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お店を知る

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2015年3月03日(火)14:17

日本吟醸酒協会の協力でそろう多彩な銘酒を板前の和食とともに高コスパで提供。「Sake Fun ぞっこん。」 (東京・渋谷/日本酒バル)

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取材・執筆 : 中山秀明 2015年3月3日

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 「恋文酒場かっぱ」や「くし家串猿」など、渋谷を中心に現在21店舗を展開する株式会社エヌイーエス(東京都渋谷区 代表取締役 山口義成氏)。フードリンクニュースでは2012年、系列店の本格和食ダイニング「KOiBUMi」をオープンの際に紹介したが、今回新たなコンセプトの日本酒バル「Sake Fun ぞっこん。」が1月31日に誕生した。ここは「KOiBUMi」のテーマのひとつにある"渋谷の若い人たちに本物の和食を気軽に食べてほしい"という想いの根底は共通であるが、より日本酒にスポットを当て、さらにカジュアルかつ開放感のある空間で"和食とSakeのマリアージュ"を楽しんでほしいというのが「Sake Fun ぞっこん。」なのだ。

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中2階のテーブル席からメインダイニングを撮影。とある旧家の欄間(らんま)を移築して店内の一部に用いるなど、スタイリッシュでありながら和の趣きを感じさせるとともに、「伝統文化を伝える」ことにも一役買っている。

 店の場所は宇田川町の一角で、東急ハンズの坂を下りた先に広がる大きな駐車場の奥。駅から至近でない分落ち着いた雰囲気があり、高級住宅地の松濤や富ヶ谷が近いのもあってハイレベルな飲食店も点在するエリアだ。そして「KOiBUMi」や「くし家串猿 渋谷店」など系列店も近い。店内のキャパは約50人で、席は調理場前のカウンターと日本酒のディスプレイを楽しめるバーカウンター、そしてテーブル席がある。天井が高く開放感もあり、その高さを活かして窓際のシートは中2階を設けた2フロア制に。そこからはまた違った眺めを楽しめるのも面白い。

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「KOiBUMi」がハレの日などで利用するリストランテだとしたら、「ぞっこん。」は日常的なバール。ひとりでも楽しめるし、にぎやかな宴会にも最適だ。また土日祝は14:00からオープンしているので、観光客や映画、買い物などで渋谷を訪れるファミリーにもおすすめ。

 店をプロデュースしているのは「KOiBUMi」と同様で、「ぞっこん。」の店長も務める久保木秀直氏。俳優という肩書もあり、夢を持つ若いクリエイターが集う渋谷に特別な想い入れを持つ。「恋文酒場かっぱ」や「KOiBUMi」など、渋谷で4つのブランドを手掛けてきたが、その中で得た"本気の情熱、本物のクオリティは伝わる"という確信や、"職人が作る和食と日本酒は世界に誇る価値がある"という想いを、賛同する仲間とともに発信して盛り上げ、未来の渋谷をつくっていきたいと語る。

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有名な「田酒」に、最近注目を集めている「王祿」や「貴」など実に幅広い。銘柄によってはワイングラスで飲ませてくれるものもある。

 一番の特徴はやはり酒だろう。日本吟醸酒協会の協力により、加盟する47蔵のさまざまな酒を毎週6~8種入れ替わりで楽しむことができ、ラインナップも常時45~50種と豊富にそろう。そして蔵元も頻繁に来店(2月の4週目は16、17、19、20日に計5蔵が来店)するので、店や客も一体となってコミュニケーションを築けるのも醍醐味。オープン初日の鏡開きには「真澄」の会長が参加するなど、ほかにはない魅力がたくさん詰まっている。なぜこのようなことが実現できたのか。それは、ブログ『いいね!日本酒。』を主宰するなどで活躍するライター・伝農浩子氏をエグゼクティブプロデューサーに迎えるとともに、そこから日本吟醸酒協会へとつながったことがきっかけだ。

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2月中旬の吟醸酒フェアはこの通り。量はグラスで65mlと90ml、片口で1合、2合が用意されている。

 豊富なラインナップはもちろん、面白い企画も随時開催している。たとえば税別500円で3種を楽しめる飲み比べセットを提供したり、酒と合うつまみのマッチングをメニューで記して提案したり。3月からしばらくは、次世代を担う蔵元が一堂に会する試飲会「若手の夜明け」とコラボレーションし、各蔵元の酒に適したつまみのマッチアップを提案するイベントを行っていく。とにかく日本酒好きにはたまらない店なのである。

