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ぶっちゃけどうよ!

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2015年5月12日(火)17:24

「ラーメン」の次は「とんかつ」。ハイデイ日高の新業態「かつ元」はビジネスマンを虜にできるか。

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取材・執筆 : 須田萌子 2015年5月12日

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 「熱烈中華食堂 日高屋」をはじめとする中華料理と焼鳥チェーンを都心に展開するハイデイ日高が、まったく新しい業態のとんかつ店「かつ元」を2015年4月30日、埼玉県大宮駅前にオープンした。ハイデイ日高は、東京・神奈川・千葉・埼玉・栃木・茨城の主要駅前に350店舗以上展開し、「駅前には日高屋がある」を経営ビジョンに、年間30店舗ベースで新規出店中。中華そば390円、ラーメン半チャーハンセット630円、生ビール、餃子、中華そばを頼んでも910円という低価格で料理を提供。近年の「ちょい飲みブーム」の立役者でもある。ビジネスマンたちから高く支持されるとともに、一代で飲食チェーンを築き上げた経営戦略も注目を集め、低迷が続く外食産業のなかで10年連続増収増益をあげる、今ノリに乗っている企業だ。ここ数年盛り上がるミートビジネスを視野に入れての「とんかつ」新業態か。ハイデイ日高の新たな試みをリサーチするべく、オープンまもない「かつ元」を訪れた。

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「かつ元」はJR大宮駅東口から徒歩3分。「都心の主要駅」「駅前」「1階」に出店するという日高屋のこだわりが生かされた立地。飲食店やドラッグストア、娯楽施設にあふれた昼夜にぎわう歓楽街にある。

 入り口にはのれんがかかり、看板はシンプルな筆文字。チェーン店というより職人が頑固にとんかつを揚げていそうな個人店風の店構えに、日高屋のトレードマークのちょうちんとメニューが書かれた木札が貼られ、「お酒を飲める店」としてのアピールもしっかりされている。

 JR大宮駅は在来線・新幹線合わせて10路線以上が乗り入れる埼玉県の玄関口。西口はオフィス街、東口は繁華街として栄え、駅ビル、百貨店が一通り揃っており、利用客は学生、ファミリー、ビジネスマンなど幅広いためどんなお客様を取り込めるかを調査しやすい。大宮にはハイデイ日高の本社がある。まずはお膝元でテストマーケティングといったところか。

 訪れたのはゴールデンウィーク真っ只中のランチタイム。行列こそできていなかったものの、お客様はひっきりなしにやってくる状況で、出だしは好調のようだ。

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店内は奥行きがあり、手前にカウンター席が全13席。奥にテーブル席が20席。あわせて30席程度で、レイアウトは「日高屋」とほぼ同様。

 ボリューム満点、ハイカロリーな「とんかつ」を売りにしているとあり、客層は約8割が男性一人客。そのうちの半分は50代~70代と年齢層は高め。そのほかにはシニアの夫婦や男性2〜4人グループだった。女性の割合が少ないものの、店内は明るく清潔感があり、壁向きのカウンター席もあるため、女性一人でも入りやすいのが印象的だ。

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ランチメニューは定食6種類。ロースかつ定食、ひれかつ定食、カツ丼など王道メニューのみ。野菜やチーズロールかつ、カツカレーといったアレンジメニューはなくあくまでもシンプルな和食の「とんかつ」で勝負しているようだ。

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ランチタイムでもアルコールや単品料理を完備。生ビールは中ジョッキで310円。日高屋と同プライスで、昼飲み需要にも応えてくれる。訪問日が休日だったため、昼飲みを楽しむお客様を数組見かけた。

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一番人気の「ロースかつ定食」。
 
 ほとんどのお客様が「ロースかつ定食」または「大ロースかつ定食」を注文。揚げたてのとんかつにキャベツ、ごはん、みそ汁、野沢菜漬付きで790円。ひと回り大きい「大ロースかつ定食」は990円で、1000円以内ランチをかなえている。

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肉は分厚く、衣はさっくり。丁寧に調理されていることが伺える本格的なとんかつだ。普通の「ロースかつ定食」でも男性が満足できるほどのボリュームで、ご飯も通常の1.5倍はよそわれているので女性には多く感じられる。

