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2018年5月31日(木)12:04 トレンド

米国食肉輸出連合会主催「"アメリカン・ビーフ″のBBQが今年のビアガーデントレンドを変える!」

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取材・執筆 : 桐田正隆 2018年5月30日執筆

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セミナー会場(ザ・プリンスパークタワー東京)

 米国食肉輸出連合会(USMEF以下略)主催のフードリンクセミナー、「゛アメリカン・ビーフ″のBBQが今年のビアガーデントレンドを変える!」が、5月11日(金)、東京「ザ・プリンスパークタワー東京」にて開催された。

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アメリカン・ビーフ各種サイン

 米国食肉輸出連合会(USMEF)とは、1976年に米国政府、米国食肉業界により設立された非営利団体で、アメリカン・ビーフとポークの海外市場(米国以外の国)での販売促進・広報・教育活動による需要拡大と、消費者、業界での認知の向上を目的としている。

 初夏になり、暖かく過ごしやすい日々が増え、間もなくビールが一層とおいしい季節。近年はビアガーデン、テラス席を有効活用した飲食店が増え、その中で肉料理、BBQを提供する店舗が人気となっている。USMEFではBBQ、肉メニューのキーワードとして、「アメリカン・ビーフ」が活躍すると確信。部位、カッティングによって様々な提供方法ができ、メニューにバリエーションを持たせることができるからだ。
 
 そこで、どのビアガーデンでも提供できる肉メニューだけでなく、新メニューのヒント、提供する上でのメリット等、メニュー開発の参考として、実践する、学べるセミナーを開催した。

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主催のUSMEF マーケティング部門 アシスタント バイスプレジデント グレッグ・ヘインズ氏

 セミナーは主催のUSMEF、グレッグ・ヘインズ氏の、日本語の挨拶からスタート。「2017年、日本のアメリカン・ビーフの輸入量は、前年比の24%UPとなりました。肉ブームや、お集まりいただいた日本の外食産業の皆さんのおかげであると思います。2013年の輸入条件緩和以降、日本にいいお肉が輸入しやすくなりました。その結果として、人気の肉バルやステーキメニューが急増しています。日本独特のビアガーデンでも、きっとアメリカン・ビーフの活用が期待できると考えています」

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フードリンクニュース 小山裕史

 セミナーは3部構成で行われた。まずは企画運営を行う、フードリンクニュースの小山裕史が、近年のビアガーデントレンド事情を解説した。

 「ビアガーデンは年々、競争が激化している市場で、コンセプトも多様化されていますが、昨年2017年は2015年から注目を集めている『肉ブーム』が定着したシーズンとなりました」 時系列でみたフードリンクニュースの調査によると、2012年からビアガーデンが空前の賑わいに。それまでは提灯に枝豆、焼きそばと、まさに昭和のビアガーデンだったが、「女子会」、「ハワイアン」といったテーマ性をもったビアガーデンが登場。外食企業の進出も積極的となっていく。2013年は晴れの日にも恵まれ、前年から売上が110~120%増となる店舗が続出。そして2015年頃から肉、BBQをキーワードのビアガーデンが登場。2016年も増加の一途で、2017年にはほとんどのビアガーデンが肉メニューを導入。インスタ映えするフォトジェニックな肉メニューなど、差別化も多彩で、すっかりビアガーデンに肉メニューが定着した。

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ビアガーデンが再注目され始めた2012年から、時系列で市場の動向を解説

 そして2017年のビアガーデン市場の売上は、前年比の約20%に増加。例年、施設は天候に左右される悩みを抱えるが、消費者のニーズは年々増加傾向にあるという。

 施設側としても、2016年と比較して52%が高く満足していると回答。2017年シーズンに強化したポイントを訊ねると、34%の施設がフードと答え、最も強化されたポイントであった。傾向として、アルコールからフードへ、強化の関心が高まっているという。各ビアガーデンのメイン料理を調査したところ、約半数の45%が肉をメインメニューとして提供。2017年のビアガーデンは、すっかり゛肉食″となっていた。そして具体的な肉料理は、2015年から人気の前兆を見せていた、BBQ料理が第1位となった。

