今月の特集『業態研究 ”まんが喫茶”の隆盛』(2/3)面
--世紀末の2000年到来!!飲食店の業態はどう変わっていくのか?--
--まんが喫茶にみる飲食店の近未来、「やすらぎ」が次世代を牽引する--

今月の特集キーワード  
  ”150円の奇跡“ 喫茶業に革命を起こしたドトールコーヒー 1面
  オッタキーなイメージはすでに払拭。増え続けるまんが喫茶 1面
  まんが喫茶ブームの火付け役となったヨムヨム新宿店 2面
  喫茶文化華やかな名古屋市がまんが喫茶発祥の地 2面
  業態は個性化、差別化の一途を歩む。お店独自の”ウリ“を持とう 2面
  ギャラリーカフェやライブラリーカフェの新業態が続々と登場 2面
  オーナーの趣味が出発点絵本や手作りの雑貨が醸し出すナチュラルな雰囲気が支持される 3面
  キーワードは”安らぎ“や”癒し“か?等身大の消費者に近づいた店づくりがポイント 3面
まんが喫茶ブームの火付け役となったヨムヨム新宿店
マンガ喫茶ヨムヨム 新宿店
絶対座れる! 読みたい本が必ずある!
ボリュームがあって片手でも食べられる「ピザトーストセット・
980円」
都内でもトップクラスの客席数と蔵書数が自慢。マンガ喫茶のイメージを大きく変えた同店は、交通アクセスがバツグンな上、客席数350、蔵書数20000冊を誇る。ガラスの壁に囲まれた店内は、初心者やカップルでも入りやすい雰囲気を醸し出している。フード類はビーフカレーや若鶏の照り焼きライスといった人気メニューのほか、片手でも食べやすいサンドイッチやトースト類も種類を豊富に揃えている。
 壁をガラス張りで囲んだ店内は、初心者も入りやすい明るい雰囲気  主なコミックス類のほか、
雑誌200冊、話題の写真集150冊の蔵書は圧巻
東京都新宿区新宿3−17−5カワセビルB2
電話:03(3352)6065
営業:9時〜22時 定休:年中無休
 東京にまんが喫茶ブームを起こした火付け役といわれているのが、「ヨムヨム新宿店」である。新宿の待ち合わせスポットでもある紀伊国屋書店に隣接するビルの地下1階で、店舗は人通りの多い地下道通路に直結し、新宿通りに面する地上にも電光看板を掲示。立地としてはこれ以上望めない好条件にある。
  同店のオープンは平成6年12月。もと喫茶店だった広いフロアを生かし、350席の客席と蔵書数20000冊は、どちらも都内で一、二を争うスケールを誇る。規模が大きく目立ちやすい立地だけに、その動向は開店当初から業界の注目を浴びた。また、同店の成功に刺激を受けて、多くの店舗がまんが喫茶経営に乗り出した。まんが喫茶の火付け役といわれる所以である。
 システムは、かつて多かったフリードリンク制(飲み放題で時間計算)ではなくワンオーダー制をいち早く採用。最初のオーダーで90分までは超過料金なし。その後10分ごとに30円が加算されていくシステムである。ドリンク類の価格は600円〜680円。この料金でマンガや雑誌が90分楽しめるとあれば、消費者が目をつけないはずはない。壁を全面ガラス張りにして透明性や解放感を出したことも、マンガ喫茶=暗い、のイメージを払拭した。「どんなに混み合う時間帯であっても、座れないことはないのが当店のウリです。午前中はサラリーマン層の男性客が、午後は若い世代から中年層の女性が客層を占め、まんべんなく入店がありますね」と同社スーパーバイザーの池田英二さん。蔵書類はオリジナルバージョン(最初に発刊された形態のコミックス)などのコミックス類から、一般雑誌、旅行雑誌、新聞、写真集まで種類も豊富。雑誌類は月刊、週刊を含め、過去3サイクルまでのバックナンバーを在庫するという配慮もしている。当然、コミックス類の巻抜けのようなことはない。「入口には利用方法の掲示板を置いていますが、システムに慣れておらず、まんが喫茶の初心者の方だなと思われるお客様も大勢いらっしゃいます。まだまだ客数は伸びる可能性があると思いますが、懸念されるのがまんが喫茶全体の質の低下です。これだけまんが喫茶が乱立すると蔵書数が少ない、あるいはサービスが悪いといった店舗も出てくる。それが業態全体のイメージを悪くさせてしまいかねません。これからも色々な形で付加価値をつけたまんが喫茶が現れてくるでしょうし、同時に淘汰が進み、消費者が厳選した店舗だけが生き残ると思います」
