倒産23年上半期、過去最多。小・零細規模を中心に体力の限界近づく。

 2023年上半期(1~6月)の飲食業倒産(負債1,000万円以上)は424件(前年同期比78.9%増)と大幅に増えた。上半期では20年の418件を超え、過去30年間の最多を更新した。東京商工リサーチが集計。

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 飲食業は、コロナ禍で休業・時短協力金や各種支援金などの手厚い支援に支えられた。だが、その後も売上は十分に戻らず、支援策の終了と同時に押し寄せた電気、ガス料金の値上げや物価高、人件費の上昇で、苦境が鮮明に浮かび上がってきた。

 業種別では、コロナ禍で参入が相次いだ「宅配飲食サービス業」が210.0%増(10→31件)、「持ち帰り飲食サービス業」も137.5%増(8→19件)と大幅に増加した。三密回避の浸透で、「酒場,ビヤホール(居酒屋)」も47.5%増の90件発生した。

 資本金別では、個人企業を含む「1千万円未満」が364件(90.5%増)で、前年同期の191件から大幅に増加した。飲食業倒産の85.8%を占め、小・零細企業の苦戦が続いている。経済活動や人流が回復する一方で、小・零細規模を中心に、長期にわたるコロナ禍で疲弊し体力の限界を迎える企業が増加しつつある。

 アフターコロナで人流は回復してきたが、十分に人手を確保できず、物価高での食材費や電気代の高騰によるコストアップも重く、23年の飲食業倒産は過去最多を更新する可能性も出てきた。

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取材・執筆 : 安田正明 2023年7月10日

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