 ビアガーデンでは肉メニューが好評を博す反面、競合施設との差別化が課題になっている。ただ空前の肉ブームで、「肉は外せない」と考える施設は多い。そのなかにあって、「肉」で競合施設との、差別化に成功したビアガーデンを紹介した。

 2015年シーズンは「西武船橋店屋上ビアガーデン」(残念ながら西武船橋は今年2月に閉館)。ロイヤル商事が首都圏で19店舗を展開する、「牛兵衛」が運営し、目玉は専門店ならではの極上のすき焼き。当初は、夏なのにすき焼き、という不安もあったが、シーズンを逆手にとった新鮮さ、ビアガーデンで、皆で鍋をつつく楽しさから大人気に。プルコギやモツ鍋も人気となった。

 2016年シーズンは「ヒルトン東京 天空のビアガーデン 肉テラス」。コンセプトは「肉フェス」だ。「将泰庵」や「格之進R」といった肉の名店が商品を提供し、Tボーン、サーロインステーキ、ハンバーグといった多彩な肉料理を用意。まさに毎日が肉フェスのような楽しみ方が評判を呼んだ。またVIP席を設けたことで、女子会の支持も目立った。

 昨年の2017年シーズンは西日本の4施設に注目。「ANAクラウンプラザホテル広島(スカイビアレストラン)」は、網焼きビーフ食べ放題&デザートビュッフェで大盛況。女性客も非常に多かった。

 大阪なんばの「テキサス BBQ キャンプ」はキャンプ地をコンセプトに、テーブル席に加えてテントやランタンも設置。料理は塊肉と厳選の野菜を丸ごとローストグリルする、本場アメリカのテキサススタイルである。

 「肉食天国 なんば星空BEER GARDEN」では、4種類のお肉からなる全長30㎝以上の「肉山タワー鉄板BBQ」が大ヒット。まさにフォトジェニックを意識した目玉メニューで、見た目のインパクトが圧倒的。食べにくるというより、写真を撮りに来たというお客様もいたほどで、予算を大きく上回る結果になったという。

 そして小山氏が一番注目したというのが、兵庫県尼崎市の「都ホテル ニューアルカイック」の「スーパービアガーデン」である。同施設では2017年シーズンから、USMEFが提案する「URBAN BBQ」(アーバンBBQ)を導入。「URBAN BBQ」とは、アメリカでのBBQスタイルを日本のBBQシーンに合わせて、都心で手軽に楽しめる新しいBBQスタイルのこと。ビュッフェコーナーにてシェフが豪快に塊肉を焼き、お客様に提供していく。合わせて施設スタッフはUSビーフのTシャツ、エプロン、キャップ等のユニフォームを着用。施設内には「URBAN BBQ」、「USビーフ」、「ごちぽ」ロゴ掲載の横断幕を掲示するなど、ビアガーデン全体に「URBAN BBQ」の世界観が発信されている。

 目玉はシェフが目の前で焼く、サーロインステーキの食べ放題。金土祝前日は2時間制としたが、なんと平日と日曜は時間無制限で大好評を博した。そしてセミナー会場では、都ホテル料飲部部長、西河雄二氏のビデオインタビューが放映された。

Q.はじめのURBAN BBQの印象はいかがでしたか?
「ちょっと違ったもの、差別化できる肉メニューを模索していました。そこでスポンサードして頂いているアサヒビールさんより、URBAN BBQをご紹介いただきました。手軽に誰でもおいしくお肉をいただけること、ネーミングの響き、ロゴやPOPのデザインも斬新でモダンでしたし、心魅かれるものがあると思いました」

Q.どのように提供されていますか?
「当店では4500円の食べ放題・飲み放題で提供しています。鉄板でお客様の目の前で、サーロインステーキをジュージュー焼くライブ感、ボリュームの満足度も好評で、2、3度リピートしていただいたお客様もいらっしゃいました」