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日本酒専用の冷蔵ディスプレイを眺められるバーカウンター。店には利き酒師のほか日本酒に詳しいスタッフがいるので、任せてみるのもおすすめだ。

 とはいえ対象は玄人だけではなく、より開かれた"これからもっと日本酒を好きになる"ユーザーもだ。日本酒は米の磨き方や醸し方などでさまざまに分類され、さらに仕込み方や搾り方などで特別な名称が付いたりするストーリー性の深い酒である。確かにそれも醍醐味のひとつではあるが、飲む人にとっては"うまいかどうか"が重要であり、そのため「純米酒しか置かない」などのこだわりは持たない。もちろん熱燗もあるし、お客様の声を取り入れようとする柔軟性も持ち併せている。

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日本酒メニューのリストには「フルーティなタイプ」、「香り穏やかなタイプ」、「コクのあるタイプ」、「熟成タイプ」、「発泡タイプ」といった表記で分かりやすく独自にカテゴライズされており、ビギナーでも選びやすいのがうれしい。

 もちろんつまみのクオリティも高い。料理長には「KOiBUMi」の里吉雄一郎総料理長の兄弟子にあたる菊池隆晃氏を迎え、上品さと大胆さを兼ね備えた一皿を提供できる体制を整えた。定番も充実していながら、全国から旬の食材を仕入れ、繊細な技と豊かな発想力で生み出す日替わりのおすすめメニューが豊富にそろっているのもうれしい。しかもその料亭レベルの味が、手ごろな価格で堪能できるのだ。

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定番メニューのひとつ「ぞっこん! カニ入り茶碗蒸し~生姜あんかけ~」(896円)。ボリュームもたっぷりで食べ応えは抜群。

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珍しい海苔酢で味わう「〆鯖」には三浦の高級ブランド・松輪鯖を使用。日替わりメニューで950円だ。宮城「日高見」の超辛口純米酒は90mlで518円。

 ライターに料理人、蔵人など、すべては人との出会いがあったからこその「ぞっこん。」だと久保木氏は語る。出会った料理人が里吉総料理長や菊池料理長だったから和食なのであり、ジャンルにこだわりはなかった。そして、昨今の日本酒ブームは確かに追い風ではあるが、流行に乗じてオープンさせたわけでもない。むしろ、いつか必ず訪れるであろうブームの終焉時にも、真の日本酒ファンが息づいているようなシーンをつくっていきたいのである。世界に広がりつつある和食と日本酒人気についてもまたしかり。海外進出して宣揚する方法もあるが、外国人が本場を求めて来日した時に「やはり現地の味は別格」と感動してもらいたいというのが願いだ。

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この日の煮物は銚子産の上物による「トロ鰯(イワシ)の煮付」(756円)。山口の銘酒「貴」は特別純米の90mlで594円。

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「選べる珍味 3種類」は1382円。この日の3種は「赤なまこ塩辛」(単品626円)と「ホヤの塩辛」(単品734円)、「いかの墨造り」(単品626円)だった。青森「田酒」は山廃純米酒で90mlが648円。

 あえてお金をかけた宣伝は積極的にしないというのも方針のひとつ。今はFacebookを中心にイベントの告知などを行っており、それでも口コミなどで着々とファンが増えているとか。SNSを使う理由にも、相互にコミュニケーション取れるメディアだからであろう。きっかけはインターネットであれ、「人」同士のつながりを生み出せることに変わりはない。

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左が久保木氏で、右が菊池氏。株式会社エヌイーエスはこのエリアで100業態、100店舗を目指す企業であり、「ぞっこん。」も、夢の通過点ではある。とはいえ、2020年の東京オリンピックの会場となるオリンピックスタジアムや国立代々木競技場から近いこの渋谷は駅前の開発も急ピッチで進められており、国際化がいっそう進む事は間違いない。明るい未来を感じさせてくれるエリアというのもあって、まさに「次に流行るお店」なのだ。目白押しの各企画やそれを取り巻く周囲の環境など、今後の展開にも注目していきたい。

■Sake Fun ぞっこん。
住所:東京都渋谷区宇田川町42-9 DI UDAGAWA
TEL. 03-3476-1050
 

 ■Facebook
https://www.facebook.com/sakefunzokkon

■営業時間
月~金17:00~24:00(L.O.23:00)
土、日、祝14:00~24:00(L.O.23:00)


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