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ぶっちゃけどうよ!

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2014年12月11日(木)16:09

「鳥貴族」の仁義なきパクリ業態!?「鳥二郎」が関西で増殖中!

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取材・執筆 : 西尾明彦 2014年12月11日

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 外食産業には、TTP (徹底的にパクる)という言葉がある。それを地でいく「ジャンボ焼鳥 鳥二郎」が、関西で増殖している。全品270円均一と「鳥貴族」より10円安い以外は、看板、メニューや内装も酷似。その実態を探るべく、1号店である「鳥二郎 四条河原町店」を調査、レポートする。

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阪急の河原町駅、京阪四条駅すぐ、不敵にも「鳥貴族」と同じ飲食ビルのひとつ下の階。看板も多く目立つ。満席時のおこぼれ狙いか、間違っての入店狙いか。

 「鳥二郎」1号店は2014年4月にオープン、そこから半年ほどで10店舗まで、急速に店舗数を増やしている。業態が酷似しているだけでなく、出店先はいずれも「鳥貴族」の近くという徹底したベンチマークぶり。

 運営会社は、京都市中京区に本社がある株式会社 秀インターワン(HIDE INTO ONE GROUP)。メインブランドの「お好み焼き・鉄板焼き いっきゅうさん」など、平成25年5月末時点で69店舗、FC6店舗を展開している。270円均一価格で勝負を仕掛けるだけに、ある程度の規模の仕入れ力、企業体力はありそうだ。他業態には「有田鶏専門 有田農場」という、これまたどこかで見たような業態もある。

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「鳥二郎」のロゴは商標登録に出願済みと、わざわざツイッターでアピールしていた。あくまで出願しただけで、商標として登録された訳ではない。画像は「鳥二郎大阪 @torijironamba」のツイッターのスクリーンショットより。

 訪問したのは休日の18時頃。偶然エレベーターで一緒だった若いカップルも行先は同じ。「鳥貴族」ではなく、わざわざ「鳥二郎」を選ぶお客様はいるようだ。

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ほぼそっくりな内装。オープン半年程なのに、材質のせいか床がヌルヌル滑る。

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メニュー表の形状、内容まで酷似。ただ、メニューの料理画像は素人臭く、焼鳥の拡大画像は、画像解像度すら低い。

 食べ放題・飲み放題のパーティーコースも鳥貴族の「28とりパーティー」(税抜2800円)より少し安い「2525PARTY」(税抜2525円)。2時間制、8名以上で要予約と、適用条件もネタ元と同じ。

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4名席→2名席に切り替えられる敷居も同じシステム。書かれている文言は"鳥貴族のうぬぼれ"によく似ている。が、この業態のどこにプライドがあるのか、皮肉な内容。

 この業態は本当に大丈夫なのか、アルバイトらしきスタッフに聞いたところ、「大丈夫です、うちはオリジナルですから!」と、聞かれ慣れているらしく、マニュアル感たっぷりに答えてくれた。スタッフに悲壮感がないのはまだ幸いか。

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制服もどこかで見たような...。

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ビールはアサヒビール。発泡酒はやはりジャンボジョッキだった。

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「もも二郎焼・たれ」。名物ジャンボ焼鳥は、長さ21cm×重量90gとのこと。大きい以外、特に感動はない。

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 「むね二郎焼・塩」。火入れが浅く、上の串は見るからに生焼け。そういう料理に限って塩加減が弱い。肉がパサついて固く、噛み切りにくかった。

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休日の18時で「トリジの唐揚げ」が品切れで、替わりに頼んだ「トリジの手羽先」。パサパサで、いかにも冷凍クオリティ。

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「とり平サラダ」を注文したところ「シーザー...、とり平サラダです」と運ばれてきた「シーザーサラダ」。オーダーミスに気づいていながら、平然と持って来られた(オーダー表には「シーザーサラダ」と明記。オーダー復唱確認はされなかったが...)。

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サラリーマン層より、この日は20代の若いカップル、女子会が多かった。

 100席の店内が、19時以降はほぼ満席に。20時の時点では2名×3組のウェイティングが出ていた。正確には4名ボックス席は空いていたが、あえて通していなかった。客層は20代から40代以上のサラリーマンまで。カップルや女子会も多い。ネタ元同様にお代わり無料の「キッズドリンク」があるためか、子ども連れのファミリー客も数組。年齢層は幅広い。滞在時間は1時間~1時間半程度と、回転も早い。

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名物らしき「とり釜飯」。生米に調味液をかけて炊いたような味の濃さ。濃すぎたり、薄くて味がぼやけたり、味のバランスはバラバラ。

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雑然としたキッチンまわり。ここを通って客席へ。

 約2時間にわたってチェックしたが、料理、ドリンク、サービス面、すべての面でネタ元に劣るように思われる。ただ、偽ブランド品と知って買う人がいるように、こだわりを持たず、劣化版だと割り切って「トリキが満席なら、トリジでもいいや」という層もある程度はいるのだろうか。アベノミクス景気があまり実感できない関西で、この業態にある程度需要があるというのは、店舗展開にあるように、事実ではある。

 とはいえ、「鳥二郎」で働く社員やパート、アルバイトスタッフはどんな思いで働いているのだろうか。多くの求人の中からを選んだ先が、お客様から「パクリでしょ」と言われる店。嫌気がさして辞めてもおかしくないが、業界自体まで嫌いになってしまうと、人材不足の外食業界にとって、大きな損失になる。

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トイレに貼ってあった求人チラシ。アルバイトの時給は界隈の相場より若干高い程度だが、社員23万5000円スタートは高給の部類。労働条件が過酷か、離職率が高いのかと勘繰りたくなる。

 ヒット業態が出ると、それを真似した業態が出てくるのは、外食業界ではよくあること。とはいえ、ここまで酷いのはどうなのか。「和民」「魚民」の看板訴訟や、「月の雫」(三光マーケティングフーズ)「月の宴」訴訟など、数々の法廷闘争を経て、今や1400億円企業となったモンテローザが思い起こされた。何を目指して模倣業態の店舗展開を続けるのか。複雑な思いを胸に、秀インターワンと「鳥二郎」の行く末を注視していきたい。


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