Q.原価への抵抗はありませんでしたか?
「計画的な仕入れで解決しており、問題はありませんでした。料理長もおいしさと手軽さを評価して、ぜひやってみようと。バイトスタッフでも、手軽においしく調理できるのもメリットでした」

Q.それでは2018年シーズンへの抱負をお聞かせいただけますか?
「今年は昨年と同じ、5月11日からビアガーデンをスタートします。URBAN BBQも継続し、ドリンクは約120種類を用意しました。また立ち飲み席を設けて、より多くの人に楽しんでもらえるようにしています。今年もPOPやTシャツなど、多くの販促ツールをご用意いただいて、大変助かっています。弊社では2012年よりビアガーデンがスタートしました。2016年シーズンが終わり、2017年シーズンはどうしようか?、と考えていたところで、URBAN BBQを知り得たことは、とてもよかったと思っています」

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わかりやすく整理された解説に、聞き入る参加者
 
 続いて第2部「アメリカン・ビーフ 基本情報とマーケット動向」がスタート。主催のUSMEF ジャパン・ディレクター、山庄司氏の講演が行われた。

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USMEF ジャパン・ディレクター 山庄司 岳道氏

 日本の肉ブームは、USミートの輸入量を見ても明らかだという。2015年~2017年の統計では、アメリカン・ビーフのチルド部門が最も増加。2015年の約20万トンから、2017年は約26万トンと、30%もの伸びを示した。肉ブーム、肉に親しみのあるシニア層の増加により、USミートの供給量は2000年のBSE以降の、最高水準に増加しているという。それでも増加途上という印象で、今後ますます増加すると考えられている。
 
 シニア層の需要について触れたが、2003年と2013年で年代別の消費量をみると、じつは60~70代が最も伸びているそう。これは幼少期から肉を食べるようになった年代であり、今後の需要としても見逃せないデータだという。そして2013年には、厚生労働省が健康づくりの見直しを発表。肉などのたんぱく質を、高齢者がしっかり食べるよう指導している。

 次に、来日したアメリカン・ビーフの生産者から挨拶が行われた。

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テキサスにてサンタローザ牧場を経営するケリー・サリヴァン氏

 「皆様にお会いできて光栄に存じます。また日頃の厚いお取引、ありがとうございます。私たちは大自然に囲まれた牧場で、家族で協力して牛を育てています。ブランガス種の飼育頭数は全米最大規模です。これからも食の安全、安心、かつ安定的に、アメリカン・ビーフを育てていきます」

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2000年に設立、ミネソタ・ブレニー農場のケイティー・ブレニー氏

 「私たちは夫婦共に、5世代目の農家です。アンガス種および、シャロレー種血統の牛を保有・飼育しています。また仔牛の出産を8~9月に行うなど、ユニークな生産方法を取り入れています。牛たちの健康に対しても徹底して管理を行っています」

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ミネソタの牧場を経営するセオドア・ライヒマン氏

 「私たちの牧場ではカウボーイが日々、外傷や病気について確認しています。牛の餌は、コーンや干し草、サプリなど、科学的に配合されたもので、常に清潔で新鮮な水を与えています。牧場のあるミネソタはシベリア並みの寒さです。冬は-30℃にも達しますが、年中無休で頑張っています。ぜひ私達の牧場にも足を運んでみてください。冬にお越しの際は、アウターの着用をオススメします(笑)」

 改めて山庄司氏から、「アメリカン・ビーフはどんな牛なのか?」との説明が行われた。

 米国内の牛の頭数は約1億頭。年間約3500万頭が牛肉として加工されている。1日あたり約11万頭で、日本では約4200頭。約20倍以上の規模を誇る。

 牛の品種はアンガス種、ヘレフォード種と、その交配種。特に交配種が主流で、2種の牛を掛け合わすことで、良質な肉が多くとれる最良の牛となる。

 アメリカン・ビーフのおいしさの理由については、穀物肥育100%でジューシーなこと。米国は世界の約4割のとうもろこしを生産しており、良質なとうもろこしを豊富に餌として使用できる。これによって、とうもろこしのうまみ、甘みのある赤身に育つ。また日本の肥育も、米国のとうもろこしを輸入して和牛の飼料となっており、日本人にとって慣れ親しんだ味わいであることも挙げられる。

