ランチは糖質5g未満!関西初の低糖質食専門レストランに注目。「ロカボキッチン然-zen-」(大阪・堀江/低糖質食専門店)

 関西初の低糖質食(ローカーボ食)専門店、「ロカボキッチン然-zen-」が大阪・堀江に9月16日にオープンした。オーナーが薬剤師で、自身も低糖質食で30kgのダイエットに成功。その知識と経験を基に、シェフ兼店長の新田将司氏がレシピ化した。モットーは糖質制限をしていない人が食べても美味しい料理。

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毎日来ても飽きないように、ランチは日替り。1食の糖質が4.5g以下!日替りメインの「然 サラダランチ」(950円)。

「糖質制限を行おうとすると、中食ならコンビニの低糖質パンとサラダチキン、外食する場合、定食屋さんでご飯抜きや、トンカツの衣を剥がして食べるなど、食べられるものがかなり制限されます。うちの社長も、食べるものにはかなり苦労したそうです。糖質制限している人のためのお店がないのを実感して、このお店をオープンしました」とシェフ兼店長の新田将司氏。

 糖質が高いものは一切置かず、甘味がある野菜や料理の軸となる根菜も使わない。野菜は、ウリ科、葉物野菜、きのこ類が中心。代替食材には人工的なものは使わず、すべて天然由来のものを使用。糖質を減らすためには手間を惜しまず、徹底的にカットする。

「肉を柔らかくするのに、玉ねぎでマリネもできません。一般的な調理理論が使えないので、最初は思いきり打ちのめされました。様々な調理法を駆使して、違う観点から旨味を作っていきます」。

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日替りの「然 パスタランチ」(980円)は1食の糖質7.0g以下。パスタの代わりは、おからこんにゃく麺。100gあたりの糖質は0.4g、カロリーはわずか14kcal。写真は人気の「豆乳と生クリームの濃厚カルボナーラ」。ちなみに、一般的なカルボナーラの糖質は約60g。

 糖質制限をしている人にも、ストレスなく普通の生活を送ってもらいたい、そのためのサポートをするというのが同店の原点。

「『低糖質食はこんなものか、ではなく、低糖質食でもこんなに美味しいんだ!』でないと意味がありません。健康や体づくりのためでも、不味かったら続きませんから。糖質制限をしている方とそうでない方が、一緒に楽しめるようなお店を目指しています」と、追求するレベルは高い。

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ビジュアルも楽しめる「お野菜とチーズの盛り合わせ」(1380円)。糖質は約1.0g。少量ずつ盛りつけてあるので、箸を運ぶ回数が増え、咀嚼回数が増える。満腹中枢を刺激。

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ディナーメニューから「お肉料理3種盛り合わせ」(1620円)。肉は糖質が低いので、がっつり食べても糖質は約0.5g。

 実は「低糖質食」には明確なガイドラインがない。低糖質を謳っている店でも、1食の糖質が50g以上の場合もあるという。

「『ロカボキッチン然-zen-』では、一日の糖質摂取量を50g以下になるように考えています。そうすると、1食あたりの糖質量は15~20g。サラダランチは1食の糖質が15gを下回る4.5gです。ランチで糖質を10g分余らせたら、その分、夜にたくさん食べることができます。糖質制限中だけど、夜にお酒の席があるという方に、お店のメニューを見て、これとこれは食べても大丈夫ですとアドバイスしたこともあります」。

 最初は緩やかな糖質制限でも、1週間も続けると、体重が1~3kgくらい落ちる方が多いという。

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糖質制限スイーツも人気。1カット糖質5.4gの「然 ロールケーキ」(580円)。

「甘いものが好きなのに食べられないのは、ものすごいストレスです。そこで『イル・リーブル』(大阪・島本町)のパティシエ船越さんに、うちのためだけのコラボスイーツを作ってもらいました」。

「低糖質食の課題は材料が高いこと。安い砂糖の代わりに天然ステビア、小麦の代わりに食物繊維・難消化性デキストリンを使っているので、原価が数倍違います。きちんとお伝えしないと、『1切れ580円?高っ』となってしまいます。低糖質食を実践している方は理解していますが、一般の方は原価が高いことまで知りませんから」。

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3種類あるコースから「然コース」(5000円)。前菜、スープ、パスタ、メイン、デザート、コーヒーの全6品で糖質は約13g。

 客層は30代以上の経営者や、界隈のOLから、わざわざ遠方から来られる方まで、健康に気遣う方が多い。リピート率が高く、毎日のように来られる方も多いので、常連同士で仲良くなることもしばしば。糖質制限はしていないが、野菜が色々食べられるという理由で通うお客様もいる。夜は客単価3000円台。

「堀江はパーソナルジムが多く、トレーナーの方がよく来られます。『ここの料理は食べてもOK』と、会員さんにも紹介していただいているようです。同業のトレーナーさん同士仲が良くて、堀江をロカボの街として盛り上げようと話しています」。

 糖尿病の方など、日常的に血糖値を計測し、計算しながら食事を選ぶ方も多い。そのような方のためにも、すべてのメニューに「日本食品標準成分表(七訂)」に基づいた糖質の量を記載している。

「先日、ロールケーキを購入されたお客様が『血糖値が20くらい上がると思ったのに、5しか上がらなかった!』と喜んでおられました」

 糖質制限食では、種類を選べばお酒を飲んでも問題なし。ビールやワイン、日本酒など糖質の高い醸造酒はNGだが、ウイスキーや焼酎などの蒸留酒はOK。蒸留酒を中心に、糖質ゼロの自家製オリジナルカクテルやビール系飲料を用意。

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糖質ゼロの自家製カクテル「スピルリナブルー」(580円)と「リンゴサワー」(480円)。

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10坪の店内にカウンター10席、テーブル6席の16席。お客様は聞きたいことがたくさんあるので、カウンターに座る方が多い。詳しいお客様から逆に教わることもある。

「今後の展開のために、意欲がある若手の料理人を近々採用する予定です。大型店はお客様との接点がなくなるので、きちんと説明できる距離感のお店です」。

 ベルトがゆるくなった、体重が減ったというお客様の笑顔での報告が毎日のようにある。

「カロリー制限をすると、必要な栄養も採れず、代謝が落ちてリバウンドしやすくなります。そうではなく、きちんと食べて痩せられるのが低糖質食です。続けてこそ効果があるので、弊店をうまく利用することで、挫折することなく続けていただきたいですね」

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四つ橋筋沿い、地下鉄四ツ橋駅から徒歩1分、心斎橋駅からも徒歩3分。

 「低糖質食専門レストランは先駆者がいないので、真似もできません。料理人として毎日が勉強で、チャレンジの日々です。楽しみにしてくださるお客様がいて、喜んでいる姿を見ると、もっと頑張ろうと、本当にやり甲斐があります」。

 健康志向が高まる中、近年、注目を集めつつある低糖質食。低炭水化物食やローカーボ食とも言われ、元々は食事療法として開発されたが、ダイエット目的や体づくりに採り入れる人も増えている。健康志向が高まる中、「ロカボキッチン然-zen-」をきっかけに、低糖質食に興味を持つ人がより増えそうだ。


■低糖質食専門店 ロカボキッチン然-zen-
住所:大阪府大阪市西区北堀江1-6-4 欧州館2F
TEL.080-2518-9678
営業時間 11:00~14:00(LO.) 18:00~23:00(LO.)
定休日:日曜・祝日
http://locabo-kitchen.jp/

取材・執筆 : 西尾明彦 2016年12月12日

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