古き良き大衆酒場を現代的にブラッシュアップした「飯と酒 FUJIN食堂」が奈良・新大宮に今年4月に登場。開店するや、綺麗で明るく入りやすい、洗練された大衆感と、値ごろ感のある酒と料理で、女性客を含め多くのファンを集めている。

　同店を運営するのはベッドタウンである奈良県香芝市・五位堂で2003年に創業した株式会社風神（奈良県奈良市 代表取締役：廣渡史朗氏）。

　同地に「カフェ&おちゃづけビアホール風神 香芝五位堂店」と「個室焼肉 小風神 香芝五位堂店」、奈良駅前に「酒旬菜 お茶漬け 風神 近鉄奈良駅前店」と「焼鶏とお鍋 奈良町雷門」、大和西大寺駅前に「cucina+oven piano」、大和八木駅前に「GOSSIP&SPICE」と、すべて奈良県で立地に合わせた多業態・7店舗を展開する。

　「場所が大事ですね。周りに住んでいる人や働く人を見て、立地に合わせてお店をつくっていきます」と、株式会社風神 取締役営業本部長の鎌倉和生氏。

　近鉄奈良線新大宮駅前は、昼は市役所やオフィス街であり、夜の早い奈良では数少ない歓楽街でもある。その街の特徴に合わせて新たに作り上げたのが、現代的な大衆酒場。

シンプルながら目立つファサード。手書き黒板やメニューを張り出した店舗が多い中、逆に気になる存在となっている。

20坪40席は、同社の店舗では最小。短冊メニューやポスターなども必要以上にはベタベタ貼らないことで、きちんと世界観を守る。

　料理は、居酒屋料理を中心に、小盛りで気軽に注文しやすい価格帯。

地元奈良の大和ポーク、大和野菜でタネから作り、手巻きする「自家製ギョーザ」（300円）。タレの酢、醤油も奈良県の醸造元と、オール奈良産。

分厚くカットしたボリュームある「ハムカツ」（480円）。

名物料理、牛すじを赤みそで煮込んだ「新大宮シチュー」（500円）。バケット付き。このシチューをベースに、22時以降は「牛すじライスカレー」（650円／ハーフ350円）が登場する。

　料理3～4品に3杯ほど飲んで、客単価2500円。客層は30～40代を中心にサラリーマンやOLがメイン。平均滞在時間2時間は、居心地の良さゆえか。

　「飲み会前の0次会から代行タクシー待ちまで、いろんな方にご利用いただいています。毎回1500円くらいで、週3～4回来られる方もいらっしゃいますね」と店長の穴井慶太氏。

　場の雰囲気をお客様とともにつくるのも酒場の魅力。

　

　「スタッフは不器用ながらみんな熱意を持って一生懸命。客層が良いので、お店の雰囲気も良いものになってきています」。

カウンター席は低めに設え、厨房がちょうど見渡せる高さに。左が店長の穴井慶太氏、右が料理主任の和田享久氏。

　奈良の飲食店は個人店か全国チェーン店が多く、同社のような新進の外食企業は数少ない。奈良県は県外就業率が高い上に、家賃も比較的高い、街の特徴を知らないと外からの参入がしにくいエリアという。

　「目指しているのは日常生活にとけこむこと。街のインフラ、役に立つ存在でありがたいですね」。

　街に必要とされる場として、飲食店を出店していく同社。早ければ年内にもう1店舗出店予定があるという。奈良の飲食シーンを、まだまだ面白くしてくれそうだ。

住所：奈良県奈良市東向中町5-1

電話：0742-81-8155

■飯と酒 FUJIN食堂  

住所：奈良県奈良市大宮町6丁目9−4

電話：0742-34-3233

営業時間：17:00～翌2:00（土日は16:00～）

定休日：無休