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フードリンクレポート

2014年12月25日(木)16:46 トレンド

流行に敏感な女性をターゲットにしたビアガーデンが急増。スイーツではプレミアムかき氷が話題をさらった。

2014年、外食産業を振り返る(5-3)

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取材・執筆 : 長浜淳之介 2014年12月24日執筆

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 2014年も間もなく暮れようとしている。4月に3%引き上げられた消費税や天候不順の影響もあり、全般に前半は好調、後半失速した外食業界だったと思う。しかしそのような中で、空前の牛肉ブーム、ちょい飲みの浸透、ビアガーデンの拡大などといった話題があり、サッカーのワールドカップ・ブラジル大会の開催もあって、中南米の料理が注目された年でもあった。また、団塊世代の退職により、3世代で楽しめる店としてファミレスが年間を通して好調で、居酒屋の不振と明暗を分けた。


空前の牛肉ブーム到来!熟成肉から格安ステーキ、牛すき鍋とヒット続出。焼肉も好調。 

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2014年、外食産業を振り返る(5-2)


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ゼットンがパルコ6店で新規展開した「アロハテーブル ナチュラル ハワイアン ビアガーデン」で提供された「ハワイアン・ベジラップ・BBQ」(セットで2700円)。7種の野菜でビーフ、ポーク、チキンを包んでいただく。店舗は映画「わたしのハワイの歩きかた」とタイアップ。


 2014年のトレンドを見た場合、夏場のビアガーデンの急増は特筆すべきことだ。4、5年前から、従来のビアガーデンではなくて、オープンカフェのような雰囲気で流行に敏感な女性をターゲットとするビアガーデンが増えていたが、今年は一気にブレイクした。


 立役者はゼットンだ。今年なんと12店を新規オープン。これで運営しているビアガーデンの数は20となった。

 

 このビアガーデン大量出店効果により、ゼットンの2015年2月期第2四半期決算は、売上高56億2200万円と過去最高となり、前期よりも20.3%増の大幅アップとなっている。前期は46億7500万円だった。当期新規出店店舗の寄与分は9億4100万円で、非ビアガーデンの2店を合わせて14で割ると6721万円となる。恐らくはざっと1店舗あたり夏の営業だけで6000~7000万円を稼ぎ出しているということになるだろう。


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池袋パルコ「アロハテーブル ナチュラル ハワイアン ビアガーデン」。単品でオーダーできフルサービスと、レストラン並みのサービスを目指している。


 今年の夏は天候不順で、ゼットンの既存店売上高は前年同期比98.5%となっている。もし天候が良好であったなら、1店舗あたり500~1000万円の上積みがあったかもしれない。


 ゼットンの展開するビアガーデンは、ハワイアン、アジアン、和風などさまざまなタイプがあるが、何と言っても得意なハワイアンが主力。新規出店のうちハワイアンは8店舗あり、うち6店舗がパルコの屋上である。池袋、吉祥寺、千葉、津田沼、静岡、宇都宮と、池袋を除けば東京の外延部に広げていった感が強い。パルコの宣伝力もあるが、ゼットンのハワイアン業態の場合、ビアガーデンでパンケーキが食べられるのが大きな売りであり、アサイー、アボガドの入ったバジル・ポキなど、女性が喜びそうなメニューが揃っている。


 同社の場合、ビアガーデンでは異例なフルサービスなので、スタッフが育つかどうかに業績がかかっている。2年目の来年は、夏のアルバイトも慣れてくるので、よりブラッシュアップした姿を見せて欲しい。


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伊勢丹新宿店の和のビアガーデン「夜空ノ庭」。同店のビアガーデンは第1弾と第2弾があって、第2弾に登場。


