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お店を知る

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2015年2月27日(金)12:58

仲卸だから美味で破格。欧米発「シーフードプラッター」を楽しめる希少なカニバル。「CCB」(東京・恵比寿/シーフードレストラン)

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取材・執筆 : 中山秀明 2015年2月27日

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 日本でカニの専門店といえば、「かに道楽」をはじめとする伝統的なスタイルがイメージされるであろうが、欧米では「シーフードプラッター」という冷製盛り合わせで、さまざまな海の幸を味わうのがポピュラーだ。国内でこれを楽しめる店は圧倒的に少ないが、カニの仲卸が国内のカニ消費を増やすために意を決し、1月17日にプラッターをメインとするシーフードレストラン「CCB(Crab Club Bar)」をオープンさせた。

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立地は恵比寿ガーデンプレイスの手前。駅から直結しているガーデンプレイス方面の回廊を進み、その出口から徒歩1分の場所にある。

 運営しているのは株式会社ANDOROS(アンドロス/東京都世田谷区 代表取締役:安藤治哉氏)。カニの仲卸ももちろんだが、商品は多岐に渡る。そしてその取引先はすべてロシア。"ロシア企業と日本企業を結ぶ"をコンセプトに、高級時計やミリタリーグッズを中心にさまざまな商品を取り扱っているのである。カニは2009年からはじめたが、国内の大手チェーンレストランにも卸しているという実力で、当然カニ業界の事情はすべて知り尽くしている。

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約70席ある店内は、もともとアジアンレストランだったものを改装してより欧風テイストにリノベーション。2階には個室やDJブースがあり、天井も高い。異国情緒あふれるデザインの空間で、旅行気分を満喫してほしいという想いが込められている。

 種類も豊富。ポピュラーな本タラバガニをはじめ、ズワイガニは本ズワイ、紅ズワイ、トゲズワイなど。珍しいところではイバラガニ、アブラガニなども扱っており、さすがは仲卸といった内容である。そして産地も、最もグレードの高いカニが豊富な西カムチャッカのものがメインで、大ぶりかつ美味なカニだけを楽しむことができるのだ。また映画『蟹工船』で知られるように、カニは船にも専用の設備と技術者が不可欠なのだが、同社はそれらにも万全の準備を整えて仕入れている。

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名物の「CCBシーフードプラッター」は1人前で2646円(写真は4人前)。この日は生イバラガニ、タラバガニ、ズワイガニ、甘海老の盛り合わせ。日によってムール貝やカキなどが入ることもあり4~6種類の盛り合わせとなる。

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生イバラガニは巷のシーフードレストランでは提供できないほど希少だとか。刺身でいただくその味わいは、とろけるような食感と濃厚なうまみで実に芳醇。

 たとえばカニを仕入れてから提供に至るまでのプロセス。良く見かける生簀のカニの場合、鮮度は良いものの狭い空間で運動量が制限され、エサも人工的なものなのでやせ細ってしまう。一方、同社の場合は仕入れた直後に船で茹で上げ即冷凍。その技術も国内ではトップレベルなので味も鮮度も良好、かつ中間マージンがないため破格で提供できるのだ。

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こちらはパーティー用。シーフードプラッターを扱う他店の多くが税抜3000円から提供しているところ、同店では税抜2450円と安い。しかもカニはボリューミーかつ高級店同等の上質な味だ。

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テイクアウトもできる。一例として、本ズワイガニなら1kg3720円、生ズワイガニなら1kg4050円。市場や高級スーパーで買うよりもずっと安くて鮮度も抜群という、仲卸ならではの特権だ。

 オープンに関して欠かせない存在があった。株式会社レインズインターナショナルと株式会社ダイニングイノベーションで外食のカリスマ・西山知義社長の薫陶を受け、現在は株式会社マネタイズで本部長を務める米山健一郎氏だ。米山氏はマネタイズで外食サイト『favyまとめ』、『favyジョブ』、『favyページ』、『酒ログ』などの事業を手掛けるかたわら、飲食店サポートとしてコンサルティングも行っている。レインズ時代にカニの商談で安藤社長と出会い、偶然再会した昨年秋がちょうど「CCB」の物件決めの日だったという。その際に条件交渉のアドバイスをしたことで、同店の運営に携わるきっかけとなった。今ではメニュー開発や広告、採用、現場指導など多くの分野でサポートしている。

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カニはColdとHot、2種類の提供方法があり、「本タラバガニ」は250gで3121円、500gで6264円。「本ズワイガニ」は250gで1458円、500gで2678円だ。食べやすくカットされているのも魅力で、殻からほじくり出すための専用スプーンはほとんど使われていない。

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「甘エビのサルサソースカルパッチョ」(1382円)。贅沢にも、サイズの大きい有頭の甘海老が使用されている。

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ボリューム満点の「山盛りムール貝の白ワイン蒸し」(1058円)。+324円で大盛りにでき、それとは別に+324円でリゾットを楽しむこともできる。また、仕入れによっては広島産の活ムール貝が使用される日もあるとか。

 「CCB」オープンの動機は、カニの味や食べ方の多様性をもっと広めたかったからだという。日本ではどうしてもカニ=冬のイメージがあり、高級でもあるため気軽に食べようというものでもない。また殻があって食べづらいというのも敬遠されがちなポイントだ。シーズンの集中は市場の価格高騰や漁獲高の不安定化にもつながっているのだが、それを打開するのは卸業者の役割でもある。一般的な魚よりも専門性が高く、取り扱いの難しいジャンルを扱っているからこそ、その強みを活かしたレストランをやろうと意思決定したのである。

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安藤治哉社長。川崎出身で、関東学院高等学校でロシア語を専攻していたのをきっかけとしてモスクワ大学に入学。卒業後もしばらくロシアで過ごし、計6年間でロシアと商取引するパイプを作り上げた。現在は卸先のためにもさらにカニについて研究を重ね、良質なものを提供していきたいと語る。「CCB」についても「まずはこの恵比寿店を成功させ、日本にカニ食の可能性を広げていきたい。でも、とにかく卸先のためにも、もっと国内のカニの消費量を増やしていきたいですね」と意欲的だ。

 世間では手づかみシーフードレストランとして神楽坂の「フィンガーズ」や新宿の「ダンシングクラブ」がメディアに頻出しているが、どちらも一番の魅力はあくまでスタイルであり、味や価格ではない。そこにあって「CCB」は仲卸直営なので、おいしさも価格も別格であることは間違いないのである。さらに、パンケーキや熟成肉のブームなど、欧米の食文化が流行になる昨今の外食シーンにあって、シーフードプラッターも注目を浴びるのではないだろうか。グルメ最先端の発信地のひとつである恵比寿という立地もあり「CCB」も非常に面白い業態である。これからの奮闘に期待したい。

■SEAFOOD RESTAURANT & BAR CCB
住所:東京都渋谷区恵比寿南1-23-8 アメリカンブリッジビルB1
TEL. 03-6712-2823

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