  同社は新宿店を弾みに都内に2カ所、埼玉県に1カ所、神奈川県に2カ所の合計6店舗のまんが喫茶を展開している。
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喫茶文化華やかな名古屋市がまんが喫茶発祥の地
 喫茶文化が最も華やかで、庶民の生活に喫茶店が浸透しているといわれるのが名古屋市。まんが喫茶も名古屋市を発祥とするという説が有力である。昨年2月、渋谷にオープンした「まんが喫茶太郎」は名古屋市から東京進出をなした第1号店だ。「お年寄りたちは喫茶店でモーニングを食べてから病院に行く。あるいは一家そろって喫茶店で朝食をとるといったことも名古屋ではごく普通の光景です。まんが喫茶もマニア専用ではなく、早くから生活の中に根付いていましたし、レディースコミック専用喫茶などの細分化も図られています」とは、名古屋市から赴任している店長の山田邦晴さんである。たとえば、朝刊やテレビで雑誌の記事内容を知る。その一部の記事だけを読むために雑誌を購入するのは若干の抵抗があるはずだ。そんなときにもまんが喫茶は老若男女を問わず、気軽に利用されるのだという。「東京でまんが喫茶が増加した要因の一つに、喫茶店の経費削減があるのではないかと思いますね。以前は種類を多くそろえていた新聞や雑誌類の購入を控えるようになり、お客様の生活習慣の一部や楽しみが満たされなくなった。そのニーズの行き先としてまんが喫茶が利用され始めたのではないでしょうか」
  競合ひしめく名古屋を拠点とする同店だけに、モットーはあくまでもサービス第一主義。ウォーターと温かいおしぼり(何と、布おしぼりを開いてお客様に差し出す)提供、フード類は業務用のレトルト食品は一切使用せず、すべて手作りで味とボリューム重視と二拍子がそろっている。「まんが喫茶だから、お冷やおしぼりは出さない。あるいはドリンク、フードの手を抜くといった発想は名古屋にはありません。普通の喫茶店のサービスを徹底しながら、付加価値としてマンガや雑誌を楽しんでいただくといった考え方です」
  同店のシステムはやはりワンオーダー制で、ドリンク類の単価を550円〜570円に抑え、90分経過後10分ごとに40円が加算される。一度来店したお客様のほとんどが再来店し、客の7〜8割がリーピータ
ー。客席90席の店内は、夜11時の営業時間まで利用客が途絶えることがない。
業態は個性化、差別化の一途を歩む。お店独自の”ウリ“を持とう
 前述したように、まんが喫茶は非常に差別化が図りやすい業態だ。システムの採り入れ方にしても、「ヨムヨム新宿店」や「まんが喫茶太郎」のように、ドリンク・フード、サービスを徹底しながらのワンオーダー制もあれば、インスタントコーヒーやカップ麺を常備したセルフスタイルの「時間貸し」的なシステムを採っている所もある。そのほかにも、くつろぎ感を重視したリクライニングシートの客席、営業マンを意識したPCルーム設置、古書的価値のある蔵書が豊富などなど、店舗の数だけ個性があり工夫がある。これはまた同時に、気を抜くと埋没した存在になりかねないという危険性の裏返しでもある。
  最初のマンガ世代といわれている団塊の世代は50代を越え、手塚治虫によって開始されたストーリーマンガは、子供から大人までを対象とした日本固有の一大エンターテインメントとして定着した。おそらくこのマンガ文化が廃れることはまずないだろう。この意味でもまんが喫茶は注目すべき業態であり、「マンガ喫茶経営サポート企業」なるものも現れているが、生き残るにはお店独自の”ウリ“を強く打ち出すことに尽きるようだ。
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ギャラリーカフェやライブラリーカフェの新業態が続々と登場
ノリータ ストリート アパートメント サイドb
くつろぎとやすらぎを追求したライブラリーカフェ
最も新しいカタチの情報発信基地!
