お店を知る
老舗の飲食店も多い人形町に、昨年6月にオープンした日本料理の「やま田」。千駄木や千葉県柏市などに5つの和食店を展開する株式会社フード・イノベーション(台東区谷中)が運営する店だ。半地下の店内に入ってまず驚くのが、20mほどもある巨大な檜のカウンター。奥が鏡張りになっていることもあり、実に広々とした開放的な空間になっている。
檜の木でつくられたカウンター席
「この店では対面でのサービスにこだわっています。天ぷらなどはやはり揚げたてが一番おいしいですしね。私どもも、きれいに盛ったお造りをお出しした瞬間などに、お客様が喜ぶ顔を間近で見られるのはうれしいものです。うちの店では職人との会話もぜひ楽しんでいただきたいですね」と料理長の天野智之さんは語る。
料理はコース料理のほか、ふぐ料理や蟹料理、魚介のお造り、焼きものや天ぷらなど、一品料理も充実している。ふぐや鰻、蛸などは厨房の生け簀で泳いでいたものを、目の前でさばいて調理する。旬の食材を使うことにこだわり、メニューは随時入れ替え、月に2回も変わるという。
冬のおすすめはなんといっても「とらふぐ」。ひれ酒、ぶつ刺し、てっさ、唐揚げ、てっちり鍋など、さまざまな料理で楽しむことができる。蟹料理も様々なものがあるが、なかでも蟹味噌をといたスープで蟹しゃぶを楽しんだ後、あらかじめほぐして甲羅につめられている身をいただく毛蟹の鍋は好評だ。
「毛蟹の鍋」(1人前7,500円※注文は2人前〜、以下税別)
「魚介類は北海道、北陸、四国、九州など全国の漁港から直接仕入れているので、良質なものをリーズナブルな価格で提供できます。厨房の別室には、干物をつくる機械も置いていて、自家製の干物も店でつくっています」
金目鯛の西京焼き(1,200円)などは、1回干物にしたものを味噌に漬けて焼くので、味がしっかり染みこんでいる。黒豚西京焼き(1,500円)、仔牛フィレ肉炙り焼き(2,400円)などの肉料理も充実している。また調味料にも工夫を怠らない。天ぷらには、ほうれん草をフリーズドライして塩とミキサーにかけたものや、米粉とまぜてマイルドにした塩、出汁入り大根おろしの3種の薬味をつける。
「ふろふき大根(780円)にも、店で練り上げたトマト味噌、ごぼう味噌、ゆず味噌の3種をつけています。この味噌がけっこう好評で、お酒のつまみにされるお客様もいらっしゃいます。家で食べたいので味噌だけ売って欲しい、というお客様もいるほどです」
「一番搾り 中瓶」(650円)。スタッフが手を伸ばし注いでくれる。
コースは7,500円から20,000円まで用意。通常の和食のコースに加え、蟹しゃぶ、毛蟹、とらふぐなどのコースもある。予約時に食べ物の好き嫌いを聞いて、なるべくお客様に合わせた献立をつくるという。
旬の食材を堪能できる四季会席コース(10,000円)
盛りつけも実に美しい
日本酒は大吟醸や純米大吟醸など20種以上を、焼酎はプレミア焼酎を含め15種以上を用意。さらに日本料理店でありながらワインを50種類以上もそろえている。日本食に合うものを厳選し、ワインセラーで厳格な温度調整をして管理しているという。
50坪の店内には掘りごたつの個室が4部屋あり、接待、御祝事でのご使用もでき、個室の扉をすべて開ければ最大23名まで入れる御部屋となる。
落ち着いた雰囲気の個室も用意
「お客様の年齢は40代以降が中心です。オープン以来、近所のお客様が常連として少しずつ増えています。最近は観光客やこのあたりで働く外国人のお客様もよく見えます。調理風景を間近で見られるという点でも、外国のお客様から喜ばれています」
お話を伺った料理長の天野智之さん
株式会社フード・イノベーションが運営する千駄木の「吉里谷中総本店」や千葉県柏市の「吉里柏別邸」「かに福」「鮨処 一(はじめ)」は、落ち着いた雰囲気のなかで本格和食を堪能できる店として、地域の人に親しまれている。コストパフォーマンスの高い「やま田」も、人形町の隠れ家的な和食の店として、地元の人から末永く愛されそうだ。
■ 人形町 やま田
住所:東京都中央区日本橋人形町1-9-2 富士ビル B1F
TEL.03-6661-9677
営業時間:17:30〜翌2:00(LO1:30)※日曜のみ15:00〜23:00(LO22:30)
定休日:なし
■ 吉里谷中総本店
住所:東京都台東区谷中3-2-6
【取材協力:キリンビール株式会社】
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