看板がない、もしくはあっても気づきにくい店、会員制、紹介制、予約制の店、住宅街の中に紛れている、あるいは人里離れた僻地にある店など、顧客にとって行きにくい、見つけにくい条件にもかかわらず、繁盛している店が増えている。そうした隠れ家繁盛店は、わざわざ行きにくい高い障壁をつくることによって、顧客の行ってみたい心理を煽り、集客効果を上げている。看板が大きく、誰でも入りやすくて、交通至便な場所こそが、飲食店にとってベストな立地とされるのに反しながらも、がっちりと良客をつかむ店の極意を、実例と共に紹介していきたい。(5回シリーズ)
「桂浜」店内。
新業態開発数177、現業態管理数74、出店店舗数368、現管理店舗数272を誇るダイヤモンドダイニングは、業態開発にどこよりもこだわってきた外食企業と言えるだろう。そして新しい店舗ができるとメディアの力を最大限に使って、最速、最短のブレイクを狙ってきた。そのダイヤモンドダイニングが、これまでの出店のやり方と反するような完全紹介制の店を近年、出店している。焼鳥「焼鳥 しの田 麻布十番」、土佐料理「土佐料理 桂浜 麻布十番」がそれ。狙いはどこにあるのだろうか。