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お店を知る

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2015年12月17日(木)12:52

ビアビストロの雄が手がける客単2700円以下の団塊Jrの天国!「大衆酒場 BEETLE」。(東京・蒲田/大衆酒場)

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取材・執筆 : 中山秀明 2015年12月17日

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 「クラフト麦酒ビストロ CRAFTSMAN」や「WINE & Craft Beer Bistro ミヤマス」などを展開するプロダクトオブタイムグループ(東京・品川区 代表:干 倫義氏)。ビストロ業態を手掛ける一方で、大衆酒場の業態として「お値段以上の大衆酒場 大鶴見食堂」やFCで「串カツ田中」なども運営しているが、11月16日に「大衆酒場BEETLE」を蒲田にオープンした。"ネオ大衆酒場"と呼ばれるジャンルが活況を呈する中で、次代を担う外食事業主として注目を集める同社はどのような店づくりをしているのか。その手腕に迫っていこう。

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城南エリア屈指のディープな街・蒲田は羽根付き餃子のメッカとしても有名。町工場や工業地帯で働く労働者が住むエリアとして発展した歴史があり、彼らが安く飲むための店も点在する。ただ、古くから営業する古典的な大衆酒場はそこまで多くなく、老舗といえば同店近くの「鳥万 本店」が代表的だ。

 そもそも同社が大衆酒場の業態をはじめるに至るには、かつてFCとして鶴見で10年間運営していた鉄板ダイニング「かぜん(運営元:株式会社イーケーシー)」の存在がある。FC契約の解消後に、オリジナル業態のオープンを意思決定。洋食の業態か大衆酒場の業態、どちらでいくかを考えた際に、鶴見では高コスパの大衆酒場がより繁盛していることをリサーチする。そうして2013年新たに誕生したのが「お値段以上の大衆酒場 大鶴見食堂」だ。

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「大衆酒場 BEETLE」の店内。短冊のメニューや野球中継の流れるTVなど、いわゆる大衆酒場的な要素はありつつも、クッションの設えられたイスとテーブルに適度な席間隔など、親切な設計は居心地がよく一見でも入りやすい。

 「大衆酒場BEETLE」のコンセプトは「大鶴見食堂」と同じ。メニューも基本的には踏襲されており、雰囲気も大きく変わりはしない。とはいえ店名に共通の関連性がないのは、関連性を出すことよりもその地域で愛される店にしたかったからだ。「自分の好きな場所がどこにでもある店ではなく、この街にだけにあるお店だとお客様には感じていただきたいという想いがあり、店名は全く別のものにしました」と常務取締役・胡桃澤 忍は語る。いわば「BEETLE」は、"団塊ジュニア"と呼ばれる世代向けの憩いの場。団塊ジュニア世代が子ども時代に熱くなったもののひとつがカブトムシ=BEETLEであり、カブトムシは蜜を求めて樹木に集まる。その習性を、大衆酒場に訪れる姿と掛け合わせたものが店名となった。

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大衆酒場らしい"コの字カウンター"も用意。だが清潔感あふれるデザインと明るい雰囲気があり、"カウンターは常連さんの指定席"的な緊張感は皆無だ。

 同社がつくりたかったのは、そんな団塊ジュニア世代が気持ちよく過ごせる場所。客単価は税込2700円以下を必須条件とし、さらに清潔感あふれる内装や誠実な接客も大切にしている。「土日には子連れで気兼ねなく過ごしていただきたいですね」と胡桃澤氏は利用シーンを想像するが、聞けば現在同社がFC展開している「串カツ田中」からも、メニュー構成などは違えど雰囲気づくりやサービス面ではインスピレーションを受ける部分があるという。

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外にテラス席の離れが用意されているのも、古典酒場とは一線を画す店づくりだ。なお全席数は約60で、その中にはカウンター、テーブル席、そして中規模の宴会ができる8名席の半個室などが含まれている。

