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フードリンクレポート

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2015年1月26日(月)17:55

ビアパブの歴史を活かし、世代にマッチした新しい業態作り。

2015年、居酒屋復活!第5回

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取材・執筆 : 大竹忍 2015年1月26日

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 2014年を振り返ると、居酒屋業態は、売上高前年比(2013年10月~翌年10月)95.38%(日本フードサービス協会:引用)と市場規模は縮小し不振が目立つ年となった。メディアでは、居酒屋不振を大きく取り上げ構造不況に陥っていると報じている。外食は、ブラックのレッテルを貼られ、著しいイメージ低下と売上の減少と共に、人材難による人手不足にも苦しんでいる。しかし、居酒屋はいつの時代も無くなることはなく、これからも形を変えながら存在し続ける。2014年が居酒屋にとって苦難の年ならば、翌2015年は復活の1年となるはずだ。実際にチェーン居酒屋に行くと、血の滲むような努力や工夫がいくつも見られる。居酒屋はまだ終わっていない、むしろこれからである。今回は、居酒屋/ビアパブ業態を展開する企業に取材を行い復活の予兆を紹介して行きたい。


2015年、居酒屋復活!第3回

2015年、居酒屋復活!第4回

ビヤケラー東京新橋店スタッフ (2).png
サッポロライオンの2015年の動向を紹介。

 今回は、110年以上の歴史を持ち、「銀座ライオン」、「ヱビスバー」など首都圏を中心に全国へ約190店舗を展開する株式会社サッポロライオンに取材を行った。同社は、日本で最も古くからビヤホール を運営してきた企業 であり、2015年の戦略も注目されている。西村礼佳氏(経営戦略部 担当リーダー)に昨年の振り返りと、2015年の動向を伺った。

 まずは、2014年を振り返ってもらった。

 「昨年は、天候不順や消費税増税など不安要素が多くありましたが、既存店舗の動向を見ると月により変動はありますが、大きな来客数の減少もなく、売上も前年並みで推移しました。当社としては、商品の品質やサービスレベルの向上などブランド力の強化と、既存店舗の活性化、また新たな顧客層獲得に向けた新業態開発と店舗展開に注力してきました。」

ビヤケラー東京新橋店.jpg
ビヤケラー東京新橋店

 では、2015年に繋がる昨年の取組みはどのようなものだったのか。

 「2014年の店舗展開に関しては、新規出店や既存店舗の業態変更により、『銀座ライオン』や『ヱビスバー』をはじめとした業態や顧客層拡大を目指した新業態の展開を進めました。例えば、『銀座ライオン』は中高年層に支持いただいているビヤホール業態ですが、『銀座ライオン』の次世代顧客になり得る20~30代をターゲットにしたビヤホールの新業態『ビヤケラー東京」を9月にオープンしました。『ビヤケラー東京』は、内装をウッド基調の小洒落た感じにし、料理もお客様の目の前で仕上げるものを提供するなど、スタッフとお客様がふれあえ、気軽に利用できる雰囲気を目指しています。これにより、若い世代にもビヤホールの楽しさを感じていただきたいと考えています。今後はこの『ビヤケラー東京』も店舗展開の柱のひとつにしていくつもりです。」

 「いろいろな地域でオクトーバーフェストが開催されていますが、そこでは若者の姿がたくさん見られます。そうした若者たちが楽しめる店舗として『ビヤケラー東京』に期待をしています。」

 40~60代の中高年層は、落ち着いた雰囲気の「銀座ライオン」、20代~30代は小洒落た内装とスタッフのコミュニケーションが売りの「ビヤケラー東京」や「ヱビスバー」を展開し、各世代で住み分けされたビアパブの魅力を提供していくようである。

