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お店を知る

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2015年12月11日(金)15:53

10周年を迎え、新料理長が着任し本場シンガポールの味に磨きがかかる「新東記(シントンキー)」(東京・恵比寿/シンガポール料理)

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取材・執筆 : 桐田政隆 2015年12月11日

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 女性シンガポール人オーナーのパトリシア・チアさんがオープンした、恵比寿のシンガポール料理店「新東記」。日本ではシンガポール政府観光局が「本場の味を提供するシンガポール料理店」として認定した第1号店であり、外食激戦区の恵比寿で10年に渡って支持を得てきた人気店だ。そしてそんな10年目の節目に、「道玄坂バル克ッ」などを展開する151-A-RC株式会社(代表取締役 高橋 賢氏)に完全業務委託をすることが決定し、新生新東記としてスタートを切った。

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恵比寿駅から山手線沿いに歩いて徒歩3分の「エビス新東記」。

 以前から業務委託などの方向性を語っていたパトリシア・チアさん。今回話を聞くと、今後は151-A-RC 主導のもと、FC化を視野に入れた店舗展開を行っていくそうだ。来年の3~4月には大手町に「新東記 大手町」がオープンすることも決定している。ただチアさんによると、「皆さんに勘違いしてほしくないのは、FC化によって味が変わるのではないかということ。私は元々、日本にはタイやベトナムといった東南アジア料理は浸透してきたのに、本格的なシンガポール料理がまったくなかったことに寂しさを覚え、そこで本場の味を伝えたいと新東記をはじめました。また当時からシンガポールの味を伝えるために、一切妥協せずブレずにやってきた。今後もっと日本の多くの方に本場の味を知ってもらいたいですし、なおかつこれまで通りの味を提供し続けることを条件に業務委託を決めたのです」。

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新東記の創業者、パトリシア・チアさん(左)と新料理長の中里 卓さん(右)。

 すると先日、恵比寿店には新たに151-A-RCの中里氏が新料理長として就任。中里氏は数々の有名ホテルで中華シェフのキャリアを積み上げ、前職はグランド ハイアット 東京「チャイナルーム」の料理長を務めた中華の凄腕である。ちなみにシンガポールは中国をルーツにもつ国民が多く、シンガポール料理も中華由来のものが多い。そして今後は新東記 大手町のオープンまで恵比寿店で腕をふるい、大手町店のオープン後は新東記の総料理長も務める。またチアさんは中里氏らとシンガポールに赴くなど、本場の味を一切妥協せずに厳しく教えたという。「当然中里さんもすごいキャリアの持ち主ですから、お互いに強い主張もありました。ただそれだけやったので、私も自信を持って提供できる味になったと思います。そして恵比寿店では早速、中里さんならではのエッセンスを加えた新メニューも登場します」

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新料理長の中里氏が考案した、新メニューの一つとなる「前菜の盛り合わせ」(内容により1200円、1600円)。

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左上から時計回りに、「バタープロウン」、「オタ・オタ」、「チキンレンダン」、「イカンビリス」の4種の盛り合わせ。いずれの料理は単品でオーダーすることも可能。

 例えばこちらの「前菜の盛り合わせ」。これは中華の手法を取り入れたものだそうだ。チアさんによると、「日本の方はいろいろな料理を少しずつ食べるのが好きでしょう? ただうちもそうでしたが、アジア料理って一品一品の量が多くて、2、3種類食べるとお腹いっぱいになっちゃう。ただこれはシンガポール料理の人気メニューであるバタープロウンやチキンレンダンといったメインから、オタ・オタ、イカンビリスといったおつまみまで、いろいろ楽しめるようになっています。またこれは日替わりやお客様の好きなものを選べるようにするので、シンガポール料理店としても画期的だと思います。中華らしい美しい盛り付けもこれまでになかったものですし、オペレーション的にも中里さんだからこなせることなんです」

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スタイリッシュな盛り付けにリニューアルした「海南鶏飯」(1260円)。こちらはディナーで楽しめる。旨味がつまったジューシーな若鶏肉、香り高いジャスミンライスの味わいは変わらない。

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チキンの盛り付けはシンガポール国旗をモチーフにしたもの。チキンは三日月、3種のタレと生姜は星をイメージ。

 さらに驚きは日本でもお馴染みとなってきている海南鶏飯(ハイナンチキンライス)。新東記でも以前からの人気メニューだが、中里氏がリニューアル。上の写真がそれなのだが、これほどスタイリッシュなチキンライスはこれまでになかっただろう。女性受けのよさも間違いなそうだ。中里氏によれば「ベースは伝統的なチキンライスですし、味もそう。ただ野菜をチキンに絡めてフレッシュで華やかな印象を演出し、お馴染みの3種のタレを色鮮やかに盛り付けてみました。ちなみにシンガポールの国旗をモチーフにしていて、チキンが三日月、タレを星に見立てています。パクチーを絡めたグリーンのタレは、味わい的にも新しいアクセントになると思います」。

 そしてチアさんが続ける。「いずれも味はこれまで通りですが、こうした視覚的な魅力も加わることで、シンガポール料理に対する間口も広がると思うんです。大手町店は接待でも使えるような洗練された空間になる予定ですし、私達もシンガポール料理の新たな一面を見れた気がして、こうしたメニューが増えていくことはとてもいいことだと思う。これも卓越した調理技術を持つ中里さんの腕があってできるものですね」。

 「間口を広げたい」という言葉があったが、近年日本でのチキンライスなどアジア料理の人気ぶりは目覚ましい。日本におけるシンガポール料理のパイオニアというべきチアさんには、この状況はどう映るのだろう? 「まずとても喜ばしいことですね。あとは食材が手に入りやすくなったのも、お店が増えている要因だと思います。またアジア料理が浸透するにつれて、どういう食材を使っているのかがわかってきたのも大きいですね。私は以前シンガポールに帰国して、船便やトランクに目いっぱい詰めて、地元の食材を毎回100~200kgくらい持ち込んでましたから。最近では逆に私が中里さんから『この食材は日本でも手に入るよ』と教えてもらって、へ~、そうだったんだと思うこともあります」。

 そして最後に、本格的なシンガポール料理が全くない状況から10年続けられてきた秘訣を聞いてみた。「う~ん、やっぱりブレずにやってきたことかな。食材から調理法まで、とにかく本場の味を伝えることだけは妥協しませんでした。お客様と話したり様子を見てて一番手応えがあるのは、食べて『そう、これこれ!』って喜んでいるとき。アジア料理のお店に訪れる日本の皆さんは、おそらく旅行先などでおいしいものを食べて、その味を期待してお店に訪れる人が多いと思うんです。日本人の口に合わせた料理店もあるけど、私は『そう、この味!』と、思い出せる方が感動は大きいと思う。うちの常連様に言われることも多いですしね。そして今後もこのブレない本場の味をベースに、中里さんによるホテルクラスの調理のクオリティと151-A-R・高橋社長の優れたオペレーション能力も加わって、より魅力的な新東記になってくれると思います」。ちなみに新東記の店名は、新嘉坡と新と東京の東に由来するものなんだとか。「シンガポールは今年で建国50周年、新東記も東京で10周年を迎えられて、とてもいい節目になりそうです」

■新東記 (シントンキー)
TEL:03-3713-2255
住所:東京都渋谷区恵比寿南1-18-12 竜王ビルⅡ2F

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