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2012年9月06日(木)13:04 トレンド

ランチに大量集客する「甲州ほうとう 小作」。甲府鳥もつ煮が集客に貢献。

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取材・執筆 : 長浜淳之介 2012年9月6日執筆

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 甲州名物として名高い「ほうとう」で唯一チェーン化に成功している「甲州ほうとう 小作」。甲府の駅前と中央自動車道路沿いに10店を展開。一昨年「B-1グランプリ」で優勝した「甲府鳥もつ煮」を導入し、集客に効果が上がっているという。ご当地B級グルメの盛り上がりは、郷土料理の専門店にとりわけ恩恵をもたらしているようだ。

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甲府駅前店。

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甲府北口駅前店。

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本社の入居するビル。甲府北口駅前店の上階にある。
ル。

 「甲州ほうとう 小作」の店舗は山梨県に9店、長野県に1店。その長野県の店も山梨県に近い諏訪市にあり、ほぼ山梨県内で山梨の郷土料理として名高い「ほうとう」を売っている外食企業と見てよい。経営する会社名も株式会社甲州ほうとう小作である。

 年商は17億円ほどあり、1店舗あたり2億円弱となかなかのもの。本社は県都・甲府市内、JR甲府駅北口の近くにある。出店している場所は、甲府、山中湖、河口湖、清里、石和などで、県内の主たる観光地を押さえている。顧客単価はロードサイドの店舗では、1300~1400円。お酒の出る、甲府駅前店と甲府北口駅前店では1700~1800円。麺類をメインにしているわりには高いとも言えるが、外食一般として考えればそれほど高くない。それにもかかわらず、一店舗あたりの売り上げが大きいのは、店舗の規模が大きいから。「小作」の店舗面積は平均して700坪、席数にして250坪もある。

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甲府駅前店の店内。40代以上の常連が主流だが、若い人も来る。

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鳥もつ(甲府鳥もつ煮)と角ハイボール(共に500円)。

 「ランチで一気に集客してしまおうという戦術です。ウチのほうとうは、注文を受けてから野菜と麺を一緒に煮込みますから、出すまでにどうしても10~15分かかってしまいます。お客様もほうとうが熱くてボリュームもあるので、食べるのに30分くらいかかります。回転数が上がらないから、席数を増やさないと売り上げが取れない」と、営業担当の取締役・内藤泉氏は、同社のやり方を語った。

 山梨に観光に来た人は、ほうとうを食べてみたいという人が多い。しかし、実際のところどの店に行っていいかわからない。観光バスのツアーをも受け入れられるキャパがある「小作」は、観光地の近くにあって目に付きやすく、ファミリー、カップルの顧客にとっても安心感があって、自然と集客されてくるというわけだ。

 同社のこだわりは、まずは野菜。これは創業者の清水秀男氏が、昭和47年に1号店をオープンしたときから、甲府市内の伊藤食品に仕入れを一任。「小作では特別な野菜を使っているわけではないが、品質重視でよく要求にこたえてくれている」(内藤氏)と評価している。

 また、お酒の仕入れは甲府の岡酒販店、麺は韮崎市の山本製麺と、仕入れに関しては地元山梨の企業とタッグを組んで、共に成長してきた面がある。その基本方針は、7年前に清水氏が亡くなり、夫人の河口さと子氏が2代目社長に就任してからも変わらない。

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主力商品、かぼちゃほうとう(1100円)。

 昨年は震災以降、観光客が減って苦労したが、今年は持ち直している。売り上げに貢献しているのは、甲府鳥もつ煮、馬刺しといった、山梨の名物だ。特に、「B-1グランプリ」で有名になった甲府鳥もつ煮は、ほうとうとセットで注文する人が多く、県外のみならず県内の顧客からも非常に好まれているそうだ。

 「B-1でゴールドグランプリを取ってからの導入ですが、B-1をきっかけに山梨の名物になりましたね。お酒のつまみでも、河口湖のような甲府からは離れた場所の店でも、よく出ます」(内藤氏)。

 新規出店は、平成10年に河口湖店を開いて以来、ストップしているが、これは同社が望む大型店の物件がなかなか出ないからだという。15年程前には東京都内に出店予定もあったが、結局は店舗面積が狭すぎて断念した。

 同社の店舗の売り上げが大きいもう1つの理由は、店長の裁量が大きいこと。基本メニューではない、一品料理については、もちろん内藤氏で報告を受けて判断はするが、自由に増やすことができる。お酒の出る甲府駅前店、甲府駅北口店では一品料理が増えている。また、ドリンクに関しても、必要ならば種類を増やすケースもある。
店員の教育も店長の仕事だが、たとえば河口湖店では、パート、アルバイト含めて35人いる大所帯。それでも、休日に働いてくれる若い人が集まりにくく、ギリギリの状態で回しているのが実情で、人手不足が悩みになっている。

 「小作の味の秘訣は、スープを各店でラーメンのようにズンドウで仕込むことです。ダシは鯖節、花かつお、煮干、昆布から取っています」と内藤氏は、ほうとうの味を決めるスープ作りを店長以下、それぞれの店で行っていることを明かした。
店長の裁量に任せるチェーン店経営では、「餃子の王将」の成功が知られるが、「小作」でもその考え方が浸透し、堅調な経営を支えている。

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