1Fのフロア
 2階フロアの『サイドb』のライブラリーカフェは、現地から直接買い入れた洋書類が豊富にそろっている。
  オーディオ装置、パソコンルームも完備し、それぞれのスタイルで贅沢な時間と空間を楽しんでいただける工夫が随所に。「回転率を上げるということは考えていない。アーティストたちが感性を磨く集いの場所になれば」と責任者の吉澤さん。


 店名にアパートメントと冠しているように、4フロアすべてが個性的な特徴を持つ、最新の業態見本のようなもの。
  半地下は良質の無農薬野菜中心のデリ。1Fがオープンテラスを備えたカフェ。3Fはモダンなインテリアの中で和食を楽しむダイニングバー
2Fのフロア 半地下のフロア
 Tシャツや小物類、CDの販売も行っている。  ニューヨーク式にカフェボールで提供する「カフェ・オレ・700円」、
「ブルーベ リージュース・700円」
東京都渋谷区神宮前1−15−5
電話:03(5772)2682
営業:12時〜0時 定休:年中無休
 西麻布の交差点近くにある「テーゼ」は、”大人のための夜の図書館“がコンセプトのラウンジバー。壁際には2000冊以上の蔵書が並び、照明を抑えた店内にテーブルスタンドの明かりを頼りにページをめくる客の姿が浮かび上がる。バックミュージックは静かな民俗音楽や心を落ち着かせるヒーリング系の音楽である。
  この3、4年、都内各所に見られるようになった、ギャラリーカフェやライブラリーカフェ、あるいは「テーゼ」のような読書が楽しめるバーは、マンガ喫茶を洗練して発展させた新業態といっていいだろう。自由に閲覧できる蔵書類は、アーティスティックなファッション誌やインテリア誌、写真集。あるいは知的な香りが漂う画集、絵本、文学全集などがほとんどである。
  原宿の竹下通りから1本裏手に入った閑静な場所にある「ノリータ ストリート アパートメント」は、99年の7月31日にオープンしたばかり。地下1階から3階のフロアごとに、消費者ニーズを色濃く反映させたスペースが特徴的だ。中でも2階フロアの「アパートメント サイドb」は、日本では手に入りにくいビジュアル系やアート系のレア物の洋書類をそろえ、贅沢な空間と静かな時間の流れを満喫できるカフェ。ニューヨークの図書館をイメージしてデザインされた室内には、実際にアメリカ西海岸の古い学校で使われていたテーブルや椅子を使用しており、大きな窓から射し込む自然光とともに明るく開放的なライブラリーという印象にまとまっている。
「原宿は若者たちの聖地でもあり、最先端の流行を追い続ける街。そういった意味ではニューヨークやロンドンに似通った街とも言えると思います。ところが、ニューヨークやロンドンと決定的に違う点は、この街に集う大人達が語り合い感性を磨くことができる、くつろぎや癒しのスペースがないこと。原宿という場所柄もあり、一般のお客様はもちろんのこと、デザイナーやヘア&メイクアップ・アーティストなどのクリエーターたちの集いの場としても利用していただいています」と責任者の吉澤尚志さんは語る。
  ちなみに「ノリータ」とは、ニューヨークの最南端に近い地区の名前。かつて前衛的なクリエーターの街として名を馳せたソーホー地区が俗化することを嫌い、アーティストたちが新たに移り住んでできた街だという。
  店内の一角にはパソコンルームを設置し、15分250円で自由に使用できる。中央テーブルには、お店に集まるアーティストたちのポストカードや個展の案内状など個性的なデザインが並び彩りを添えている。また、インディーズものの革製品やTシャツ、小物、CDなど約50点の販売も行っており、こちらも好評である。
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