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取材・執筆 : 原堅太郎 2013年3月1日執筆
昨今、バル・ビストロ業態の増加は著しい。バル・ビストロ業態は、2002年の日韓ワールドカップを皮切りに、スポーツ観戦ができるバルやビストロの走りが生まれ、現在では日本の外食市場の核となっている。特に気軽にワインを楽しむことができるバルの増加は目まぐるしいもので、バル・ビストロの浸透と共にワインが外食でひとつのポピュラードリンクとなった。その外食状況下で、ここ数年ブームを巻き起こした「ハイボール」は、一見定着したかのように見えるが、現在飲食店でどのような状況になっているのだろうか。バル・ビストロ業態も増えた飲食店が集中する新橋エリアで、ハイボールの"今"をレポートする。

ハイボールの今を探る。
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ハイボールは、今では居酒屋に限らず様々な業態の飲食店で当たり前に提供されるようになった。特に居酒屋では、アルコール類の出数割合がビールに次いで多く、様々な客層からも支持される人気のドリンクへと上り詰めた。今では、どの飲食店でもハイボールの取扱いが当たり前になり、外食市場へ深く浸透しているように見える。
とある港区・新橋の人気バル店の店主にハイボールについて聞いてみると、「うちはバルなのでメインドリンクはワインですが、ハイボールを飲みたくなるお客様も多く、よく注文を受けます。その時に気を付けているのが、ウイスキーとソーダ水との割合で、割合が濃すぎたり逆に薄すぎたりしてしまうと、ピタッと飲まなくなりこれ以上お酒を注文しなくなってしまう事があります。炭酸が抜けた、ぬるいハイボールを好むお客様なんて一人もいません。キリッと冷たく炭酸の効いたハイボールをご提供できるように、スタッフ全員に徹底させています」と語ってくれた。こういった些細な気遣いが繁盛店の基盤といえるだろう。現に、提供されたハイボールは、ウイスキーの濃さ、氷も適量で、良く冷えた炭酸がキリッと全体を引き締める美味しいハイボールだった。
飲食店が集中する新橋エリア。
しかし、取材時、新橋のバル業態では、ハイボールの品質にこだわらず目分量で作っていた店舗も見かけた。結果、やはりウイスキーが若干濃く感じ、炭酸とのバランスがバラバラに感じ、ハイボールに感じる爽快さを全く感じえなかった。このように小さな手間を省くことで、お客様の期待を大きく裏切る結果に繋がってしまうケースもよく起こりうる事例の一つだ。
一方、居酒屋業態ではどうだろうか?
ハイボールの飲用時品質がお客様満足度を大きく左右する。
新橋の居酒屋の数は、約600店とも言われているが、そのほとんどのお店でハイボールを提供していると言える。現に取材時にもハイボールと食事を楽しむお客様の姿は数多く見らた。既に完全にハイボールは定着していると言えるが、反面、品質が悪い店舗にもよく遭遇する。それは、業態特有のアルバイト体質が出てしまった一つの結果といえる。大量のお酒がオーダーされる居酒屋では、おのずとアルバイトスタッフがドリンクを担当するケースが多く、作業に追われドリンク一つ作る作業で手間を省いてしまい、品質の悪いハイボールが提供される。このような事は、大箱の居酒屋業態や、席数が少なく少ないスタッフ数で店舗を回しているお店に顕著にみられる。そういった些細なオペレーションの手間を省くことで、自分達のお店のイメージを下げ、結果としてお客様の入りが少ないといった飲食店もよく見かけた。
爽快感のあるハイボールがお店のイメージを決める。
取材した店舗では業態に限らず、お世辞にも"おいしくないハイボール"を提供していた店舗では、集客に苦しんでいるように感じた。お客様のハイボールのイメージと言えば、冷たく炭酸の効いたキレのある爽快感だろう。ぬるくて炭酸が抜けたハイボールは誰も求めていない。
これはハイボールだけに言えた事ではない。お客様が求める商品を提供する事、これは店舗で提供する全てのメニューで当てはまる事である。そのなかでも、ドリンクは来店されたお客様が初めに口にするもの。最初の1杯が、お店のイメージを左右するものだ。
最初の1杯目からオーダーされる事も多くなってきた今だからこそ、店舗で提供している品質について意識しなければならない。お客様を満足させるドリンクにしていかなければ、大切なお客様にマイナスなイメージを与え、お客様離れにつながっていくだろう。今ではどこでも提供しているハイボールだからこそ、1杯の品質によってお店の印象を左右しかねない。全国の飲食店が あらためて品質について再度考える必要があるだろう。
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