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お店を知る

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2015年8月26日(水)15:47

20種のシャルキュトリーを軸に、料理オーダー比率が高いワンランク上の店づくり。「WINE & Craft Beer Bistro ミヤマス」。(東京・新橋/クラフトビアビストロ)

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取材・執筆 : 中山秀明 2015年8月26日

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 クラフトビールの「CRAFTSMAN」ブランドを五反田と仙台に、また、ワインとベルギービールの「Hemel」ブランドを渋谷に2店舗展開。そのほか大衆酒場やFC店舗も運営するプロダクトオブタイムグループ(東京・品川区 代表:干 倫義氏)による新店舗「WINE & Craft Beer Bistro ミヤマス」が、7月16日にオープンした。場所は新橋で、同社としては初の出店エリアである。昨今のフードトレンドのひとつがクラフトビールであり、専門店のオープンも百花繚乱といえるが、同社のビア業態はほかに埋もれることなく人気を集めている。ヒットメーカーのビジョンを、新店紹介とともに伝えていこう。

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人気シャルキュトリーのひとつ「自家製ハムの盛り合わせ」(1058円)。クラフトビールはLargeで85
0円(税別)だ。

 まず出店エリアだが、新橋に的を絞っていたわけではない。日ごろより場所を探すなかで見つけた良好な物件が、たまたま新橋だった。ここに決めた理由はいくつかあるが、大きなポイントとして"街の特異性"が挙げられる。新橋という街自体は飲食店のメッカであり、ビア業態も少なくない。だが、ビストロ的な欧風料理をワイン&クラフトビールと一緒に、ゆったりとした空間で味わえる店となると希少である。同社が大切にする"料理のおいしさ、豊富さ"を前面に出した店づくりが、新たなニーズとして受け入れられるというのがひとつの狙いであったといえよう。

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渋谷の店舗を彷彿とさせる、木の素材を多用した温もりあふれる店内。1階はオープンキッチンを囲むカウンターが中心のゾーニングで、24席だ。

 店の構成は2階建ての一軒家で、計55席。元々は会員制の小料理屋だったが、老朽化のためかなりのリノベーションを加えて改築した。しかも今回は、この物件の持ち主がオーナーという形で、プロダクトオブタイムグループはプロデュースと運営を担う。このオーナーは、冒頭で述べた渋谷の店舗「WINE & Belgian Beer Hemel ミヤマス」と「BISTRO & BELGIAN BEER In De Bourgondische Hemel」のファンであり、数年前からのご贔屓様でもあった。店名をはじめ、料理や内装などに「ミヤマス」のエッセンスが流れているのは、そんなつながりも関係している。

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山小屋の別荘をイメージした2階は31席。1、2階ともにカウンターとテーブル席があるが雰囲気は異なり、2階はよりリラックス感が漂う。

 それはまさにビストロ。レストランよりもカジュアルなダイニングながら、腰をおろしてゆったりできる空間だ。席同士の間隔や、柔らかみのあるインテリアなどからもくつろぎの雰囲気を感じられるが、その想いはメニュー構成にも反映されている。ドリンクの主軸は確かにワインとビールだが、"バー"というほどの専門性は、良い意味で感じられない。ワインは世界中から約80種、クラフトビールは国内外から8タップと厳選したラインナップで、フードペアリングを意識した料理との相乗効果が楽しめる。価格に関しても、ワインはグラスなら600円~、ボトルなら3000円前後~。ビールはSmallが550円(税別)、Largeが850円(税別)と均一価格で、手ごろに味わえる。ただその一方で、1~3万円のハイクラスなボトルワインを用意してアッパー層やハレの日使いに応じるなど、種類の幅広さもポイントだ。

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ビストロの定番「パテドカンパーニュ」は734円。白ワインのほか、赤ワインとの相性も抜群である。