 「とんかつ和幸」「新宿さぼてん」「まい泉」など他のとんかつ店のロースかつ定食のプライスが1,200円~2,000円程度なので、790円という価格は相場より低め。メニューや店内に特に豚肉の産地は記載されておらず、プライスから考えてもブランド豚ではなさそうだ。肉質は「箸で切れるくらいやわらかい」とはいえないが、味はあっさりとクセがなくとんかつを楽しむには申し分ない。

 「かつ元」の競合となり得るとんかつチェーン店「かつや」のロースかつ定食は690円であるが、「かつや」はファミレスや牛丼・定食チェーンのイメージが近いため、味わえる雰囲気は異なる。また、「かつ元」の徒歩圏内に店舗はなく、「かつや」はロードサイドを中心に出店しているので、駅前出店を重要視している「かつ元」と棲み分けができている。大宮駅前には「新宿さぼてん」、近所の高島屋の地下には「とんかつ和幸」が出店しているが、どちらもテイクアウト専門店のため、大宮駅周辺で本格的なとんかつを1,000円以内で食べられるという点においては独自性があると言っていいだろう。

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厨房と対面式のカウンター。

 調理場には板前のユニフォームに身を包んだ店員が3~4名おり、お客様に気を配りながら調理しているため、チェーン店とは一線を画す老舗とんかつ屋さながらの雰囲気を醸し出している。きちんと調理されているという安心感と、目の前で揚げられたとんかつを食べるというライブ感が心地よい。

 料理提供時間は10~25分。注文を受けてからとんかつをしっかり揚げることを考えると妥当な時間。オープン直後でオペレーションが軌道に乗っていないこともあるだろうが、テーブルごとに提供時間のばらつきがあった。

 営業時間は11時から23時30分の通し営業。店員に尋ねたところ、夜はランチ同様の定食、一品料理、アルコールはそのままに、1本100円から注文できる海老や鶏肉、野菜の串揚げが加わるとのこと。ハイデイ日高の経営とあって「ちょい飲み」にも利用できるようだ。
 
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一品料理のラインナップは、ポテトサラダ(250円)やとりハツ煮込み(290円)などのいわば大衆酒場の定番メニュー。さらに、揚げ物の箸休めにぴったりな野沢菜漬(230円)、笹かまぼこ(290円)、日本酒の肴になりそうな鰹の酒盗(240円)やイカの塩辛(240円)を揃えている。揚げ物以外は火を使わないつまみや温め直して簡単に提供できる料理にすることで、「揚げ物」に重点を置き、調理オペレーションを複雑にしない工夫が伺える。

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「かつ元」の近所は、細い路地に「日高屋」、「磯丸水産」、「銀座ライオン」などがところ狭しと並ぶ居酒屋密集地帯。仕事帰りの飲み需要は高いエリア。

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隣は「いきなりステーキ」という挑戦的な立地。
「いきなりステーキ」も、ペッパーフードサービスの新業態としてこの1年半で約40店舗を出店する勢いのある飲食店。和のとんかつか、洋のステーキか、がっつりと肉を食べたいお客様は果たしてどちらを選ぶのかも検証できる。

 「日高屋」と同様に、1000円以内でランチもちょい飲みもかなえてくれる「かつ元」。都心のオフィス街を狙えば、仕事の活力を得るスタミナランチや仕事帰りの一杯に...とビジネスマン御用達の店になり得るため、早々にも次なる出店がありそうだ。串揚げを売りにした居酒屋は多くあるが、串揚げ1本100円、生ビール1杯310円という低価格の強みと、一人でも利用しやすい落ち着きのある店内の雰囲気を考えると、「ちょい飲み」の選択肢のひとつに選んでもらいやすいだろう。

 ランチに関して言えば、女性に向けたサービスに期待したい。ハーフサイズメニューやさっぱりと味わえる大根おろしのオプションやレモンを添えるなどのひと工夫があれば、もっと女性客は増えそうだ。また洋服や髪の毛に油のニオイがつくことからとんかつ屋を敬遠するお客様もいるので、店内の換気にも配慮が必要だ。

 店舗拡大を大きな目標にかかげ、新しい業態にも挑戦するハイデイ日高。「かつ元」の出店拡大はもちろんだが、中華そば、焼鳥、とんかつの次なる業態の開発もきっとあるはず。ビジネスマンを虜にし続けるハイデイ日高の今後の動向により一層注目したい。


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