スマートフォン版のフードリンクニュースを見る

RSSフィード

トレンド

フードリンクレポート

2013年5月01日(水)13:30 トレンド

ハイボールブームの火付け役、サントリー「角ハイボール」は高品質を提供する。

記事への評価

  • ★
  • ★
  • ★
  • ★
  • ★
0.0

取材・執筆 : 酒井慎平 2013年5月1日執筆

キーワード :   

 2月に特集した『飲食店で提供されるドリンク品質について考える』について、掲載後に読者様から多くの反響を頂いた。ハイボールの品質にこだわらず目分量で作っていた店舗や、実際に注文したハイボールが美味しくなかったお客様の経験など、些細なオペレーションの手間を省くことで店舗のイメージを下げ、結果としてお客様の入りが少なくなっていく現状が浮き彫りになった。フードとドリンクの品質については、どの店舗も重要視していると思われるが、アルバイトスタッフが多くを占める実際の現場まで意識を徹底することは容易ではない。今では、どのアルコール取扱店でも目にするようになったハイボール。ビールメーカー各社では、このような悩みを解決すべく、様々なハイボールの品質改善に取り組んでいる。今回はその中でも、ハイボールブームの火付け役となったサントリー酒類株式会社の奈良匠氏(スピリッツ事業部 ウイスキー部)に、角ハイボールの品質向上に向けた対策を伺った。

ハイボールレモンシズル俯瞰.png

 角ハイボールの歴史を振り返ると、50代~60代が家で飲むために購入することが多かったわけだが、サントリーでは30代を中心とする若い層にもファンを増やすため、居酒屋や立ち飲み屋、バーなど外食産業でも接点に着目した。「角瓶」で作ったハイボール、「角ハイボール」は、食事との相性が良く、今では飲食店の顔にもなっている。

 今後のハイボール市場を奈良氏はこう見る。「"ブーム"は一時的なもので、現状は以前のようなハイボールブームとは呼べません。ハイボールは広く定着し、ドリンクの一つのカテゴリーとして飲食店に根付き始めています。現在、角ハイボールは全国に約20万店あります。広く浸透したという意味では納得のいく数字ですが、今後は量ではなく質にこだわって行きたいと考えています」と話す。

 「お客様が初めてハイボールを飲む機会で最も多いのが飲食店です。初めて飲むハイボールが美味しくなかったら、今後ハイボールは飲まなくなるかもしれません。ハイボールの第一印象を良くするためにも、飲食店での飲用時品質をしっかりと徹底して、常に美味しいものを提供できるようにしていきたいと考えています。」

 また、品質の悪いハイボールを提供している原因で一番多いのがウイスキーと炭酸水の割合だ。これもスタッフが目分量でウイスキーと炭酸水を入れている店舗に特に多くみられ、極端に濃かったり薄かったりすることで急にドリンクオーダーがストップしてしまうケースがあるという。

樽詰め.png

 そのため同社では、これまでも角ハイボールの品質を維持するために、様々な施策を行ってきた。安定した品質の角ハイボールが提供できるハイボールタディスペンサーの開発や、ビールディスペンサーで注出できる10リットル樽詰、角瓶で提供する店用に、専用ハイボールジョッキに適した30ミリリットルが正確に注げるポアラー(瓶に取り付ける注ぎ口)、店舗スタッフの為の作り方マニュアルなど様々だ。

160ml缶.png

 更に同社では、氷を入れたジョッキに注ぐだけの角ハイボール160ml缶(以降:角ハイ缶)の提案を強化しており、これを使う事によって完璧な品質のハイボールを簡単に作ることができる。そのため、高炭酸でありつつもベストな比率でレモンフレーバーも程よく効いている完璧な品質のハイボールを提供することができる。また、店舗側にとってもオペレーションが単純化されるだけでなく、炭酸水のロスが無くなりとても経済的だ。

 奈良氏によると、品質の悪いハイボールを提供している原因はいろいろと挙げられるが、一番は氷の量だという。美味しいハイボールを提供するためには、指定されたジョッキに大量の氷を入れることが大前提だ。しかし、現状では氷の量はスタッフに任せるしかない。ジョッキに入れる氷の量が少ないと、おのずと炭酸水の割合が多くなり、グラスが冷えず炭酸がすぐに抜けてハイボールが温くなってしまう。氷の量は一見見逃しがちだが最も味を左右するという。

 ハイボールは、今や外食市場に欠かせない1つのドリンクカテゴリーとなった。"ハイボールブーム"は終わり、多くの飲食店で提供されるようになったハイボールだが、次に求められるのは徹底した飲用時品質だ。ビールに次いで2杯目に注文されることが多いハイボールだが、その品質が売上を左右するだけでなくお店の顔としてお客様が見ている事を忘れないでほしい。ハイボールの成長期は終わり成熟期へ突入していくなかで、飲食店での飲用時品質がハイボール市場だけでなく店舗の今後も左右する。

読者の感想

興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0

  • 総合評価
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
  • 0.0

この記事をどう思いますか?(★をクリックして送信ボタンを押してください)

興味深い
役に立つ
送信する
誰かに教えたい
  • 総合評価
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
    • ★
  • 0.0

( 興味深い0.0 | 役に立つ0.0 | 誰かに教えたい0.0

Page Top