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フードリンクレポート

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2016年2月24日(水)15:05

数寄屋橋交差点に「東急プラザ銀座」オープン。テーマは伝統と革新の共存。モダンギリシャ料理レストランも!

東京オリンピックに向け新商業施設が続々オープン

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取材・執筆 : 長浜淳之介 2016年2月22日執筆

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 2015年後半から16年前半にかけて、東京を中心に新しい商業施設のオープン、レストラン街のリニューアルが相次いでいる。商業施設事業者は、2020年の東京オリンピックに向けて変化を遂げようとしている東京を、日本をどのように表現しようとしているのか。まとめてみた。(6回シリーズ)

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「東急プラザ銀座」が3月31日オープン。建築デザインは江戸末期に始まった伝統のガラス工芸「江戸切子」をモチーフにしている。

 3月31日、銀座に新しい商業施設「東急プラザ銀座」がオープンする。場所は、銀座5丁目の数寄屋橋交差点南側で、「銀座阪急モザイク」(旧「数寄屋橋阪急」)跡地。東急不動産としては、銀座エリアでは初の大型開発で、当初昨年秋に開業する予定であったが、半年ほど延びた。

 敷地面積約3767㎡、延床面積約4万9700㎡で、銀座エリア最大級。高さは最高で66m。地下5階~地上11階まであり、そのうち地下2階より上が商業施設、地下の深部は駐車場となる。地下2階で、東京メトロ銀座駅に直結している。

 設計・監理は日建設計、施工は清水建設、商環境デザインはインフィックス。外観デザインは「光の器」という建築コンセプトのもと、伝統工芸「江戸切子」をモチーフとしている。これは多様な文化や人・モノ・コトを受け入れながら、新しい情報や文化を発信する「器」となって、伝統と革新が共存する銀座エリアの魅力を受け継ぐという、本プロジェクトの想いを表現した。施設のコンセプトは「Creative Japan ~世界は、ここから、おもしろくなる。~」。

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西銀座通り(外堀通り)に面した一帯に一大ショッピングストリートが誕生する。

 西銀座通り(外堀通り)に面した一帯は、複数のグローバルラインの路面旗艦店が出店し、「銀座エリアに一大ショッピングストリートを誕生させる」と、東急不動産では意気込んでいる。

 施設のターゲットは、年齢にかかわらず自分のライフスタイルと本質を見極める目を持ち、生活を楽しむ余裕のある「大人」をイメージしている。店舗数は125店。

 昨今の銀座を象徴する社会現象に訪日中国人の爆買いがあるが、この爆買い需要を狙った市中空港型免税店が8階と9階の2層を占めるのが話題になっており、韓国・ロッテグループのソウル・明洞に本店がある「ロッテ免税店」が出店する。「ロッテ免税店」は昨秋に関空に日本1号店を出店したのに引き続き、日本では2店目、東京初出店となる。

 銀座中央通りには、今や中国資本となっている大繁盛「ラオックス」の免税店に負けじと、今年1月27日に三越銀座店が8階に初の空港型市中免税店をオープンしている。銀座では日本、中国、韓国の流通が、爆買い中国人の顧客を奪い合うという、中国経済の減速が心配される中での、すさまじくバブリーな商戦が展開される構図になり、それが果して銀座の伝統と革新の保持につながるのか、懸念がないわけではない。

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屋上の「キリコテラス」グリーンサイド。

 パブリックスペースの充実も特徴で、6階の「キリコラウンジ」では、約27mの吹き抜けにカフェ「数寄屋橋茶房」を併設。渋谷「Bunkamura」と連携した文化、情報を発信する拠点にもなる。

 屋上の「グリーンサイド」、「ウォーターサイド」と2つのゾーンから成る「キリコテラス」からは、銀座の景色が一望できる。「グリーンサイド」にはシンボルツリーのしだれ桜が植樹され、カフェ「櫻ノ茶屋」も併設される。

 隣接する「数寄屋橋公園」の再整備にも取り組んでいるが、都市中心部でのパブリックスペース整備には、「東急プラザ表参道原宿」での経験が生きている模様。

 全般にファッション、つまり衣料や雑貨が中心の施設であるが、東急グループもテナントを入れるだけでなく業態開発に注力して気合が入っている。
約600坪の東急百貨店の新セレクトストア「HINKA RINKA」及び、「カルチャーをつなぎ、カルチャーを育む」をコンセプトとした東急ハンズの新業態「ハンズエキスポ」をカフェ併設で展開といった具合だ。

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6階のパブリックスペース「キリコラウンジ」。

 さて、レストランは10階と11階の「GINMACHI DINING」と呼ばれるゾーンに20店が集約されている。

 最上階11階の10店のうちでも、施設のテーマである伝統と革新を象徴する店舗は、日本初上陸のオーストラリア・シドニーの人気モダンギリシャレストラン「THE APOLLO(ジ・アポロ)」。ヨーロッパ文明発祥の地で、ユネスコ世界無形文化遺産にイタリア料理・スペイン料理・モロッコ料理などと共に「地中海料理」として登録されているギリシャの料理を、ギリシャ系のオーストラリア人のオーナーが、現代風にアレンジしている。ギリシャ、シドニー、東京、いずれもオリンピックに縁があって、2020年の東京オリンピックに向けて景気づけになるか。

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日本初上陸のモダンギリシャ料理、オーストラリア・シドニーで人気「ジ・アポロ」のメニュー。

