫煙者と非喫煙者の間で軋轢がありました。それを避けたくて店内禁煙(店外に灰皿を設置)にしたところ喫煙客が来なくなり、閉店に追い込まれました。そもそも最初から法的に禁煙であればお客様同士でモメる事も無い話ですし、飲食店は喫煙所ではないので、全面禁煙にすべきです」(新潟県/居酒屋)

 一方、禁煙化に反対する意見としてもっとも多いのは「売上減少への懸念」。特にアルコールを提供する飲食店関係者からは、喫煙客の客離れを心配する声が多く上がった。

 <禁煙化に反対派>
•「ファミリーレストランなどお子様も多く利用されるような店舗、時間帯では実施しても良いとは思うが、居酒屋や夜のお店等でも一律禁煙にしてしまうと喫煙者の足が遠のきそうだと思う」(群馬県/居酒屋)
•「個人的には喫煙していないので(禁煙化には)賛成ですが、会社経営的に考えると、喫煙が出来ない、もしくは店舗周辺に喫煙区域が無いとお客様の来店が減少する可能性は否定できない」(東京都/給食)
•「例外や、喫煙所の設置による補助金申請、従業員がいない場合は良いとか、法の抜け穴、グレーな部分が多い。これでは、禁煙化をまともに実施するお店が損をするのでは?店舗規模や従業員の数関係なく全面禁煙したほうが良い」(愛知県/創作ダイニング)


2) 喫煙環境の変化が売上に与える影響とは?

 これまで店舗の喫煙環境が変わったこと(喫煙可から禁煙)を経験した飲食店関係者125名のうち、売上に「特に変化はなかった」と回答した人は全体の60%、「売上増」が12%、「売上減」が28%という結果となった。

Q.お店の喫煙環境が変わったこと(喫煙可から禁煙)による売上への影響がありましたか?(有効回答数125)
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<禁煙化で売上増!>
禁煙化によって「売上増」となった飲食店関係者は、メリットとして客席の回転が早くなったことや、店内の空席率が下がったことを売上アップの要因に挙げられた。
・喫煙者のお客様は減ったかもしれませんが、煙草が吸えないことにより長居する方は少なくなりました。(東京/アジア・エスニック)
・元々喫煙者のお客様は少ない店なので、全面禁煙になったことでどの席でもご利用いただけるようになりました。(東京/ホテル・旅館)

 <禁煙化で売上減!>
禁煙化によって売上減となった飲食店関係者からは、客足の減少、客層の変化による客単価の減少が売上にインパクトを与えたとコメントしている。ただし、なかには売上の減少は一時的なもので、長期的に見ると特にネガティブな影響がなかったとの意見も寄せられた。
・非喫煙者はあまり飲酒しない傾向が強い。(飲酒しないことで)客単価が下がり、居酒屋業態にはなかなかツラい部分があると思います。(新潟県/居酒屋)
・上司が喫煙者だと(全面禁煙店には)入りにくいという声があり、ビジネス客が減った。ランチの時間帯に家族層が多くなったが、客単価が下がった。(大阪府/焼き鳥)
・短期的には売上減となったが、中長期的には他社が全席に踏み切らなかったことで使い分けがされて売上は回復した。客層は男性多めから女性多めへと変わった。(東京都/洋食全般)

<売上の変化を感じていない>
・客層の変化(家族層・女性客の増加)
・店内飲食環境の改善
・クリーニングの時間と経費削減(灰殼などのごみ処理、灰皿や壁紙などの掃除が不要)

 
3) 禁煙化未実施の飲食店のうち55%は将来的に禁煙化を検討

 現在「全面喫煙可」もしくは「分煙」で運営している飲食店関係者を対象に、今後禁煙化にする予定について聞いたところ、「禁煙化の予定がある」と回答したのは全体の55%。

Q. 現在の喫煙環境が全面喫煙可及び分煙のお店にお聞きします。今後、禁煙化にする予定はありますか。(有効回答数120)
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 禁煙化に否定的な飲食店は、禁煙化のハードルの高さについては、「現在の客層の大半が喫煙客で占められている」「分煙スペースの確保ができない」「小規模な店舗である喫煙文化が根強いエリアである」などが理由。


<調査概要>
調査対象:日本全国の飲食店
有効回答数:213
立地内訳:首都圏89、中京圏19、近畿圏41、地方圏64
展開店舗数:1店舗:57、2−10店舗:79、11−100店舗:46、101店舗以上:31
調査期間:2018年7月27日~2018年8月6日
調査方法:インターネット調査

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