 アメリカン・ビーフのコストはとうもろこし相場の影響を受けやすい。ただ近年は安定しており、牛の生産と飼養頭数も安定。アメリカン・ビーフは先々も安定した価格で、提供できることが予想されている。

 次にアメリカン・ビーフが日本に輸出される過程を説明。米国で加工された牛肉は、船便と通関を合わせて約3~4週間の時間を経る。チルドビーフとしては、この輸送機関がちょうどいい熟成期間となって、日本に届けられているのである。

 またアメリカン・ビーフには日本と同様に、格付け(Grading)がある。オーストラリアにはない。格付けは政府検査官が実施。生産技術がすすみ、最高ランク「プライム」の発生率も上昇している。赤身とサシのバランスがよく、味わいとジューシーさ兼ね備えて、オーストラリアやメキシコら以上に高い支持を受けている。

 最後に山庄司氏は、「生産者の方々の話しにもありましたが、私自身も現地を視察して、アメリカン・ビーフは一頭一頭、本当に大切に育てられていることを感じます。また牛肉の生産大国であることを活かし、アメリカン・ビーフは欲しい部位のみ供給できることもメリット。様々なニーズに合わせて、細やかなカット規格を用意しております。歩留まりや利益性を考慮して、余分な脂や筋は現地工場でできるだけ取り除いて、価値あるスペックで提供致します。POPや販促ツールも進んでご用意致しますので、ぜひBBQや様々なマーケットで、アメリカン・ビーフをご活用してください」、と締めくくった。

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BBQメニューについての説明を行う、USMEF笠谷 樹氏。

 最後の第3部では、「アメリカン・ビーフBBQメニュー試食会」が行われた。会場では鉄板ブースが用意され、セミナー参加者の目の前で調理を行い、5つのメニューが振る舞われた。

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赤身とサシのバランスが支持されるアメリカン・ビーフ

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味付けは極めてシンプル

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できたてのBBQメニューを振る舞うシェフ

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参加者は様々なメニューを真剣に試食

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ストリップロインのステーキ
 日本でサーロインと呼ばれるストリップロインのステーキ。適度にサシが入り、柔らかさとおいしさを兼ね備えてステーキに適している。

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アウトサイドスカートとチャックフラップテールのステーキ
 アウトサイドスカートとチャックフラップテールのステーキ。カットが簡単で歩留まりに優れる利点がある。

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トライチップのローストビーフ
 モモにあたるトライチップのローストビーフ。ローストビーフにすると、凝縮された肉のうまみを楽しめる。

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BBQの〆にもピッタリ、ラージインスティン(シマチョウ)を使った焼うどん。

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URBAN BBQ販促ツールのユニフォームやステッカーも展示。

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参加者の味への満足度は非常に高かった

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セミナーには80名近い参加者が集まり、盛況に行われた。

 セミナー参加者に試食の感想を伺うと、「アメリカン・ビーフらしい赤身のおいしさを感じられました。和牛とはまた違った、歯応えのよさにも注目したいですね」(エバーブマー 眞坂様)、「すでにアメリカン・ビーフは導入していて、全体的においしい。特にハラミがおいしいですね。今回はラージインスティンを使ったホルモンうどんがおいしく、参考になりました。コリコリした歯応えと、脂肪の甘い風味がよかったですね」(ニュートン 長島様)、「各々、違ったおいしさがあって、食べ比べできたのがよかった。お肉は塩味だけでも、十分おいしくいただけました。こういう機会はなかなか珍しいので、参考になりました」(エド.パーラー 新林様)、といった声が聞かれ、USMEFの方々と熱心に談話も行われていた。


開催日:2018年5月11日(金)
主催:米国食肉輸出連合会(USMEF)
企画運営:株式会社フードリンクグループ(フードリンクニュース)
会場:ザ・プリンスパークタワー東京
時間:13:30~16:00

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