 経営はトランジットジェネラルオフィスとKURKKUが設立したアポロジャパン。トランジットはシドニーから「ビルズ」を日本に持ってきて、大成功を収めている。

 内装はシンプルでムーディーな雰囲気の中に、象徴的なロングカウンターがあるという、本店のスタイルを踏襲。料理は、ギリシャヨーグルトをベースにしたソースを付けて食べるラムの炭火焼、フェタチーズというギリシャのチーズやオリーブ油を使ったグリークサラダなど、日本人の多くが未体験のヘルシーな食のニュースタイルを紹介する。

 シドニーの「ジ・アポロ」はハイウッドセレブも訪れる人気店で、ワインに合う料理でもあるという。席数は約160席の予定。

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ハリウッドセレブも訪れるシドニー「ジ・アポロ」外観。

 また、放送作家・小山薫堂氏が経営する京都の老舗料亭「下鴨茶寮」が飲食店としては初の支店を2店同時オープン。「のまえ」/「下鴨茶寮 東のはなれ」は和バルと割烹の複合新業態である。これまでは総菜、弁当店を百貨店で展開してきた。

 11階は和食の店が多く、あとは「魚河岸 次郎松」、「酒と魚 はなたれ」、「うなぎ徳」、「串カツとワイン 揚八」、「鳥と手打ち蕎麦 とり数寄」、「大坂鉄板焼 銀座 鉄十」、「尾崎牛焼肉 銀座ひむか」と並ぶ。残りの1店は中華の「御膳房ガーデン」で、「ジ・アポロ」以外は全般に訪日中国人観光客をターゲットとした、インバウンド向けの店を揃えた感が強い。

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「下鴨茶寮」は初の支店を、和バルと割烹で出店。

 10階は銀座の煉瓦街をイメージしたオープンテラスを中心に大人の社交場を演出。

 入居する10店は「ガイ・アンド・ジョーズ ハワイアンスタイルカフェ」、「回転寿司 根室花まる」、「銀座虎杖」、「四川担担麺1841」、「シンディーテラス」、「仙臺 牛たん 撰 利久」、「つるとんたん UDON NOODRE Brasserie」、「ベアバーガー」、「モッタ・ポルテーニョ」、「ラ・ボデガ」というラインナップ。

 このうち、ハワイアンの「ガイ・アンド・ジョーズ ハワイアンスタイルカフェ」と、タイのシンハービールが手掛けるビアレストラン「シンディーテラス」は日本初出店。

 南米・アルゼンチンの首都ブエノスアイレスのグルメをモダンにアレンジした、「モッタ・ポルテーニョ」は、「グランフロント大阪」で好評を博し、東京に進出してきた。ブエノスアイレスはイタリアからの移民も多く、パスタやミラノ風カツレツを「グランフロント大阪」の店では提供してきた。また、和牛ステーキ、タパス、マグロを使ったニース風サラダなどもあって、南米料理というよりおしゃれな洋食の店と考えた方がいいような店だ。

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「回転寿司 根室花まる」は丸の内「KITTE」で好評の店。

 また、和食「銀座虎杖」、ラーメン・中華「四川担担麺1841」、牛たん「仙臺 牛たん 撰 利久」、うどん「つるとんたん UDON NOODRE Brasserie」は新業態とのこと。「つるとんたん」のうどんブラッスリーとは、耳慣れない業態だが、おしゃれな雰囲気でお酒も飲ませたいということなのだろう。

 「回転寿司 根室花まる」は北海道から進出し丸の内「KITTE」で好評を博している。スペインバル「ラ・ボデガ」は、「渋谷ヒカリエ」などでも人気の店である。「ベアバーガー」はオーガニックミートや季節の新鮮で安心な食材にこだわった、ニューヨークの人気ハンバーガーショップで、日本では昨年7月にオープンした自由が丘の1号店に続く2号店となる。

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OLのお一人様に人気、新宿ルミネ1「デキシーデリ」のワンプレートランチ。銀座でも同様なものが食べられるようになる。

 そのほか、各階にカフェが散りばめられているが、ジョエル・ロブション、ピエール・エルメなどの名店でシェフパティシエとして働いてきた銀座のフレンチレストラン「エスキス」の成田一成氏が、カフェの新業態「ラ・ヌーヴェル・ブティック・エスキス」を4階に出す。

 また、地下1階の「タリーズコーヒープライムコーヒー」は、タリーズによる初のバール業態で、席数も100席以上と都内最大。コーヒー、スイーツだけではなく、ワイン、ビール、お酒に合った軽食も提供する。

 銀座駅に直結する地下2階はデパ地下のような食物販ゾーン。近隣で働く人のランチ需要にこたえるのも目的としており、ほぼ全店にイートインが完備されている。特にOLが一人でも食事ができる環境を考えたとのこと。

 地下2階の13店は、レストラン街にも出店している「根室花まる」がこちらは立ち寿司で出店、ニューヨークの老舗ベーカリー「ザ・シティ・ベーカリー」、デリカテッセン「デキシーデリ」、ラーメンではぜいたくな「ふぐだし潮 八代目けいすけ」、京都の人気でき立てアイスクリーム「ハンデルスベーゲン」が東京初出店、「キャビアハウス&プルニエ サンドイッチハウス」日本初出店など、なかなか多士済々である。

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銀座中央通りでは松坂屋跡地一帯が再開発中。オープンは17年1月以降となる。

 銀座では中央通り、銀座松坂屋跡にJ.フロントリテイリングなど4社により、これまたエリア最大級の再開発が行われており、250~300店のハイセンスの店が集積する予定。開業時期は今年11月の予定だったが、工事が遅れており来年1月以降にずれ込むという。

 東京オリンピックに向け、銀座エリアが活気づいているが、訪日中国人観光客の爆買いの動向次第では不安な面も抱えており、元々の銀座の顧客である日本人の上客、欧米など中国以外からの観光客とのバランスをどう取っていくか。商業施設運営者の舵取りが問われる。




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