"日本一のぞうすい"を提供する老舗雑炊専門店「お通 六本木店」(東京・六本木/ぞうすい専門店)

 ぞうすい専門店「お通 六本木店」(ムサシコーポレーション 代表:福原優一氏)が、12月15日(火)、六本木三丁目の外苑東通りから一本入った裏路地にオープンした。昭和36年1961年に宮崎に創業した老舗の味を受け継ぎ、"日本一のぞうすい"の美味しさを発信していく。

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雑炊の魅力を発進する専門店「お通」の新店舗が六本木にオープン。入口の暖簾には、宮崎・本店の正面にあるお宮の鳥居が描かれている。

 「お通」は、昭和36年1961年に宮崎で創業した老舗の雑炊専門店である。福原氏がまだ21歳だった頃、アルバイト先だった焼き鳥店で食べていたまかないの雑炊が大好物で、店主におすすめされて訪れた雑炊専門店が「お通」だった。

 その後、福原氏は常連客になり、次第に「お通」の雑炊に惚れ込みそこで働くこととなる。今では、宮崎・本店、鹿児島・天文館店、福岡・中州店、新宿・歌舞伎町店と規模を広げ、2015年12月15日(火)に旗艦店となる新店「お通 六本木店」をオープンした。

 同店で特筆すべきは、なんといっても出汁のこだわりである。「お通」で提供する雑炊は、鹿児島県枕崎産鰹節、的場水産にて最高級枯本節を使用した完全オリジナルブレンド。椎茸は、国産にこだわり大分産椎茸を使用。昆布には、北海道の道南(どうなん)産を使用しており、濁りの無い澄んだダシが食べた瞬間に身体に染み渡るような優しい味わいの雑炊を生み出している。

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定番の「にら雑炊」(税抜960円)

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クリームベース出汁を合わせた「クリームめんたい雑炊」(税抜き1580円)

 3店舗を地元の九州地方で成功させた福原氏だったが、「雑炊の美味しさをもっと多くの人に知って欲しい」という強い思いがあり、単身で上京し東京進出を決めた。今回、六本木に出店したのも、国籍を超えて様々な人が昼夜問わず行き交っているエリアで、大勢のお客様に雑炊を知ってもらえる場所と見込んだことが大きく影響している。

 しかし、東京に進出するに当たって、これまで日本橋と西麻布に出店してきたが思うようにいかず撤退を余儀なくされてきた。そこで、これまで宮崎・本店や福岡、鹿児島のような歓楽街で成功してきた経験を活かして、2013年4月に、東京の歌舞伎町エリアに出店を果たし繁盛店へと成長してきた。

 順風満帆に見える歌舞伎町店だが出店して気づかされることも多かったという。「歌舞伎町店は、純粋に雑炊を食べて欲しいという想いが強かったので、客単価1,000円前後で、ドリンクの売上構成比は5%もありません。特に利益のことは考えずに、雑炊を食べて満足して帰ってもらえばいいと考えていました」。

 「ただ、歌舞伎町店は、雑炊は食べてもらえるのですが、あまりこだわりを理解してもらえず苦労もしました。例えば、これまで雑炊の上には三つ葉や柚子を添えていたのですが、食べるのを嫌がって除けてしまうお客様が大勢いました。結局は、三つ葉は水菜に変えて、柚子は使わないことになりました。私がこれまで先代から受け継いできた味には、一品ずつ使用する食材に意味があり、改良を加えながら大切に守ってきました」。

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「お通 六本木店」は、全100席80坪と広く、カウンター席・ボックス席・半個室・トイレ完備の完全個室まで用意されていて、スケルトンの状態から内装を造り直し、改装費は9000万円強にも及ぶ。それは、居抜きで全8テーブルの歌舞伎町店とはあまりにも異なる。

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完全個室も用意。裏口やトイレも完備され有名人なども利用することができる。

 客層が違えば利用する時間帯も異なる。そうなれば利用する目的もおのずと変わってくる。幅広い客層やニーズをキャッチすることができる歓楽街、六本木こそが雑炊の美味しさをもっと多くの人に知ってもらえる場所というわけだ。ここでは、客層や客単価、時間帯も様々で、多種多様の方がこの店を訪れる事を想定されている。もちろん、三つ葉や柚子を使った伝統の雑炊の美味しさを感じてもらうことができる。

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定番の「にら雑炊」(税抜960円)。ほんのり香る柚子が食欲を誘う。

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「ちぢみ法連草のお浸し」(税抜450円)

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自慢のお出汁を使った「出汁巻玉子」(税抜800円)

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六本木店は、お浸し、煮物やおでん、自慢の出汁で食す日本一の宮崎牛と豚のしゃぶしゃぶ。天然の出汁が効いた柔らかい味わいの一品料理はお酒との相性も良く、一次会の食事利用や大人数の宴会などといった利用シーンが広がりそうだ。

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雑炊の楽しみ方も、お客様の利用目的によって変化する。もちろん、食事のシメとしていただくのも、雑炊だけを食べにやって来るお客様がいても良い。そのために、さまざまな様式の席が用意されているのだ。

 福原氏が、そこまでして伝えていきたい雑炊の魅力とは何だろう。

 福原氏は「一番は、私自身、雑炊が好きだからです。仕事と関係なく、よく家でも雑炊を食べています。やはり食べたらホッとするじゃないですか」と、にこやかに語る。

 その後、少し表情を変えて「以前から、お米というメジャーな食材でありながら、雑炊が日常食になっていない事が不思議でした。韓国にはクッパ、中国にはお粥があり、なぜ日本にはなにも無いのでしょうか。私が雑炊の美味しさを多くの人に伝えていければと考えています」と述べた。まだ多くは語らないが、ニューヨーク進出が福原氏の最終目標だ。しかし、さまざまな困難を糧にして念願だった六本木店をオープンさせた福原氏の話を聞いていると、いつかニューヨークの夢も現実にさせるかもしれない。

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右端の福原優一氏はじめ、スタッフ一同。

 「雑炊の美味しさをもっと多くの人に知ってもらいたい」という思いを乗せた集大成ともいえる店舗が六本木にオープンした。"日本一の雑炊"に掛ける福原氏の情熱が、その一杯に凝縮されている。注目すべき一店である。

■ぞうすいの店 お通 六本木店
住所:東京都港区六本木3-15-24 Belle六本木ビル 1F
TEL:03-6455-5245

取材・執筆 : 酒井慎平 2016年2月5日

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