 サッポロライオンの集客への取組みはなにか。

 「全社的に、部長や店長たちが店舗の近隣企業を訪問し、地道な宴会受注の営業活動を実施したり、店内では"もう一品おすすめする"運動をしています。大きなメニュー変更は毎年4月と10月の2回行っていますが、その他にも季節に応じた料理フェアなどを実施しています。また、新たにオープンした『銀座ライオン』や『ビヤケラー東京』には"ディアンドル"というユニフォームを採用し、お客様、スタッフ共々、好評を得ています。」

クラブLION CARDデザイン.png
昨年12月より導入された「クラブLION CARD」。

 「他にも、12月より"クラブ LION CARD"を新たに導入しました。利用代金に応じてポイントが加算され、一定額ポイントを貯めると割引サービス券が発行されるという単純なものですが、気軽さと入会のしやすさもあって、順調に会員数が増えています。単純な仕組みなのでスタッフも説明をしやすく、今後のさらなる集客に繋げていけると考えています。」

ビヤケラー東京新橋店スタッフ (1).jpg
ビヤケラー東京では、ディアンドルを着た女性スタッフが接客を行う。

 ディアンドルとは、ドイツ南部の女性の民族衣装で、オクトーバーフェストなどの伝統的な会場で見ることができ、日本のビールフェスでも馴染みの衣装となっている。

 ディアンドルのようなユニフォームは、お客様だけでなくスタッフも魅力に感じるはずだ。特に若いアルバイトスタッフを雇う際に、働く環境や雰囲気はとても重要なポイントである。そういった意味でも、居酒屋/ビアパブだけでなく業界全体で抱える人材難という問題にも効果がありそうだ。

 西村氏は次のように述べる。「確かに人材難は感じ、スタッフが定着するよういろいろな取組みをしています。ディアンドルというユニフォームはお客様だけでなく、スタッフにも好評で、"あのコスチュームを着てみたい"という理由で若い女性が面接に来るケースが増えています。また、以前からパート・アルバイトの紹介制度を取り入れていることもあり、その制度を利用し新しいスタッフを紹介してくれるスタッフもいます。」

 「他にも、店内のスタッフ同士の懇親の場が欲しいという要望があったこともあり、2014年から参加人数に応じた補助金を出し、その補助金を使って店内のスタッフ同士で懇親会を開催する取組みをしています。また社員に関しては、月に1回『月曜会』という社長と社員の懇親の場を設けています。開催の都度、全国から店長やスタッフを5~6人選出し、この会に自ら参加する社長と社員が、働いている中で感じていることや疑問点などを話す場として、そして普段会うことが少ない店長やスタッフが集うことで横の繋がりが出来るようにしています。」

 もう一つ、外食業界の共通した大きな問題としてインバウンドの集客が上げられる。その点、同社は如何に取り組んでいくのだろうか。

 「インバウンドに関しての取組みはまだまだですが、外国人客が非常に増えている店舗が一部あります。また首都圏だけでなく北海道や関西、福岡の街にも外国人観光客が多くなっていると店舗から聞いています。北海道のニセコのスキー場にもかなりの外国人客が来ているようなので、そちらについては、2015年1月1日から当社の子会社となった株式会社ニュー三幸と協力しながら対応していきます。メニューの表記はもちろん、英語をはじめ、中国語を話すことが出来るスタッフを採用するなど、早期に対応していかなければならないと感じています。」

 2015年、これからの動きについても伺った。

(小型)銀座ライオン中野北口店.png
小型化した銀座ライオンFC店を郊外で展開していく。

 「2015年は、引き続きブランド強化による既存店の活性化と、ターミナルを中心とした『銀座ライオン』『ヱビスバー』『ビヤケラー東京』の出店を考えています。また、既存の『銀座ライオン』は80坪から100坪ほどの大型店舗がほとんどですが、数年前から規模を小さくした『銀座ライオン』の出店を進めており、この業態をパッケージ化しFC展開も視野に入れています。店舗を小型化することでFCオーナーが出店しやすくなり、また、FCオーナーが多くなっていけば、現在のターミナル中心の店舗展開が郊外まで広がっていき、地域密着が図れると考えます。」

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