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お店を知る

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2015年4月14日(火)18:10

アジア最大級の"ハラル"シーフードレストラン 「The Manhattan FISH MARKET」が日本初上陸 (東京・池袋/シーフードレストラン)

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取材・執筆 : 石村紀子 2015年4月7日執筆

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 3月23日、JR池袋駅東口から徒歩3分の好立地に、"ハラル"シーフードレストランの「The Manhattan FISH MARKET」がグランドオープンした。2002年にマレーシアで創業し、現在アジア・中東を中心に59店舗を展開するチェーンの日本第1号店だ。"ハラル"とは、イスラム教の教えによる戒律で、「合法的なもの」「許されたもの」を意味し、おもにイスラム教の作法に従って処理・加工・調理された食べ物を指す。ハラル環境の整備が遅れている日本で、こうした大規模なハラルレストランチェーンが登場するのは初めてのことだ。

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アメリカンダイナーな雰囲気のエントランス。

 「数は少ないですが、日本にもハラルレストランはあります。ただ、内訳はインドネシア料理、マレーシア料理など専門料理店がほとんど。一般的なお店でハラル対応をしているお店はごくわずかです。弊社、日本法人のCEOはムスリムなのですが、実際に日本では外食できる店がなくて本当に困ったそうです。また、日本は魚に非常に親和性のある国ですが、欧米風のシーフードレストランは意外に少ない。ハラルと欧米型シーフード、この2つを兼ね備えた店は、日本で受け入れられるのではないかということで、今回の出店に至ったのです。現在は、7割がムスリムのお客様。揚げ物などのアメリカンフードを、気軽に、心配せずに食べられるのがうれしいと、とても喜んでいただいています」(The Manhattan FISH MARKET 池袋店 レストランマネージャー 藤原友良氏)

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アメリカンな明るい店内はすべて英語表示。入店時や退店時の挨拶も英語なので、外国気分が味わえる。席数は90席。シート席にはコンセントも完備。店内はWi-Fiが利用可能だ。

 世界人口の4人に1人を占めるといわれるムスリム。厳しい戒律を守りながら暮らす彼らがイスラム圏を出たときに最も困るのは食事と礼拝だという。日本で暮らしたり旅行で訪れるムスリムたちは年々増加傾向にあるが、日本のムスリムのための施設や店は数が追いついていないのが現状だ。

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赤いシートの一角はほかのスペースから少し離れており、女子会やパーティなどの利用にうってつけ。

 ハラル環境の整備が進まないのは、厳密なハラル対応をするには難易度が高いことが挙げられるだろう。豚肉とアルコールが禁止されていることはよく知られているが、実はそれ以外にもさまざまな決まりがある。"ハラル"となるためには、イスラム教の作法に従って食材を処理・加工・調理する必要があるのだ。食べることが許されている食材でも、ハラル対応の調理法で行われなければ、ハラルな食事とはならない。

 例えば牛肉や鶏肉も一般的な屠殺方法ではダメだし、豚肉を切った同じ包丁で野菜を刻んだら、その野菜はハラルではなくなってしまうのである。アルコールが意図的に添加された醤油や味噌、調理用みりんなども禁じられている食べ物だ。そうした食べ物を口にすることはムスリムにとっては罪となる。うっかり混在してしまった、ではすまされないため、ハラルではない食事も提供する店では、調理場や飲食スペースを厳密に分ける必要がある。それを遵守する従業員の高い意識も不可欠と、ハード・ソフト両面での整備が必要となるのだ。

 「当店は、ハラルの食材だけを扱っているので、混在する心配はありません。食材は原材料からビタミンCの由来まで全て植物性由来のものを使用し、店自体も認証団体であるマレーシアハラルコーポレーションからハラル認証を受けていますので、ムスリムの方にも安心して召し上がっていただけます。当店は外国には多店舗あるのでご存知のお客様も多く、オープン以来たくさんの方にご来店いただいています。ハラルレストランの情報などが集まるSNSに情報が掲載されたことで、ムスリムのあいだで一気に広まったようですね」(藤原氏)

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壁に飾られたハラルレストラン認定書。ハラルのマークは世界共通。このマークはムスリムにとって安心材料となる。

 "ハラル"と聞くと、宗教色が強く、日本人には縁遠いもののように感じられるが、実はハラル制度には「イスラム法において合法である」こと以外に、もうひとつ概念がある。"タイバーン(体によい)"というもので、健康的、安全、清潔、高栄養、高品質であることを大切とする概念である。ハラル認証されるためには、トレーサビリティをはじめ、放射線量や農薬、食肉の管理、物流まで細かくチェックされる。つまりハラルフードは、品質に太鼓判を押された安全な食べ物なのだ。

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新鮮な野菜たっぷりの「Citrus Mesclun Salad with Cajun Chicken」(1180円)。ジューシーなケイジャン風グリルチキンを乗せた、ボリューム満点のメスクランサラダ。