 料理は基本的に店内仕込みでしっかりと作られる。この理由にはおいしさの追求とともに「お子様にも安心して食べていただきたいから(胡桃澤氏)」との事。これだけ力を入れているが、メニュー数は料理だけで110~120とかなり多い。そして当然リーズナブルだ。一部を紹介しよう。

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酒場に欠かせないものといえば煮込み。同店の場合は豚のガツやシロのほか牛スジも入っていてコク深く、味は3種類あってどれも350円。白(右)が白味噌、赤(上)はさらにコチュジャンなどをプラス。黒(左)は八丁味噌をベースに、カレー味に仕上げたものだ。

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「串焼き5種盛り」(670円)。手前からてっぽう串、カシラ串、もも串、ぼんじり串、ねぎ串だ。単品の場合串は90円~。また、おでんも10種類、130円から用意されている。

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定番の「オニオンスライス」(270円)にパクチーを乗せた「オニオンスライスパクチーあり」(360円)。現代的なメニューがあるのも魅力だ。

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「カレー蕎麦(小)」(290円)。つゆは煮込みの黒に近いが別物。山椒と黒七味が入っていて、キレのあるおいしさに仕上がっている。

 メニューの中には「レバーペースト」(340円)や「特製ソーセージ」(480円)なども。クラフトマンのレシピが一部に活かされているのは同社の強みといえよう。その影響はドリンクにもあり、たとえば瓶ビールは5種類が用意(各570円/すべて大瓶)され、「クラフトビール日替わり」(500円/ハーフパイント)も。もちろん「ホッピー」(370円/白・黒セット)や「金宮シャリキンなか」(250円/90ml)といった王道のアルコール類も脇を固めており、きわめて間口が広くバラエティ豊かなラインナップとなっている。

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日本酒は「清酒 一合」が380円で、二合が650円。さらに地酒は「白瀑 ど辛 純米」や「紀土 純米」など多彩な21がそろっていて一合440円均一。さらに日替わりの地酒は470円~で、この日は「山本純米吟醸」(670円)など3種が用意されていた。また「フローズン日本酒」(470円)や「しじみスープ」(無料/写真左の保温器)もあってエンターテインメント性が高い。

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ケースの中には大瓶ビールがズラリ。ロングセラーを誇るものが中心だ。

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割り材兼ソフトドリンクも種類は豊富。中には「東京飲料」による唐辛子やジンジャーの効いた炭酸水「ハイ辛(金魚)」(170円)など、珍しいものもある。

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「金魚サワー」(340円)。徳利に入った甲類焼酎を「ハイ辛(金魚)」で割る。グラスの中には唐辛子が入っていて、それが金魚のように見えるという遊び心満点の逸品だ。

 今後の大衆酒場業態に関する展望を聞いた。「大衆酒場は、地域に根付けばお客様に長く愛していただける業態だと思っています。また、洋食業態に比べると出店コストが抑えられるので多店舗展開しやすく、同時に独立へのハードルも高くないので有望な人材がチャレンジしやすいというメリットも。鶴見、蒲田とたまたま京浜東北線沿いへの出店となりましたが、当社がある五反田はもちろん、山手線エリアなどへの出店も考えていますし、2年以内に20店舗の出店を計画しています。若手の応援という側面も含め、積極的に展開していきたいですね」(胡桃澤氏)

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太田高市店長(中央)とスタッフ。オリジナルのTシャツをそろえ、チームワークは抜群だ。

 ビストロ業態の展開にも意欲的で、2016年3月には「クラフトマン」ブランドを吉祥寺と横浜に出店予定。さらに2017年には札幌でも計画をしている。また将来的にはよりカジュアルでありながらくつろげる、家でも会社でもない"サードプレイス"をつくっていきたいとも語る。多彩な業態を生み出し成長させながら着実に拡大し続ける同社。来年の「クラフトマン」ブランドの躍進はもちろんのこと、目が離せない企業である。

■大衆酒場 BEETLE(ビートル)
住所:東京都大田区西蒲田7-4-3
TEL. 03-6428-7375
営業時間:平日16:00~翌1:00/土日祝14:00~翌1:00
定休日:なし

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