 さいたま市の大宮では、高島屋、そごう、ルミネと3つもゼットン運営のビアガーデンがあり、横浜駅前と並んで同社の牙城となっている。5月から順次オープンしていったが、伊勢丹新宿店の和風ビアガーデン「夜空ノ庭」は8月のオープンであり、これまでの店と違って、居酒屋とカジュアルダイニングの中間的な業態を屋外に持っていったらどうなるかという新しい方向性が見える。ビールのみならず日本酒も楽しめる和のビアガーデンは成り立つのか。平日でも満席になるほどなかなかの人気であったが、来年の展開が楽しみだ。


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松屋銀座の「美しくなるビアガーデン」。今年も昨年同様に予約が取りにくい状況になり、秋には北海道物産展と連動した別企画も行われた。


 昨年初登場、予約が取れないほどの人気となった、松屋銀座の「美しくなるビアガーデン」(正式名:Beer&BBQ&Barテラス@888)は、今年も人気を保った。一般社団法人スポーツフォーライフジャパン監修のメニューで、秋田の高原比内地鶏、イベリコ豚、レインボーベジタブルと称する野菜など、良質のタンパク質、ミネラル、ビタミンをバランスよく摂取するという、新しいコンセプトを提示。ビアガーデンの新境地を開いている。


 意識的にイケメンを揃えたというスタッフ陣や、VIP席を設けたのは、昨年からの改善点だ。サービスは料理はフルサービスだが、ドリンクはセルフというファミレスによくあるような形式を取っている。


 しかも、好評につき秋の北海道物産展と連動して、10月23日から11月5日まで、秋の「美しくなるビアガーデン」をオープン。朝の11から15時までは、ランチメニューを提供したのも面白い。「十勝ハーブ牛」をメインとして、ランチはハンバーグやサーロインステーキ、ディナーはハラミ・ロース・三角バラのBBQなどを提供した。


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阪急トップビアガーデンに設けられた立ち飲みスペース。


 大阪では、東京のビアガーデンがフルサービスの流れになっているのに対して、ありえないほど圧倒的なごちそうのバイキングで迫るビアガーデンが人気だ。


 今年、大幅にリニューアルが行われたのが、阪急梅田駅ビルの「阪急トップビアガーデン」。テーマはビアキャンプで、夏のキャンプらしいアウトドア感覚の出来立てを味わえるコーナーなど、多彩なメニュー約33種類が時間無制限食べ放題で展開した。多人数でワイワイ騒ぐ席と、「ヘップファイブ」の観覧車が見えるカップルシートなど2、3人でまったりくつろぐ席を分け、5月と6月にはビアガーデンでは今までなかった立ち飲みスペースを開設した。


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「阪急トップビアガーデン」。屋台形式でバイキングが並ぶのが大阪方式。


 席数は関西最大の850席を擁し、豪快な肉の網焼き、直径45cm約50人分のチーズと酢飯の意外な相性を楽しめる「ピッツァ風ちらし寿司」など、インパクトあるメニューで集客は好調だった。


 昨年から始まって好評を博した、阪急うめだ本店のヨーロッパのマルシェのような店づくりを行っている「うめはんビアガーデン マルシェ」、高島屋大阪店アジアンリゾートをテーマにした幻想的な雰囲気の「キラビア」も引き続き好調で、定着していきそうな勢いだ。


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柳橋ビアガーデンでは水槽を導入して、新鮮な魚介類が味わえることをアピール。


 名古屋では「柳橋ビアガーデン」が柳橋市場に直結する立地を生かして、魚が泳ぐ水槽のあるビアガーデンを提案。「マンボウの腸」、「生のえいひれ」など、まずスーパーでは見かけないレアな食材を提供した。毎日日替わりでアイドルやお笑いのライブを行ってエンターテインメントの面でも充実させた。


 この秋冬にも、4周年を記念して、11月5日から12月27日まで、「とらふぐ鍋」を4444円飲み放題付きで提供する「柳橋とらふぐ鍋ガーデン」を開催している。前出の松屋銀座もそうであるが、夏のビアガーデンが終了した後、秋のシーズンに別途企画のビアガーデンが企画されるケースが目に付いてきた。