 「ハラルフードの食材のほとんどは動物性ではなく、植物性なんですよ。オーガニックな健康食なので、体にいいものばかり。一般の人にもぜひ気軽に食べに来ていただきたいですね。当店では、アルコールももちろん置いていませんし、完全禁煙なので小さなお子様がいらっしゃる家族連れのお客様でもゆっくりとお食事を楽しんでいただくことができます。ハラルと知らず来店されたお客様の中には、アルコールがないことに驚かれる方や、お酒のある他の店に移られる方もいらっしゃいますが、ほとんどのお客様には、"新しいタイプの店だ"と好印象をもっていただいています。お酒を飲まなければ、飲みすぎて翌日を棒に振ることもないし、ハメをはずして周りに迷惑をかけることもありません(笑)。"たまにはお酒を飲まず、純粋に食事を楽しむのも新鮮でいいね"という声が多いんですよ」(藤原氏)

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スムージーの「Citrus Mint」(580円)。フレッシュミントとフレッシュレモンジュースが爽やかな大人気ドリンク。

 同店の料理はダイナミックなシーフード料理がメイン。ベイクド、フライ、ポーチ、グリル、フレイムの5つの調理法で作るボリュームたっぷりの大皿料理で、いずれもハラルフードのイメージを覆す、自由で楽しいアメリカンテイストなものばかりだ。中でもバーナーで炙るフレイム料理は、焦げた香りが食欲をそそり、エンターテイメント性も兼ね備えたこの店の名物となっている。

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一番人気、豪快なシーフードの盛り合わせ「Manhattan Flaming Seafood PLATTERS」(2980円)。シェフがバーナーで炙って仕上げる"フレイム"が目の前で見られて楽しい。3~4人でシェアするのがちょうどいいサイズだ。

 「調理される様子を見る、焼ける音を聴いて、香りを嗅ぐ、炎の温度を感じて、味わう。フレイムは五感が刺激される調理法なんです。火柱が上がるほど強い炎で豪快に焼きますので、自然と歓声が沸き起こります。味わうだけでなく、見て、感じて、楽しむのも料理の醍醐味ですよね。フレイムをすると周りによい香りが漂いますので、別の席から追加注文が入ることもあるんですよ」(藤原氏)

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サクサクの衣が特徴の「Manhattan Fish 'n Chips 」はお店自慢の一品。魚はDORY(タラの仲間で淡白なあっさり味)とCHERRY SNAPPERS(タイの仲間で濃くしっかりした味)の2種類。大きさはそれぞれライトとレギュラーがある。ガーリックハーブソースが白身の魚によく合う。DORY(Lite780円、Regular980円)、CHERRY SNAPPERS(Lite1080円、Regular1280円)。

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ちょっとずついろいろつまみたい人におすすめの「Scallops Fish Chicken (SFC)」(1580円)。ケイジャン風グリルチキン、ホタテフライ、フィッシュフィンガーの盛り合わせだ。

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ありそうでないサーモンのハンバーガー。コショウの利いたマヨネーズ味がたまらない!女性に大人気の「Pepper Mayo Salmon Burger」(1080円)

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人気のパスタはこちら。サーモンとクリームは最強の組み合わせ!「Creamy Salmon Penne」(1280円)。

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ちょっと小腹がすいたときに食べたい「Wrap'n Roll」。フィリングはチキン(980円)とツナ(880円)の2種類から選べる。

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デザートもアメリカンテイストでダイナミック!熱々のキャラメルソースとブラウニー、冷たいアイスのコンビネーションが最高の「Sizzling Brownie with Ice Cream」(780円)

 フランチャイズとして日本での出店を任されている日本法人では、今後2020年までに、5店舗まで拡げる予定だという。

 「場所は東京都内を考えています。池袋同様、秋葉原や新宿、渋谷など大型のターミナル駅で外国人が多く集まる場所、異文化交流が自然と行われている場所が理想ですね。5年後のオリンピック開催に向けて、ハラルレストランの重要性はますます高まっています。当店のプレス発表の場に、駐日マレーシア大使がご臨席くださったことからも、期待の大きさを強く感じました。ゆくゆくは全国に広げていけるように、まずは都内で磐石な足固めをしたいと思っています。日本人のお客様にもハラルフードの素晴らしさを知ってほしい。手軽に健康食を食べる感覚でぜひ利用していただきたいですね」(藤原氏)

 2020年にはイスラム圏マーケットは人口約20億人、市場規模約310兆円に達するといわれている。来日するムスリムもこれからますます増えていくだろう。ハラル環境を整えれば、それがないがゆえに来日を諦めていたたくさんのムスリム観光客を呼び込むことも可能となる。人口が減っていく日本の外食産業にとってこれは実に魅力的なマーケットではないだろうか。

 日本のなかでハラルが根付いていくためには、この店のように厳密なハラルフードでありながら、表向きは普通のアメリカンテイストな料理、という提供スタイルが最も受け入れられやすい形かもしれない。この店は日本に広くハラルを浸透させる先駆者となる可能性を秘めている。今後、この店がどのように日本の中で市民権を得て根付いていくか、長い目で見守りたい。

■The Manhattan FISH MARKET(ザ・マンハッタンフィッシュマーケット)
住所:東京都豊島区東池袋1-4-2 三経33ビルB1F
TEL: 03-6912-5996
営業時間:11:00~23:00(LO22:30)
定休日:無休

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