 そして料理は「ミヤマス」の代名詞ともいえる、本場フランス仕込みの自家製シャルキュトリーがスペシャリテ。ソーセージやハムをはじめ、テリーヌ、パテ、リエット、ベーコンなど、肉屋も驚きの20種以上が用意されている。さらに、メインディッシュとなるグリルや旬の魚料理に野菜料理、さらにベルギーの国民的フードである「フリッツ(フレンチフライ)」やデザートまで豊富そろっており、まさに料理を中心とした食空間が展開されているのだ。

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必ず頼みたい一品といえば、名物の「シャルキュトリー盛り合わせ」(1922円)だ。ワインとビール、どちらにもマッチするおいしさで、ペアリングも楽しい。

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魚介も必食だ。これは「本日のカルパッチョ ~季節のタルタル添え~」で1058円。

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手間暇かけた自家製シャルキュトリーを、絶妙な火加減で調理した「自家製燻製ベーコンのグリル」(896円)。味はもちろん、厚切りのカットで食感も申し分ない。

 シャルキュトリーを自家製で仕込むのは、想像以上の負担がかかる。たとえば保管スペースひとつにしても、熟成させる冷蔵庫が必要になるため、スペースを圧迫されることに。さらに仕込みの時間に長いもので3週間かかる料理があり、効率も決して良くはない。メニュー数も多いため、営業中はキッチンに最少でも3人の料理人のスタンバイが不可欠、などさまざまな問題はあるが、それだけ料理が重視されているということだ。事実、一般的なビア業態の料理・アルコール比率は2対8もしくは3対7程度であるが、同店はほぼ5対5。店側の想いは、ゲストに如実に伝わっている。

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「産直野菜と季節野菜のバーニャカウダ」(1674円)。みずみずしい野菜がふんだんに盛り込まれる、色鮮やかな逸品だ。

 もちろん、ドリンクのラインナップに関しても一切の抜かりはない。先述のワインはすべてソムリエが厳選したもので、80という種類はすべてのニーズに応えるための最低限の数。一方のクラフトビールは国産とベルギー、アメリカを中心に樽替わりで用意し、ミヤマスブランドとしては欠かせないベルギー産の大瓶セゾンビールなど、ボトルビールも約20種が用意されている。同社の常務取締役・胡桃澤 忍氏によれば、ベルギービールにはほかの国にはない独特の芳香があり、特にセゾンビールは食事との相性が最高だとか。

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シェフの柴崎利也氏。厨房を仕切りつつ、膨大なシャルキュトリーの仕込みや一皿の仕上げも担う。

 最後に、気になる同社の今後の展開を胡桃澤氏に聞いてみた。すると、今回の新店のような、Hemelが軸とするシャルキュトリーやビストロ料理に重きを置きつつも、同じコピーではなくコンセプトを変えた店舗を展開していきたいと語ってくれた。特に注力すべきは新業態へのチャレンジ。たとえば自家製ソーセージを使ったホットドッグとクラフトビールの店、または「CRAFTSMAN SENDAI」で人気のピッツァをメインにしたクラフトピッツァ×クラフトビール、はたまたベーカリーを併設したクラフトビアビストロなど、アイデアは尽きない。

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胡桃澤常務。現場を回ったり、物件探しや交渉、視察に赴いたりと多忙な日々を過ごす。

 また、同社唯一の居酒屋業態に「お値段以上の大衆酒場 大鶴見食堂」があるが、同様のネオ大衆酒場を10月に蒲田でオープンする予定もある。大衆酒場は洋食業態に比べて独立へのハードルが高くないという側面も含め、有望な人材がチャレンジできる場をつくっていきたいと、意欲を語ってくれた。「串カツ田中」や「牛角」をFC契約で展開しているだけに、他社の良い部分を柔軟に吸収して自社媒体に生かせるのもプロダクトオブタイムグループの強みだ。次なるヒット店舗のオープンに注目しながら、今後の躍進を見守っていきたい。

■WINE & Craft Beer Bistro ミヤマス
住所:東京都港区新橋3-15-1
TEL. 03-5777-2730
http://bistro-miyamasu.jp/
営業時間:17:00~翌1:00
定休日:日曜、祝日

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