 総じて、女子会のニーズを掘り起こすことによって、ビアガーデンはイメージを一新。デート需要、コンパ需要、会社内の軽い宴会需要なども取り込んで、今年は新しいビアガーデン像が確立された一年だった。


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「マンゴーチャチャ」の「密な関係」。意味深なネーミングも人気をあおった。


 また、夏のデザートとして注目されたのは、プレミアムかき氷だ。たとえば、今年4月、原宿にオープンした「マンゴーチャチャ」。本店は台湾にあり、かき氷で有名になったがマンゴー専門店である。かき氷以外にも、マンゴーのケーキ、パンケーキ、タルト、マカロン、豆乳、ジュース、カプチーノなどがメニューに並び、マンゴーづくしの店だ。


 自慢のかき氷は、3、4人前はあろうかというビッグサイズで、マンゴーをふんだんに使った、シェアして食べたい「元カレ」、「密な関係」、「モテキ」と命名された豪華版が2800~2900円台であり、かき氷のチープなイメージを打破している。一人専用の「密な関係」、「モテキ」、「初恋」(いずれも920円)もあるが、「密な関係」を例に挙げると、山になったかき氷に天然沖縄黒糖のシロップを掛け、切ったマンゴーをその上に敷き詰めて、マンゴーアイスとハート型マシュマロをトッピングしている。フルーツパフェのようなかき氷で、大きなインパクトを与えた。


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マンゴーチャチャ原宿店。


 名古屋の百貨店「丸栄」では、夏季限定で「かき氷カフェ"Jプレミアム"」をオープン。同店では日光の天然氷と舞阪の長熟氷の2種類の氷から選べるシステムを採用。天然氷は日光にある「徳次郎氷室」の氷で、氷室を使った氷を製造しているのは日本で5軒を残すのみという希少なもの。長熟氷は静岡で100年続く老舗製氷メーカーの氷で、じっくり長い時間をかけて凍結させている。


 シロップは、「希少糖含有シロップ」、「スムージーシロップ」など13種類から選ぶ。氷とシロップの組み合わせにより、栃木とちおとめいちごシロップの長熟氷(701円)、ジンジャー&レモンの希少糖含有シロップの天然氷(981円)などが販売された。

 

 なお「かき氷カフェ"Jプレミアム"」を企画したジェイフード(本社・愛知県美浜町)は、銀座三越など全国16の百貨店で「徳次郎氷室」の氷のかき氷を催事として行っている。このように氷からの差別化も今年は積極的に行われた。


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ひみつ堂の「ひみつのいちごみるく」(800円)


 このほか、冬でも行列ができるかき氷専門店には、東京・谷中の「ひみつ堂」、湘南・鵠沼海岸の「埜庵」などがあり、一度は廃れた天然の氷や長時間熟成した氷の品質が見直され、蜜の素材にこだわった手づくり感あるかき氷が受けていて、新感覚の極上スイーツとして名乗りを上げている。


 六本木の「yelo」は、お酒も飲めるかき氷カフェバー。この冬は「赤坂サカス」に期間限定でオープンしたスケートリンクに、トヨタ「パッソ」とコラボした「パッソカフェ」をプロデュースした。


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京都のハイボールガーデン「空床」で提案された、日本初のウィスキーを使った大人のかき氷「みぞれ山崎」(1200円)。


 あるいは、京都・河原町三条に今年初出店した「塚田農場」のルーフトップガーデン「空床」では、サントリーのシングルモルトウィスキーを使用した、「みぞれ山崎」、「みぞれ白州」が販売された。優しい甘味のシロップがかかり、レモンが添えられている。炭酸水をかけるとハイボールに変身して、2度楽しめる趣向だ。プレミアムなウィスキー、ハイボールを前面に出したハイボールガーデンのコンセプトも面白い。他にも、カクテルのシロップで溶ければドリンクとして楽しめるものも、ビアガーデンや海の家で多数企画された。ビアガーデンの新定番としても、プレミアムかき氷の動向は来年も目が離せない。



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