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お店を知る

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2015年7月27日(月)14:49

グッドスパイラルが仕掛ける渋谷の新店「紫扇」は、料理と雰囲気、CPまで大人が満足できる希少な一軒。(東京・渋谷/居酒屋・和食)

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取材・執筆 : 桐田政隆 2015年7月27日

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 渋谷を中心に「漁十八番」や「コックマン」などの人気店を、6店舗を展開する株式会社グッドスパイラル(代表取締役 熊谷光裕氏)が6月11日、渋谷・宇田川町に新店舗の「紫扇(しせん)」をオープン。業態は割烹を思わせる和食の居酒屋業態。場所はライブハウスの屋根裏で知られた、渋谷パルコパート3裏の国際ビルの最上階だ。ただ目立った看板を掲出するわけでもなく、まさに知る人ぞ知る隠れ家のような雰囲気が魅力で、大人が渋谷で使いやすい、希少な一軒になりそうだ。今回は㈱グッドスパイラル代表の熊谷氏に話を伺った。

ph1エントランス.png
エレベーターを降りると早速、鈴の壁を使った、シックで豪華な和のエントランスがお出迎え。

 「弊社がこれまで展開していた業態は客単価が3000~3500円ほど。ただこれまで高単価のお店で経験を積んだスタッフが大勢います。そこで以前から1.5~2等立地で、客単価6000円ほどのお店を作りたいと考えていました。理由は客単価3000~3500円の業態では2、3回転の客回転が必要で、スタッフの仕事もハード。2、30代ならこなせますが、4、50代になるときつくなってきます。そこで従業員が10年後、20年後も安心して働けるよう、落ち着いた職場環境の高価格帯のお店を作りたいと考えていました。そしてこれまでの客単価を倍に設定し、チャレンジしてみたのが今回の『紫扇』です」。

「紫扇」を出店した場所は若者の多いパルコ裏の通りだが、ターゲットはそれなりの年収で、普段から飲食店などにアンテナを張っている大人に定めた。「調べてみると近隣のお店では結構単価をとっているお店も多かったんです。また周辺はいま裏渋谷ともいわれていて、案外NHKの職員の方など、上客の方も多く見込める場所で、飲食店も増えているんですよね」。

ph2内観.png
店内も黒を基調とし、やや暗めの照明で、まさに大人の社交場といった雰囲気。

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和食処を思わせる清潔感のあるカウンター席も用意。職人の仕事を眺めながら食事を楽しむことができる。

ph4テラス席.png
開放感のあるテラス席も12席を用意。間接照明によるムーディな雰囲気も魅力。

ph5個室.png
最大10名まで利用できる個室も用意している。

 そして「紫扇」のオープンに際しては、広告、プレスリリースなどの露出も一切行わず、看板さえも掲出していない。「雑多なお店の多い渋谷のど真ん中でいながら、エレベーターを上がって降りると、周辺とは全く異なる落ち着いた和のエントランスが待っている。そしてお店に入ると、和食店なのに開放感のあるテラス席が目に飛び込んできて、奥にはシックな大人の社交場といった雰囲気が広がっている。この内外装の、一連の意外性はかなり狙いました」。まさに熊谷氏の言葉通りで、多くのお客様はお店に入ると、「まさかこの場所に、こんな空間が」という驚きに満ち溢れるはずだ。

ph6刺し盛り.png
「刺身盛り合わせ 5種」(1700円) 以下料理の価格は全て税込。

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「毛ガニのカニ味噌和え」(1200円)

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「北海ホタテとフォアグラのソテー ウニソース」(1250円)

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「黒毛和牛サーロイン(A4、A5クラス)炙り握り」(2貫600円)

 そしてメニュー開発は職人と相談しつつ、熊谷氏が以前からベンチマークしていた同じような業態、単価、お店の人気メニューを参考にしながら決めたという。「自分が食べたいものではなく、お客様が食べたいものしかありません。正直、全部ハズレのないメニューになっていると思いますよ」。例えば「生メークインのシャキシャキサラダ」(500円)、「超濃厚フォアグラ茶わん蒸し~トリュフの香り~」(900円)など、割烹を思わせる和食の数々が名を連ね、かつ魚介、肉を問わず誰しもの好物といえるようなメニューラインナップとなっている。しかも毛ガニ、ウニ、いくら、フォラグラ、黒毛和牛といった高級食材を贅沢に使いながら、ほとんどが1000円前後という非常にリーズナブルな価格設定なのだ。だが舌の肥えた客層をターゲットにしていることもあり、「やはり原価率は他の業態よりも高く設定しました」、と話す。

 いま勢力を増しているカジュアル割烹のマーケットを意識しているのかを聞くと、「いや、全然狙っていなかった」と、話す熊谷氏。「以前から40~60代のスタッフが安心して働ける職場環境の、高単価の業態をやりたいと思ってきました。そして内外装から食器類、QSCAとオペレーションに至るまで、とにかく他の和食業態とは差別化できるクオリティーを追求してきたのですが、その結果としてアッパー居酒屋と割烹日本料理の中間的な位置に落ち着いたのかなと思います」。

 またオープンから約一カ月経過したが、「最初の1、2週間のお客様は、一日、一、二組程度でした。そりゃ当然です。看板はないし、全く露出を行ってませんし、僕自身すら、関係者の方にも話していないくらいですから。それが2週目は5、6組に増え、3週目は平均20人ほどになりました。ただ僕がスタッフに確認しているのは、客足や売上ではなく、とにかくお客様の満足度です」。お世辞ではなく、『また絶対に来たい』、『他の人を連れて来たい』と仰っていたお客様が、どれだけいるのかを細かくチェックしているという。

 そして熊谷氏。「ここまでいい調子できていますが、オープンが完成形じゃない。まだまだこれから精度を高めていきますし、いろいろな部分で慣れてきたら日替わりメニューなども充実させて、さらに常連様の満足度を高めていきたいと思います。また今後も客単価6000円の業態を増やしていきたいですね」、と語る熊谷氏。「紫扇」をモデルとした今後の展望も明るく、確実な手応えを感じているようであった。


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