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お店を知る

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2016年10月26日(水)16:47

シーズナルでテーマとなる県を変えて地方食材とゲストを料理でつなぐ「tetote」(東京・銀座/アンテナ・レストラン)

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取材・執筆 : 中山秀明 2016年10月26日

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「株式会社キャンディーBOX」が10月3日(月)に開業させた三田の「大安吉日」で店舗運営を担う細谷幸司氏は、もうひとつの顔として「株式会社テトテ(東京都渋谷区)」の代表を務めているが、同社が10月5日(水)にまったく新しい発想のレストラン「tetote」をオープンした。

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場所は銀座駅、銀座一丁目駅ともに徒歩3分ほどの「銀座ベルビア館」8階。店内は赤と黒を基調とした大人の空間だ。

 コンセプトは"地方食材と消費者との「手と手」をつなぐ架け橋として、日本の食文化の豊かさを感じながら食事を愉しめる"というもの。果たしてその意図や背景はいかに。メニューや内外観といった店舗紹介とともに、その狙いを明らかにしていこう。

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店の向かいは、国内イタリアンの鬼才として知られるカリスマ・小林幸司オーナーシェフの「リストランテ エッフェ」。

 最大の特徴は、シーズンごとにテーマとなる県や地域が変わるアンテナ・レストランであること。食材に酒、さらには調味料などもテーマとなる土地のものを用い、作法に至るまでその魅力を存分に味わえるメニューを提供する。料理ジャンルは和食をベースとし、随所にイタリアンやフレンチの技法を使った創作スタイルだ。

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ランチ、ディナーともにコースが中心となり、夜は乾杯酒とお重の前菜からスタート。

 シーズンというのは概ね3~4カ月程度の周期で、第1弾は山梨県がテーマ。これは同店のシェフの地元が山梨であることが大きな理由だが、細谷氏はすでにこの先の構想も考えており、より積極的に地方に目を向けていきたいと言う。

「発想の原点は、長く飲食に携わる中で生産者さんとの出会いや絆がたくさん生まれたことです。全国各地には、僕が新たな視点で紹介したい食材や酒がたくさんあって、今回の山梨はその中の一例ですね。夏に沖縄にスポットを当てるのも面白いでしょうし、僕の故郷・香川もいつかやりたいです。また、そう遠くない未来に支配人の地元・北海道も計画中。あとは『大安吉日』で協力してくれている鹿児島の若手蔵元の焼酎とともに、鹿児島のよさを当店スタイルでアピールしたいとも考えています」(細谷氏)

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カウンターは6席。オープンキッチンの躍動感がダイレクトに伝わる。

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そのほかはテーブル席となり、全36席。奥には4名用の個室がある。

 山梨の大地は、豊かな森と清らかな水が大きな特徴。恵まれた自然から生まれた甲州ワインビーフ、甲斐サーモン、甲州地鶏など、山梨食材をふんだんに使った料理が提供される一方、ソムリエが厳選した「シャトー・メルシャン」や「旭洋酒」(グラス1000円~、ボトル5000円~)といった甲州ワインを提供するなど、テロワールに合わせたマリアージュも楽しめる。

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勝沼をはじめ、山梨の名産であるワインを筆頭に、日本酒なら純米吟醸酒「春鶯囀(しゅんのうてん)」、クラフトビールなら富士桜高原麦酒など魅力的な銘柄が並ぶ。なお通年で取り扱う酒類はキリンがベースで、ビールは「ハートランド」(700円)がスタンダードだ。

 コースはランチがメインを選ぶプリフィックススタイルで3種(平日:昼御膳1500円、昼会席2500円、土日祝:昼会席2800円)。ディナーは「山梨を味わう特選食材のコース」(5000円~)が主軸となる。とはいえアラカルトの注文もでき、多彩なシーンで楽しむことができる。代表的な一皿を紹介していこう。

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「甲州ワインビーフ100%のハンバーグ ラクレットチーズをかけて」(1800円)。提供直前にコクのあるチーズをかけてくれ、肉質の柔らかいハンバーグと、とろりと溶けたアツアツのチーズが相まっておいしい。
 
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「ほうとうのカルボナーラ風 トリュフを散らして」(1800円)。かぼちゃを練り込んだほうとうに卵、チーズ、クリームなどを合わせ、さらに黒トリュフがリッチな香りを演出する。

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土産として有名な信玄餅をイメージした「信玄餅風アイス」(700円)。濃厚なミルクのアイスクリームを求肥で包んでからきなこをふりかけ、さらに黒蜜をかけて味わう。

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「甲州ワインビーフのステーキ 本わさびを添えて」(2800円)。旨味あふれる芳醇な味をダイレクトに楽しめるよう、シンプルに本わさびと香味塩を添えて提供。本わさびの辛味成分が、甘味のある脂と繊細な肉の味を一層引き立てる。

 水や気候、土壌、生産者などの土地を熟知した上で、その料理がテーブルに届くまでのストーリーもプレゼンテーションしてくれるのも魅力。味や香りだけでなく、想いや熱までを届けられるのが生産者と直接深いつながりを持つ細谷氏ならではの手腕だ。

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支配人を務める藤原友行氏。「いつか私の地元・北海道の知られざる魅力もお伝えできたら」と意欲を語る。

「各生産者は仕事上でのパートナーですが、中には友人としての関係になるほど深い仲の人も。今回の『tetote』のオープンに際しても快く協力していただけて、深く感謝しています。僕としてもより各地に赴いて想いを伝えていき、"tetoteから生まれる輪"を広げていきたいですね」(細谷氏)

 よく、ホテルのレストランなどで地方に特化したフェアが行われるが、それを通年で行うようなイメージかと問うと、細谷氏は「tetote」ならではの信念をさらに語ってくれた。

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細谷幸司代表。

「僕らはそこまで大きな組織ではありませんからより軽いフットワークで展開していけますし、生産者側からしても小ロットの食材でも活用していけます。ある意味垣根を超えた仲間だと思っているので、対等な立場で相互の強みを活かしていきたいですね」(細谷氏)

 交通の便がいい銀座や八重洲界隈にはもともとアンテナショップが多く、国内外の観光客が多く集まる。クールジャパン戦略とともに日本各地の名産も注目されて専門店も多くできているが、「tetote」のように季節ごとに地域を変えて創作スタイルでメニューを供するレストランはほぼないだろう。沸騰する"地方ブーム"に、一石を投じる存在になるのだろうか。今後も注目していきたい

■tetote(テトテ)
住所:東京都中央区銀座2-4-6 銀座ベルビア館8F
TEL. 03-3564-1775
営業時間:ランチ11:30~15:00(L.O.14:00)、ディナー17:00~23:00(L.O.22:00)
定休日:銀座ベルビア館に準ずる
※表記の価格はすべて税別

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